800馬力を発する“現代のカウンタック”はハイブリッドを採用!

ランボルギーニ、新型カウンタックを発表! スーパーカーのアイコンが21世紀に復活

ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4のフロントビュー
ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4のフロントビュー。
伝説のスーパーカー、ランボルギーニ カウンタックが2021年にニューモデルとなって蘇った。V型12気筒エンジンにマイルドHVシステムと組み合わせることで約800馬力のシステム最高出力を実現した「カウンタック LPI 800-4」は、まさしく現代を象徴するスーパーカーといえる。112台のみを生産する稀少な最新カウンタックの全容に迫る。

Lamborghini Countach LPI 800-4

カウンタックの“新型”を112台生産

ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4のフロントビュー
アウトモビリ ランボルギーニは2021年8月13日、アメリカ西海岸で行われているモントレーカーウィークで新型のカウンタック LPI 800-4を世界初公開した。

アウトモビリ ランボルギーニは2021年8月13日(太平洋標準時)、「カウンタック LPI 800-4」を世界初公開した。112台のみを生産する限定モデルで、その数値はオリジナルカウンタックの社内プロジェクトコード「LP 112」に由来。デリバリー開始は2022年第1四半期を予定している。

アメリカ西海岸で毎年8月に行われているモントレーカーウィークは、ペブルビーチ・コンクールデレガンスをはじめ、世界中から多くの魅力的な名車が集結するエンスージアストのための祭典だ。

今年のモントレーで最も来場者の注目を集めるはずの1台が、ランボルギーニがアンベールしたカウンタック LPI 800-4。なにしろ、世代を超えて人々を魅了してきた永遠のスーパーカーの名前が、先進のテクノロジーを携えて現代に蘇ったのだから。

V12エンジン+モーターで800hp超を発揮

ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4のリヤビュー
カウンタックの生誕50周年の記念イヤーに登場した、新型カウンタック LPI 800-4。シアン FKP 37と共通のマイルドハイブリッド機構を搭載する。

カウンタック LPI 800-4の「LP」はLongitudinale Posteriore(イタリア語で縦置き・後方の意)、「I」は(マイルド)ハイブリッドテクノロジーを意味する。数字の「800」はシステム最高出力が800hpに達していることに由来するという。

780hpの6.5リッターV12ユニットに34hpの48Vモーターを組み合わせるマイルドハイブリッド機構は、2019年に同社初のHVモデルとして登場したシアン FKP 37と共有。システム最高出力814hpを発生し、4輪駆動システムを介して0-100km/h加速2.8秒、0-200km/h加速8.6秒、最高速度355km/hを実現するなど、シアン同等のパフォーマンスを発揮する。

リチウムイオン電池でなくスーパーキャパシタを使うワケ

ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4のキャビン
ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4は、「V12エンジン+48Vモーター+スーパーキャパシタ」という構成のパワートレインを搭載。0-100km/h加速は2.8秒と、圧倒的な加速力を誇る。

このマイルドハイブリッド技術は、V12のもつ特性をスポイルすることなく、ランボルギーニらしい走りを際立たせることを重視して開発。とりわけ軽量化が重要な課題とされた。34hpを発揮する48Vの電気モーターはギヤボックスに組み込まれ、レスポンスとパフォーマンスアップに貢献。このモーターはリバースや駐車時など低速時にも活用される。

蓄電方法はリチウムイオン電池ではなく、スーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)を採用。ランボルギーニはすでに、始動用エネルギーとしてアヴェンタドールにスーパーキャパシタを搭載しているが、今回のシステムは同じ重量のリチウムイオン電池と比較して3倍の容量をもつのが特徴。つまり同規模の容量であれば1/3の重量で済むということである。結果、スーパーキャパシタとモーターによる電動システムの重量はわずか34kgに抑え込んでいる。そのスーパーキャパシタをコクピットとエンジンルームの間のバルクヘッドに配置、完璧な重量配分を確保したという(前後重量配分43:57)。

