【マクラーレン クロニクル】フロントエンジン風デザインのミッドシップ「X-1」

フロントエンジン風デザインのミッドシップ「X-1」はなぜ生まれたか?【マクラーレン クロニクル】

1961年式のファセル・ヴェガ、1953年式のクライスラー・デレガンス・ギア、そして1971年式のシトロエンSMなどからインスピレーションを得たという「X-1」。
1961年式のファセル・ヴェガ、1953年式のクライスラー・デレガンス・ギア、そして1971年式のシトロエンSMなどからインスピレーションを得たという「X-1」。
2012年にマクラーレン・オートモーティブがMP4-12Cをベースとして開発したワンオフモデル「X-1」。もちろんそれをデザイン、製作したのは、同社のビスポーク部門であるMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーション)である。さまざまなモチーフから具現した特殊なデザインのスーパーカーを解説する。

McLaren X-1

あるカスタマーのために製作されたワンオフモデル

マクラーレンが2012年8月のモントレー・カーウィークの中で開催された、「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」でワールドプレミアした、あるカスタマーのために製作されたワンオフモデル。それがここで紹介する「X-1」だ。

モントレー・カーウィークには、自動車に興味を持つ富裕層が、夏休みを兼ねて多数訪れるため、高級車ブランドはここ最近モーターショーを避け、ここでニューモデルの発表を行うことが多いが、マクラーレンもまたその例外ではなかったということになる。

MP4-12Cをベースとして

X-1のベースとなっているのは、当時マクラーレンが生産していたMP4-12Cで、それに同社のビスポーク部門であるMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーション)のデザインと製作による新たなボディが組み合わせられたというのが正確な成り立ちになる。

そのデザインは、じつに18ヵ月にも及ぶ長期にわたって進められ、インスピレーションを得たモデルには、1961年式のファセル・ヴェガ、1953年式のクライスラー・デレガンス・ギア、そして1971年式のシトロエンSMなどがあったという。さらにはグッゲンハイム美術館を含むさまざまな建築物やジャガー・ルクルトのアール・デコ調の時計、エアストリームのトレーラー、グランドピアノ、あるいは茄子などもあったと、デザイン・ディレクターのフランク・ステフェンソンは当時コメントしている。

そして当時のフロントエンジン車のデザインを、ミッドシップ車であるX-1において再現する点にも大いに苦慮したと彼は言葉を続けた。

超少量生産モデル誕生のきっかけ

ワンオフながらその最高出力は625PSと25PSのエクストラが与えられている。
ワンオフながらその最高出力は625PSと25PSのエクストラが与えられている。

X-1のボディサイズは、MP4-12Cと比較すると、全長で110mm長く、全幅では190mmワイドな設定。一方車重はおよそ1400kgで、これは同様の比較で34kgのマイナスという結果になる。ミッドに搭載されるエンジンは3.8リッターV型8気筒ツインターボで、その最高出力は625PS、最大トルクは600Nmと、最高出力のみ25PSのエクストラが与えられている。

このX-1を皮切りに、マクラーレンからはその後、MSOによる「Rクーペ/スパイダー」「MSO X」「エルヴァ・M1A by MSO」などのワンオフモデルや超少量生産モデルが誕生するに至っている。高級車ブランドにとって、やはりハイエンドのカスタマーに特別にデリバリーするべきワンオフモデルの存在は必要不可欠なのだろうか。

新世代マクラーレンのファーストモデルとして、2011年に誕生した「MP4-12C」を紹介する。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…