【ランボルギーニ ヒストリー】記録を塗り替えた「ウラカン EVO」の進化

大ヒットモデル「ウラカン EVO」の進化と派生モデルが見せた多様性(2019)【ランボルギーニ ヒストリー】

エアロダイナミクスを向上させたエクスエリアデザインが特徴の「ウラカン EVO」。スーパースポーツらしい戦闘的な雰囲気を強めた。
エアロダイナミクスを向上させたエクスエリアデザインが特徴の「ウラカン EVO」。スーパースポーツらしい戦闘的な雰囲気を強めた。
2014年のジュネーブ・ショーで正式にワールドプレミアされた「ウラカン」。先代モデル「ガヤルド」を超えるヒット作となったが、さらに商品性を高めた後期モデル「ウラカン EVO」が登場した。そのほか末期に追加されたスペシャルバージョンも紹介する。

Lamborghini Huracan EVO

ニューモデルとして正常進化

ランボルギーニにとっては爆発的な人気モデルとなった、V型10気筒自然吸気エンジンをリアミッドに搭載する「ガヤルド」の後継車として2014年に発表されたのが、同じくV型10気筒モデルの「ウラカン」だ。

ウラカンも同様に、デビュー以来その販売は好調で、デビューからわずか約8年での生産台数はガヤルドの1万4022台を抜き、2万台の大台へ到達。ランボルギーニもさらにその商品性を高めるために、ビッグマイナーチェンジを行う必要に迫られることになった。そこで誕生したのが2019年発表の「ウラカン EVO」。車名が示す通りこれまでのウラカンを正常進化させたニューモデルである。

EVOの最大の特長ともいえるのは、さらにエアロダイナミクスを向上させたエクスエリアデザイン。さらにスーパースポーツらしい戦闘的な雰囲気を強めたEVOは、5.2リッターV型10気筒自然吸気エンジンと7速DCTからなるパワートレインをミッドに搭載するモデルだ。

後輪操舵やトラクションコントロールなど最新技術を搭載

駆動方式は当初は電子制御多板クラッチを用いたAWDのみの設定だったが、市場の強い要望に応え前期型と同様にRWDモデルを後に追加。こちらは最高出力が610PSに抑えられていたものの、車重は1389kgとAWDモデルと比較して33kgの軽量化が図られていたことから、スポーツ志向の強いカスタマーからの人気は非常に高いモデルだった。

ウラカンEVOのEVOたる所以は他にもある。後輪操舵システムやトラクションコントロール、トルクベクタリング、そしてAWDを総合制御するLDVI(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグレータ)が採用されたことで(RWDモデルには後輪操舵は採用されない)、そのドライビングモードは、ステアリングホイール上に備わる「ANIMA」スイッチで選択することができる。これは前後して誕生したスパイダーもまた同様である。

さらにスポーツ性を高めた派生モデルも

2020年には「Super Trofeo Omologata」を意味する、公道走行が可能なスーパートロフェオともいうべき「STO」もワールドプレミアされた。市場でのその人気は圧倒的なもので、搭載エンジンは610PS仕様とEVO RWDに等しいものの、ボディパネルの75%以上はカーボンファイバー製となり車重は1339kgに。

フロントのボンネットフードはフェンダーやバンパーを一体としたSTOに特別なアイテムとなり、大型のリヤウイングもまたサーキットの雰囲気に良く似合う。ちなみにこのSTOが発生するダウンフォースは280km/h時に420kg。これはウラカン・ペルフォルマンテに対して53%増という数字に相当する。

同じく2020年の4月に発表された「テクニカ」は、フロントのV字型エアダクトやボンネット、さらにはトンネルバックスタイルを採用するなど、外観でもかなりの改良が施されたモデルだった。駆動方式はRWDだが、搭載エンジンは640PSに強化され、0→100km/h加速は3.2秒というデータを残しているラインナップ上の位置づけとしてはRWDとSTOの中間を担うモデルといってよい。

新たなドライブ体験を提供する「ステラート」

ウラカンの生産台数がトータルで2万台を超え、そろそろ次期モデルの噂も聞こえるようになってきた頃、今年ランボルギーニが発表したのが、シチュエーションを選ばずにウラカンのパフォーマンスを楽しむことができる「ステラート」だ。ベースとなっているのはAWDモデルのEVOで、その車高を44㎜上昇させることでオフロードなどでの新たなドライブ体験をカスタマーに提供した。ドライビングモードには新たに「RALLY」が追加されたほか、「STRADA」と「SPORT」モードにも新しい制御が与えられている。

ランボルギーニは今年5月、このステラートを最後にウラカンの受注を中止したと発表。現在はPHEVになるとも噂されるその後継車の誕生を待つのみである。先日は第4のモデルとなる可能性が強いスーパーGTのプロトタイプをも発表したランボルギーニ。その加速度的な勢いは、まだまだ続きそうだ。

登場初期のウラカンは、正式には「LP610-4」のサブネームが掲げられた。これは610PS仕様のエンジンをリヤに縦置きミッドシップする4WDモデルを意味した。

ランボルギーニの爆発的ヒットモデルとなった「ウラカン」の始まり(2014)【ランボルギーニ ヒストリー】

コンパクトさと従来より安価な販売価格から爆発的なヒット作となった「ガヤルド」。そのガヤルドの後継モデルが、2014年のジュネーブ・ショーで正式にワールドプレミアされた「ウラカン」である。スペイン語でハリケーンという意味の闘牛の名をもつ新時代スーパースポーツを解説する。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…