クワトロバルボーレの趣も随所に

ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4のサイドビュー
ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4。ちなみに「countach」は驚きなどを表現する時のイタリア・ピエモンテ地方の方言。“クンタッチ”あるいは“クーンタッシュ”とも発音される。闘牛とは一切関係の無いネーミングをもつ数少ないランボルギーニだ。

モノコックシャシーとボディパネルのすべてはカーボンファイバー製。乾燥重量1595kgで計算すると、1.95kg/cvという圧倒的なパワーウェイトレシオを実現することになる。ボディディメンション自体は全長4870mm、全幅2099mm、全高1139mm、ホイールベース2700mmと、アヴェンタドールに近似している。

ひと目で誰もが「カウンタック」と判別できるスタイリングは、初期のLP400、及びLP500の量産仕様を強く意識したものであるという。もちろん象徴的なシザーズドアを採用している。くっきりとしたボンネットのラインや低く構えた長方形のグリル、ヘキサゴン(六角形)のテーマを採り入れたホイールアーチは、クワトロバルボーレのそれを思わせる。

“ペリスコープ”を意識したルーフには調光機能も

ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4のデザインスケッチ
ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4のデザインスケッチ。オリジナルのカウンタックのデザイン要素を、現代 の自動車のスペックへ巧みに落とし込んでいる。

ルーフにはお馴染みのペリスコピオ(ペリスコープ=潜望鏡)を彷彿させるデザインを採用。グラス部分には、ボタンひとつで透明度を変更できる調光式機能を持たせている。

今回のモントレーで公開されたカウンタック LPI 800-4のボディカラーは、「ビアンコ シデラーレ(Bianco Siderale)」と呼ばれる真珠のような光沢をもつホワイト。かつてフェルッチオ・ランボルギーニが所有していたカウンタック LP 400 Sを思い起こさせる色味をチョイスしている。他にも、「インパクトホワイト」や「ジアッロカウンタック(イエロー)」「ヴェルデメディオ(グリーン)」といった、往年のカウンタックを思わせる多彩なソリッドカラーを用意する。

懐かしの意匠と最新の機能が共存

ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4の俯瞰目ビュー
ついにその姿を明らかにしたランボルギーニ カウンタック LPI 800-4。2022年第1四半期に、全世界のオーナーに向けてデリバリーが開始される。

フロントに20インチ、リヤに21インチを装着するホイールは、懐かしい“テレフォンダイヤル”デザインをモチーフとしている。見栄えはクラシックを意識しながらも、ブレーキにはカーボンセラミック製ディスクを装着し、タイヤにピレリのP ゼロ コルサをチョイスするなど、機能面はあくまで最新のスーパースポーツのルールに則っている。

キャビンにも、オリジナルカウンタックのデザインキューと現代車としての機能が共存している。かつての趣を湛えるスクエアモチーフのステッチを施したシートを採用する一方で、センターコンソールには8.4インチのタッチスクリーンを搭載。Apple CarPlayにも対応している。また、ユニークな機能として「Stile(イタリア語でスタイルの意)」ボタンを設置。ここを押すと、カウンタックのデザイン哲学についての説明が流れ出すのだとか。

1971年のジュネーブショーでの発表から50年。カウンタックが生まれて半世紀という記念すべき節目に、その名前は完全なニューモデルとして蘇った。わずか112台という少量生産に割り切り、稀少性を限りなく高めた“現代のカウンタック”は、これからのスーパーカーの在り方を指し示すひとつのヒントとなるかもしれない。

【SPECIFICATIONS】
ランボルギーニ カウンタック LPI 800-4
ボディサイズ:全長4870 全幅2099 全高1139mm
ホイールベース:2700mm
乾燥重量:1595kg
エンジン:60度V型12気筒DOHC
総排気量:6498cc
ボア×ストローク:95.0×76.4mm
圧縮比:11.8±0.2
最高出力:574kW(780cv)/8500rpm
最大トルク:720Nm(73.4kgm)/6750rpm
モーター最高出力:34cv
モーター最大トルク:35Nm
システム最高出力:814cv
トランスミッション:7速AMT(ISR)
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前255/30ZR20(9J) 後355/25ZR21(13J)
最高速度:355km/h
0-100km/h加速:2.8秒

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…