【マクラーレン クロニクル】快適性とスポーツ性が魅力のGTを進化させた「GTS」

GTのラグジュアリーなドライブをさらに進化させた「GTS」【マクラーレン クロニクル】

サルーン並みの快適なドライブとサーキット走行さえ余裕でこなす走りを味わえる、二面性を持つ「GTS」。
サルーン並みの快適なドライブとサーキット走行さえ余裕でこなす走りを味わえる、二面性を持つ「GTS」。
フロントのトランクとシート背後にラゲッジスペースを備える「GT」。そのコンセプトを受け継ぎつつ、4.0リッターV8ツインターボエンジンの最高出力を高め、フロントやリヤセクションのデザインを改めてエアロダイナミクスを見直した後継モデルが「GTS」だ。進化の内容を解説する。

McLaren GTS

快適なドライブとサーキットに耐える走り

「マクラーレン GTS」は、2019年に発売されたGTの後継車として2023年末に発表されたニューモデルだ。とかくスーパースポーツやハイパーカーばかりが話題になる中にあって、このGTSはそのネーミングが物語るとおり、GT(グランツーリスモ)としてのラグジュアリーなドライブをカスタマーに提供するモデルである。

とはいえこのGTSもマクラーレンのエンブレムを掲げるだけに、その設計思想や高性能なパフォーマンスは、ほかのマクラーレン車と一切変わることはない。ドライバーの気分によって、サルーン並みの快適なドライブや、サーキット走行さえ余裕でこなす走りを味わえる、二面性を持つ1台と考えればそのコンセプトもより容易に理解できるのではないだろうか。

大きく進化したエアロダイナミクス

このGTSも、その基本構造体とされているのは軽量で高剛性な、マクラーレンでは「モノセルⅡ-T」と呼ばれるカーボンファイバー製のモノコックだ。そのほかのパートにもさまざまな軽量化技術が導入されており、たとえばスタンダードなルーフには再生カーボンファイバーを使用。それらのストイックな軽量化への取り組みによって、全長4683×全幅2095××全高1213mmというボディサイズを持ちながら、その車両重量(DIN)は1520kgを達成している。この軽さは、おそらくは実際にGTSをドライブするカスタマーならば最初に強い印象として残るインプレッションとなるはずだ。

ボディデザインは、前作GTのコンセプトを受け継ぎつつ、さらにスムーズでエアロダイナミクスに富むものに改められた。フロントバンパーのデザインは一新され、そこに備わるエアインテークも新デザインに。一方リヤセクションでは、さらにサイズが拡大されたデフューザーや、リヤフェンダーのデザインを改めるなど、GTからの変化は想像する以上に大きい。

GTに対して15PSアップのV8ツインターボ

優れた後方視界を実現したリヤクオーターウインドウや大きなテールゲート。もちろん最大の魅力はシートの背後に備わるラゲッジスペースの存在だ。

リヤクオーターウインドウや大きなテールゲートはドライバーの後方視界を良化させるためにも貢献しているが、もちろん最も大きな魅力はシートの背後に備わるラゲッジスペースの存在。フロントのトランクを加えれば、かなりの量の荷物が積み込める。

ミッドに搭載されるエンジンは、4.0リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力値と最大トルク値は、それぞれ635PS、630Nmと発表されており、これにはDCTの2ペダル7速SSGが組み合わされる。この最高出力は、これまでのGTに対して15PSのアップ。最高速は326km/hとマクラーレンからは発表されている。

GTセグメントでありながら軽量と高剛性を誇る「GT」。長距離移動の際にも快適性とともに高い運動性能を感じさせてくれる。

ストイックなスポーツカーだけじゃない方向を模索した「GT」とは?【マクラーレン クロニクル】

一級のスポーツカーでありながら前後のラゲッジルームに広大な容量を確保した「マクラーレン GT」。これまでのスーパースポーツ路線よりも、やや快適な実用性と運動性能を両立した、新機軸スポーツカーを解説する。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…