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Volkswagen Golf R
ゴルフ史上最強、最速の「R」
VWゴルフのラインナップに、史上最強となる320PSの最高出力と420Nmの最大トルクを発揮する、2.0リッター直列4気筒TSIエンジンを搭載した「R」が加わった。ちなみにこの新型ゴルフRには、基本モデルともいえる5ドアハッチバックと、ワゴンボディのヴァリアントが設定されており、スペックシートの上ではヴァリアントの方が35cmほど長く、また車両重量はハッチバックの1540kgに対して、ヴァリアントでは1600kgに増える。オプションとしてアダプティブシャシーコントロールDCCが、235/35R19サイズのタイヤとのパッケージで設定されているのも両モデル共通だ。
ゴルフ伝統のスポーツモデル、「GTI」とともに、走りに対して積極的に、というよりもストイックなまでにフォーカスした「R」。今回おもに試乗したのは販売面でもメインとなることが予想されるハッチバックで、もちろん前で紹介したDCCパッケージは装着済み。先代のRからさらに10PSのエクストラを得たエンジンのパフォーマンスはもちろんのこと、VWがこの最新のRにどのようなシャシー・チューニングを施してきたのかも大いに興味深い。
試乗車のエクステリアは先述の19インチ径ホイールを装着していたが、フロントではR専用のバンパースポイラーを採用。一方リヤではテールゲートの中央部分へと装着位置が変更されたRのエンブレムや4本出しのエキゾーストシステムにグロスブラック仕上げのディフューザーなどの、これも専用のアイテムが誇らしいRのフィニッシュだが、ゴルフRの運動性能を考えれば当然ともいえるチューニング。これもまた先代と比較して1インチ拡大された18インチ径のブレーキシステムには、Rのロゴをあしらったブルーの対向キャリパーが組み合わせられるが、そのタッチがとてもナチュラルな印象だったのが、試乗を始めて最初に感じたことだった。
圧倒的パワートレインと高いスタビリティ
注目のパワーユニットは、低速域ではその凶暴とも例えてよいパフォーマンスの片鱗を見せることもなく、7速DSGとの組み合わせでスムーズな動きに終始する。トルクが力強く立ち上がるのはエンジンスピードが2000rpmを超えた付近からで、ここからの厚みのあるトルクを感じながらの走りは、さすがにゴルフ・ファミリーの中でもその頂点に君臨する特別なモデルだけのことはあるといった印象だ。
もちろん現代のスポーツモデルには不可欠な装備ともいえるドライビング・モードの選択システムも、このゴルフRには搭載されているが、デフォルトの「スポーツ」でも十分に強靭なボディの、そしてサスペンションの剛性感を感じながら、ワインディングロードの走りを楽しむことができる。これぞまさにホットハッチの象徴と評してもよいだろう。
コーナリングでの動きは、絶えずシステムが4MOTION（Rパフォーマンストルクベクタリングシステム）やXDS、DCCをコントロールしてくれているから、常にそのスタビリティの高さが印象に残る。とはいえ乗り心地に必要以上の硬さを感じるわけではなく、むしろジェントルなフィーリングに包まれながら、連続したコーナーをクリアしていくという表現がぴったりとくる。
ユーティリティに優れるヴァリアントもラインナップ
短時間ではあるが同時に試乗する機会のあったヴァリアントは、走りに関してはハッチバックにハンデを感じることはなかったと報告してもよい。Rの速さに、さらにワゴンとしての機能性が加わるのだから、もしかするとRのおすすめはヴァリアントという結論も考えられる。いずれにしても史上最強のゴルフは驚異のホットハッチだった。
REPORT／山崎元裕（Motohiro YAMAZAKI）
PHOTO／篠原晃一（Koichi SHINOHARA）
MAGAZINE／GENROQ 2023年2月号
SPECIFICATIONS
フォルクスワーゲン・ゴルフR
ボディサイズ：全長4295 全幅1790 全高1460mm
ホイールベース：2670mm
車両重量：1540kg
エンジン：直列4気筒DOHCターボ
排気量：1984cc
最高出力：235kW（320PS）/5350-6500rpm
最大トルク：420Nm（42.8kgm）/2100-5350rpm
トランスミッション：7速DCT
駆動方式：AWD
サスペンション形式：前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ：前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ：前後225/40R18
車両本体価格：639万8000円
【問い合わせ】
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
TEL 0120-993-199
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