【ランボルギーニ ヒストリー】ヴェールに包まれた謎多きコンセプト「テルツォ ミッレニオ」

西暦3000年のスーパースポーツカー予言した「ランボルギーニ テルツォ ミッレニオ」(2017)【ランボルギーニ ヒストリー】

【ランボルギーニ ヒストリー】ヴェールに包まれた謎多きコンセプト、テルツォ ミッレニオ
ランボルギーニが発表したフルEVコンセプトモデル、テルツォ ミッレニオ。
「テルツォ ミッレニオ」(=西暦3000年)と命名されたランボルギーニのコンセプトカーは、スーパーキャパシタを用いたフル電動車。そのスペックのほとんどが未公表というミステリアスなコンセプトモデルを解説する。

Lamborghini Terzo Millennio

ランボルギーニの未来を映すフルEVコンセプト

ランボルギーニの遥か未来を見据えて開発されたテルツォ ミッレニオ。4基のモーターを用いて4輪を駆動するフルEVコンセプトカーとして発表された。

ランボルギーニは2014年にPHEVのコンセプトカー、アステリオンを発表したが、さらに2017年11月にはフルEVのスーパースポーツカー、テルツォ ミッレニオを発表している。その開発はアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)と共同で行われた。

4輪を4基のモーターで駆動し電力はスーパーキャパシタが供給

極端に低いルーフに不釣り合いなほど大径のホイールを備えたエクステリア。ボディパネルは自己修復システムを備えたナノチューブカーボンファイバーを採用する。

テルツォ ミッレニオ、つまり西暦3000年を見据えたコンセプトカーというだけに、もはやこれまで自動車の動力源としてメインの役割を果たしてきた内燃機関はこのモデルには存在せず、4基のエレクトリックモーターで4輪を駆動。4輪を各々にコントロールできるというメリットを活かし、トラクションやハンドリングのコントロールをより積極的に行うことが可能になるという。

モーターの出力等のスペックは発表されていないが、パワーストレージにはスーパーキャパシタが使用されるなど、概要については一部発表されているものもある。ボディの傷などを自己修復するナノチューブカーボンファイバーボディパネルや、サーキットでのフルラップ走行をも可能にする自律運転システムなどはその代表的な例。

詳細なスペックは未公開に終わったテルツォ ミッレニオ

通常、ランボルギーニはコンセプトカーと言えどある程度のスペックを公開してきたが、テルツォ ミッレニオに関してはほとんど情報を明かしていない。謎に包まれたミステリアスなモデルとして後世に伝えられるだろう。

そのスタイリングからは、未来のランボルギーニ車、すなわち内燃機関が必要なくなった時代のランボルギーニ車のデザインがどのようになるのかを垣間見ることもできる。テルツォ ミッレニオのエアロダイナミクスはもちろんきわめて優秀なものというが、そこで使用されているテクニックはやはり未公開。それがオンロードカーの世界で実用化されるまでには、まだ相当な時間が必要なようだ。

2013年に創立50周年という記念すべき節目を迎えたランボルギーニ。その歴史の中には不遇な時代もあったことは事実だが、現在のランボルギーニは間違いなく、アウディ・グループの中で最も安定し、そして過去にはなかったレベルでの成長期を迎えている。その象徴ともいえるテルツォ ミッレニオ。それもまた歴史に残るコンセプトカーの一台だ。

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…