【マクラーレン クロニクル】スポーツだけじゃなく実用も兼ね備えた「GT」

ストイックなスポーツカーだけじゃない方向を模索した「GT」とは?【マクラーレン クロニクル】

GTセグメントでありながら軽量と高剛性を誇る「GT」。長距離移動の際にも快適性とともに高い運動性能を感じさせてくれる。
GTセグメントでありながら軽量と高剛性を誇る「GT」。長距離移動の際にも快適性とともに高い運動性能を感じさせてくれる。
一級のスポーツカーでありながら前後のラゲッジルームに広大な容量を確保した「マクラーレン GT」。これまでのスーパースポーツ路線よりも、やや快適な実用性と運動性能を両立した、新機軸スポーツカーを解説する。

McLaren GT

新たな時代を築くグランドツアラー

ミッドに搭載されるエンジンは「M840TE」型4.0リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力は620PSに抑えられているが、実用域での扱いやすさは向上したという。

それはマクラーレンにとって、とても難しい挑戦だったのかもしれない。それまで他社のモデルよりもピュアな、表現を変えるのならばストイックなスポーツカーを生産してきたマクラーレンが、新たな時代を築く「GT」、すなわちグランドツアラーを生み出し、それを世に問うというのだから。

しかも彼らがこれまで培ってきたパフォーマンスへのノウハウは一切の妥協なく、そのGTには導入されるという。はたしてその挑戦は成功したのだろうか。じっさいに2019年にデビューを果たしたGTの概要を解説しながら、その評価をもう一度考えてみることにしたい。

GTの設計は、基本的には720Sのそれをベースとしたものだ。とはいえボディデザインだけがGTのために描き直されたわけではなく、そのカーボンファイバー製モノコックも「モノセルⅡ-T」と呼ばれる専用のものが使用される。GTのセグメントでカーボンファイバー製シャシーを採用するのはきわめて珍しく、それが生み出す軽量性と剛性の高さこそが、長距離を移動する機会も多いGTに、快適性とともに魅力的な運動性能を体感させてくれるのだ。

明るく開放的な雰囲気に満ち溢れるキャビン

GTの走りに圧倒的な安定感と精度を感じさせてくれるもうひとつの理由は、もちろんそのボディデザインが生み出す優秀なエアエロダイナミクスにある。GTのボディは720Sなどと比較すると、全長方向では4685㎜とさらに長く設定されており、それは同時に優美なシルエットを生み出す直接の理由ともなっている。最低地上高も拡大され、走行中に路面のコンディションに神経質になることも少なくなった。すべてのデザインは機能のためにある。マクラーレンのデザイン哲学は確かに継承されていた。

インテリアのデザインにおいても、マクラーレンは新たな基準をこのGTで実現した。その美しさはもちろんのこと、耐久性や性能、そして軽量性。これらはGTのインテリアに使用される素材のすべてに共通していえる特長で、もちろんオーナーの好むインテリアテーマによって、それは自由にカスタマイズすることができた。完璧に設計されたドライビングポジションを得られることや、GTならではの快適性とサポートを提供するシートも、やはりこれまでのライバル車を超える魅力を持つものだったはずだ。

ラゲッジルームはフロントに150L、リヤに420Lを確保。リヤハッチの開口面積も大きく、それに連続する透過光可変式のガラスルーフの恩恵で、キャビンはさらに明るく開放的な雰囲気に満ち溢れることになった。

実用域での扱いやすさが向上したパワートレイン

ミッドに搭載されるエンジンは、「M840TE」型と呼ばれる、4.0リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力は620PSに抑えられているが、実用域での扱いやすさは向上しているとマクラーレンは説明している。ミッションは7速SSG。このパワーユニットによって、0-100km/h加速を3.1秒で、また最高速は326.7km/hを達成した。これもまた、乾燥重量で1466kgと発表されたウエイトの恩恵による部分が大きい。燃費性能はEU値で11.9L/100km、CO2エミッションは270g/kmという数字である。

マクラーレンはこのGTによって、新たなグランドツアラーの姿を生み出した。そう考えることにもはや異論はないだろう。そして先日、彼らは、そのさらなる進化型となる「GTS」を発表。さらに魅力が高まったマクラーレン製グランドツアラーの詳細は、別項でまた触れることにしよう。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…