【ランボルギーニ ヒストリー】進化を続け圧倒的な支持を得たカウンタック

空前のヒットを記録した「カウンタック アニバーサリー」(1982-1988)【ランボルギーニ ヒストリー】

【ランボルギーニ ヒストリー】進化を続け圧倒的な支持を得たカウンタック
苦境が続くランボルギーニは、虎の子のカウンタックを進化させることで生きながらえる。ここでは最多販売台数を記録した25th アニバーサリーを解説。
フェルッチオ・ランボルギーニの手を離れ新体制となったランボルギーニ社だったが、その経営は依然として苦しいものだった。その現状を打開すべく、ランボルギーニはカウンタックの進化モデルを次々とリリース。最終モデルとなった25th アニバーサリーはシリーズ最多販売を記録するに至った。

Lamborghini Countach 25th Anniversary

新たなオーナーの指示により進化したカウンタック

オイルショックなど世界的な不況も相まって生産台数が伸び悩んでいたランボルギーニにとって、進化し続けたカウンタックはまさに獅子奮迅の活躍を見せる。

1978年にカウンタックの最初の改良型となるLP400Sを発表し、それと同時期には8気筒モデルのウラッコの進化型ともいえる、シルエットを市場に投じるなど、表面的には積極的なニューモデルの投入を行っているかのように見えたランボルギーニ。だが、実際にその経営は、アメリカの軍用車両製作メーカーであるMTIやBMWとのジョイントビジネスがいずれも失敗に終わったこと、そしてオイルショックを直接の理由とする世界経済の低迷にも影響され、なかなか好転のチャンスは訪れなかった。

結局ランボルギーニは政府の管理下に置かれることになったのだが、1981年になると新たなオーナーとしてフランスの実業家、パトリック・ミムランによってランボルギーニの全株式が取得され、社名も正確にはヌォーヴァ(新しい)・アウトモビリ・フェルッチオ・ランボルギーニと改められることになった。スタンツァーニに代わってチーフ・エンジニアとなったのは、ミムランに前後してデ・トマソからランボルギーニへと移籍していたジュリオ・アルフィエーリで、ミムランはまず唯一の生産車であるカウンタックを、さらに魅力的なモデルへと進化させることを彼に指示したのだった。

5.0リッターV12へと改めて登場した「LP500S」

1985年の後半にデビューした「LP5000 QV」。QV=クワトロバルボーレと名乗るようにV型12気筒エンジンは遂に4バルブ化を果たし、ライバルのフェラーリ テスタロッサを上回る455PSを発揮した。

そのリクエストに応えてアルフィエーリの手によって完成したのが、1982年に発表された「カウンタック LP500S」だった。エクステリアは基本的にLP400Sのディテールを受け継いでいるものの、ドアパネルは若干大型化され、そしてなにより搭載エンジンがネーミングからも想像できるように5.0リッターの排気量を設定した(正確には4754cc)V型12気筒に変更されたことが最大のトピックスだった。

最高出力は375PS、最高速度300km/hと発表。発生回転数はわずかながら低下され、これはカウンタックというスーパースポーツを日常的に使用するに十分なフレキシビリティを与えることを目的とした改良策だった。LP500Sは1985年まで継続され、この間に323台が本社工場から出荷された。

1985年には4バルブ化を実現

新たな親会社となったクライスラーの指示により誕生した25周年記念モデル「カウンタック 25th アニバーサリー」は1988年にデビュー。LP5000 QVからの流れを汲むものの、オラチオ・パガーニの手により個性的なアレンジが加えられ迫力を増しているのが特徴。

1985年の後半になると、アルフィエーリはV型12気筒エンジンのストロークをさらに延長し、排気量を5167ccに拡大。ヘッドをDOHC4バルブ化した「LP5000 QV(クワトロバルボーレ)」を生み出す。

455PSというフェラーリ テスタロッサを大きく超えるパワー、そしてLP500Sから北米向けのインジェクション仕様を設定したことなどの相乗効果もあり、LP5000 QVは1988年までに632台が生産された。

最多販売台数を記録した25周年記念モデル「アニバーサリー」

オラチオ・パガーニによる追加パーツは、カウンタックに新たな個性を与えた。そして、このアニバーサリーは最多販売台数を記録。約20年にも渡るカウンタックのヒストリーの中で、もっとも人気を博した。

そして、1987年にはランボルギーニの経営権は、ミムランからアメリカの自動車メーカー、クライスラーへと移る。そのクライスラーのもとで、最終バージョンとなる「カウンタック アニバーサリー」へと進化するのだ。

カウンタック アニバーサリーは、1988年から1990年までの間に、カウンタックのモデル中で最多となる657台が生産された。個性的なサイドシルやエアインテークなど、アニバーサリーに独自のディテールをデザインしたのは、現在ではパガーニ・アウトモビリ社を率いるオラチオ・パガーニ。インテリアはLP5000 QVの基本デザインを継承しているが、その使い勝手の良さや快適性、装備レベルなどは各部に強く表れている。

ミッドに搭載されるエンジンは、こちらもLP5000 QVと同様、5167ccのV型12気筒DOHC4バルブで、欧州仕様とインジェクションを使用する北米仕様の2タイプが設定されたことも変わらない。ダウンドラフト型のウェーバー製44DCNF型キャブレターを組み合わせる欧州仕様の最高出力は455PS。すでにこのアニバーサリーが誕生する時点で、親会社のクライスラーはカウンタックの後継車を開発することを決定していたから、新開発のエンジンをこのアニバーサリーに与える必要はないと判断したのだろう。

プロトタイプのLP500から約20年。カウンタックはランボルギーニのみならず、スーパーカーの象徴として多くのファンの心を刺激し続けた。

SPECIFICATIONS

ランボルギーニ カウンタック LP500S

発表:1982年
エンジン:60度V型12気筒DOHC
総排気量:4754cc
圧縮比:9.2
最高出力:276kW(375PS)/7000rpm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:RWD
車両重量:1490kg
最高速度:300km/h

ランボルギーニ カウンタック LP5000 QV

発表:1985年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:5167cc
圧縮比:9.5
最高出力:335kW(455PS)/7000rpm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:RWD
車両重量:1490kg
最高速度:297km/h

ランボルギーニ カウンタック アニバーサリー

発表:1988年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:5167cc
圧縮比:9.5
最高出力:335kW(455PS)/7000rpm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:RWD
車両重量:1490kg
最高速度:295km/h

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

発表会場となったチェントロ・スティーレ。そこで我々を待っていたのは、「REVUELTO」(レヴエルト)のプレートを掲げた一台の新型12気筒ミッドシップだった。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…