ランボルギーニ×ドゥカティのスーパーバイクの歴史

「イタリアの至宝が夢のコラボ」ランボルギーニとドゥカティのコラボバイクの魅力を解説

ドゥカティ・ディアベル1260 ランボルギーニ(MY2021)。イグニッション・スイッチをオンにすると両ブランドのロゴがメーターに表示される。
ドゥカティ・ディアベル1260 ランボルギーニ(MY2021)。イグニッション・スイッチをオンにすると両ブランドのロゴがメーターに表示される。
ドゥカティがフォルクスワーゲングループ入りした2012年からコラボの可能性は充分にあった。スーパースポーツカー「ランボルギーニ」とスーパースポーツバイク「ドゥカティ」の夢の共演である。

ともにイタリアを代表するスポーツモビリティカンパニー

デスモドロミックは特殊な形状のカムシャフトとロッカーアームを用いて強制的にバルブを開閉する。バルブタイミングが高精度に管理できるが、部品点数は多くなるし、部品自体にも高い精度が求められる。当然その分コストがかかるし、比較的短期間でバルブクリアランスの調整が必要となる。
デスモドロミックは特殊な形状のカムシャフトとロッカーアームを用いて強制的にバルブを開閉する。バルブタイミングが高精度に管理できるが、部品点数は多くなるし、部品自体にも高い精度が求められる。当然その分コストがかかるし、比較的短期間でバルブクリアランスの調整が必要となる。

1963年創業で、今年(2023年)創業60周年を迎えるランボルギーニ。クルマに詳しくなくても、その名を知らぬ人はいないだろうイタリアのスーパーカーメーカーだ。日本では1970年代のスーパーカーブームにおいて、ランボルギーニという社名はカウンタックという強烈な個性を持ったマシンとともに少年たちの心に深く突き刺さり、憧れの自動車メーカーであり続けている。

一方のドゥカティも世界に名だたるイタリアのスポーツバイクメーカーだ。少し長くなるけれどその歴史を紹介しておく。ドゥカティは1926年に真空管やコンデンサなどの電子部品を製造する会社として誕生。時を経ずしてラジオなどを製造する大きなメーカーへと成長したが、第二次世界大戦中に工場が爆撃で破壊されてしまう。

そして戦後の復興時に、他社開発の自転車用補助エンジンの製造を請け負ったことをきっかけとして、バイクメーカーへと転換。レースで好結果を出し高性能をアピールすることで、1950年代にはバイクメーカーとしても飛躍を果たしている。バイクメーカーとしての出発点がホンダと似ているのが興味深い。

ドゥカティのバイクは、ごく一部を除いて4ストロークエンジンを採用してきたため、レース専用に開発されたマシンを使用し、2ストロークエンジンが圧倒的に有利な時代になってからはロードレース世界選手権に参戦しなかった。しかし2002年に4ストロークエンジンが主体のMotoGPへと時代が変わると、ドゥカティも2003年に参戦を開始。2007年にはライダーズタイトルとマニュファクチャラーズタイトルの両方を獲得した。

その後しばらくタイトルから遠ざかるが、特に近年はマシンの進歩が著しく、2020年〜21年とマニュファクチャラーズタイトルを獲得すると、2022年シーズンはライダーズ、マニュファクチャラーズともに栄冠に輝いた。加えて市販車ベースのマシンで戦うスーパーバイク世界選手権(WSB)でも両タイトルを獲得。2022年のサーキットレースでは完全制覇を果たした。

またドゥカティは、1956年にレースマシンで、1968年からは量産市販車でも、エンジンにデスモドロミックというバルブ開閉機構を採用することが多い。デスモドロミックとはバルブスプリングを持たずにバルブを強制開閉する機構で、一般的なバルブスプリング機構よりもクランクシャフトの回転に対する抵抗が少なく、高回転域においてもバルブサージングなどのトラブルが起こりにくいなどの特徴がある。ドゥカティ=デスモドロミックエンジンと言ってもいいほどで、ドゥカティの他にデスモドロミックを主要技術としているバイク及び自動車メーカーは無い。ドゥカティは独自の技術を大切に育てながら新技術の開発にも意欲的なバイクメーカーなのだ。

2020年に登場したコラボモデル

ドゥカティの説明が予想以上に長くなってしまった。つまりはランボルギーニもドゥカティもスーパーなマシンを世に送り出し続けているメーカーだということなのだ。しかも驚くべきことに、ランボルギーニは2012年にドゥカティの株式を100%取得している。つまりドゥカティはランボルギーニの子会社となり、広くはフォルクスワーゲングループの一員となったのだ。

そして2020年11月、ついに両社のコラボレーションモデル「ドゥカティ・ディアベル1260 ランボルギーニ」が発表された。余談だがベースマシンのディアベルは、ドゥカティのあるイタリア・ボローニャの方言で悪魔を指す。ランボルギーニにもかつてディアブロ(スペイン語で悪魔の意味)というモデルがあったことを考えると、イタリア人は悪魔に魅了されやすいのだろうか。

ディアベル・ランボルギーニは、ランボルギーニの限定モデル「シアンFKP37」のデザインイメージをバイクへと昇華させた。ボディカラーのジーアグリーン、フレームやホイールのエレクトラム・ゴールドはシアンFKP37とまったく同じ色を採用。アクセントとしてランボルギーニの創業年「63」が描かれる。

また、ラジエターカバーやエアインテークはもとより、サイレンサーカバー、スポイラー、タンクカバー、前後フェンダーやヘッドライトフレームなどなど様々なパーツにカーボンファイバーを採用。ランボルギーニらしいデザインの専用鍛造ホイールも奢られる。63台限定のシアンFKP37に対して、こちらは630台限定だったが、あっという間に完売した。

そして第三弾の登場は?

2022年9月。両社の第二弾となるコラボモデル「ドゥカティ・ストリートファイターV4ランボルギーニ」が発表された。クルーザーモデルがベースのディアベル ランボルギーニとは打って変わって、よりスポーツ色を強めた。デザインイメージはランボルギーニ・ウラカンSTOで、今回もボディーカラーはまったく同じもので、ホイールも同じスタイルの専用デザインで、ロックナットはチタン製。

フロントフェンダーやエアインテーク、アンダーカウルやテールエンドなどもランボルギーニやSTOを想起させる専用品となっている。4枚のフロントウイング、ラジエターカバー、タンクカバーやリヤフェンダーなど様々な外装パーツがカーボン製。ライダーに触れるインターフェースでもアルミ削り出しのブレーキ&クラッチレバーにステップ、カーボン製ニーパッドを採用する豪華仕様だ。サーキット走行仕様へとセットするためのアクセサリーも付属する。限定630台に加え、ランボルギーニ車オーナーのための、クルマと同じボディカラーなどにカスタムできる、さらにスペシャルな63台限定モデルも製作。もちろん、どちらのモデルも完売している。

63という数字にこだわるランボルギーニだから、創業63年を迎える2026年にドゥカティとの第三弾コラボモデルを発売すると予言しておこう。

630台限定の「ドゥカティ ストリートファイター V4 ランボルギーニ」と、インスピレーションを受けたランボルギーニ ウラカン STO。

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