2022年はどんな年だった? 私的ニュースで振り返る【山崎明編】

【2022年を振り返る】山崎明「NDロードスターのボディカラーがまさか……」

実際に購入したアバルト595。
実際に購入したアバルト595。
2022年は感染症や戦争で物流の滞った1年であった。それでも時代は巡る。ニューモデルの登場や次期モデルに向けての年次改良はどのような影響を与えたか? ゆく年2022年を振り返る。

その1:輸入車価格の高騰

後に述べるロードスターと2台が収まるガレージ。希少なMTモデル2台が並ぶ。ロードスターとは異質な楽しさを味わわせてくれた595。

年明け早々に981ケイマンを知人に譲り、次は何にしようかと思案していた時、MTでコンパクトで運転が楽しく所有の満足も感じられる車という条件の中で、候補車の1台だった(というより新車ではほぼそれしか選択肢がなかった)アバルト595の試乗のためディーラーに訪れたときに衝撃の情報が。

昨年10月に20万円の値上げをしたばかりだというのに3月にまた値上げになるという。しかもベースグレードは在庫限りで新入荷はなく、後継は最も安いグレードがF595となり、かなり高価になるという。そこで慌ててベースグレードの在庫車を購入したわけだ。

しかし値上げはそれで終わらず8月にさらに値上げ。595コンペティツィオーネは昨年9月の383万円から1年で467万円に。最も安い595は300万円から422万円となってしまった。たった1年でこれだけの変化があった年が今までにあっただろうか。このアバルト595の事例は極端かもしれないが、ほとんどすべての輸入車が大幅に高騰した1年だったと思う。

その2:クラウンのモデルチェンジ

新型クラウン。左からクロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートと呼ばれる。

私は広告代理店に勤務していた時代、トヨタのコミュニケーション戦略立案の仕事を20年わたって担当してきた。クラウンも私の担当車種のひとつで、「いつかはクラウン」のキャッチフレーズで有名な7代目のマイナーチェンジ時から11代目の発売時までかかわった。その意味で思い入れもあり、ユーザーの特徴なども詳しく知っているつもりだ。

そのクラウンが劇的とも言えるモデルチェンジをしたわけだ。クラウンがSUVになるという噂は前からあったわけだが、実際に発表会で実車を見たときはちょっと戸惑ったが、セダンも残っていたのでホッとした次第だ。

聞けば、最初はクロスオーバー1本で企画されたらしいが、クロスオーバーの企画が固まってきた段階で豊田章男社長からセダンも作れという命令が下ったらしい。私も直観的にクロスオーバーでは従来のクラウンの顧客をつなぎ止めることはできないと感じたから、章男社長もそう感じたのだろう。結局クラウンは4車型も持つカローラのような大ブランドとなったわけだが。

その3:マツダ・ロードスターのカラーバリエーション変更

ポリメタルグレーのNDロードスター。残念ながら廃色に。

これはほとんどの人にとっては取るに足らない極めて些細なニュースかもしれないが、私個人にとっては極めてショッキングなニュースだった。11月の小改良で、私のNDロードスターのカラー、ポリメタルグレーが廃色になってしまったのだ。

私はポルシェユーザだった2016年(ボクスターGTSに乗っていた)、NDロードスターに試乗して目から鱗が落ちてしまい、年末にデビューしたロードスターRFに乗り換えていた。ボディカラーはマシーングレーを選択していた。

そろそろ車検の時期が迫ってきていた2019年秋の東京モーターショーでロードスターの改良モデルがお披露目された。目玉はシルバートップと新色のポリメタルグレーだった。この時、内装のカラーコーディネーションも変更となり、それまで赤だったステッチがグレーになった。このシックさを増した内装とポリメタルグレーのコンビネーションに私はやられてしまったのである。

比較試乗の結果、RFよりソフトトップの方が軽快感・開放感とも優れていると感じていたので、車検を機にポリメタルグレーのソフトトップに買い換えたのだった。ポリメタルグレーには黒幌の方が合うと感じたので、シルバートップではなくシートがレカロになるRSを選択した。

このコンビネーションは素晴らしく非常に満足度が高いので、数年後のNDロードスターがモデルチェンジする直前に再び新車に乗り換えようかと密かに思っていたのだが、まさかの廃色になるとは……。今のロードスターを大切に乗り続けるしかなくなってしまったのだ。

MTでできるだけコンパクトなサイズ、運転が楽しく、所有の満足感もそれなりに得られるとして選んだアバルト595。

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クルマを所有していれば、やむを得ない理由で手放すことはある。それが趣味のクルマならなおさらだ。しかし、思い入れのある趣味のクルマだからこそ、手放す時に最善の策をとりたいものである。そんな時、プロの自動車ジャーナリストはどうするのか?

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著者プロフィール

山崎 明 近影

山崎 明

1960年、東京・新橋生まれ。1984年慶應義塾大学経済学部卒業、同年電通入社。1989年スイスIMD MBA修了。…