家庭で大満足のエスプレッソを飲める「Espresso Tokyo Superkop」

素朴なアイデアで家庭用ながら大満足のエスプレッソを飲める「Espresso Tokyo Superkop」【COOL GADGETS Vol.48】

高さこそ必要だが実にコンパクトな「Espresso Tokyo Superkop」。壁付け設置も可能だという。
高さこそ必要だが実にコンパクトな「Espresso Tokyo Superkop」。壁付け設置も可能だという。
エスプレッソは本来、92〜96度のお湯で抽出するのが理想だ。しかし、業務用など高価格なマシンを除いて、大多数の家庭向けエスプレッソマシンは、ボイラーで沸騰させた100度近い高温となるという。今回紹介するガジェットはそれを解決した画期的なエスプレッソマシンである。(GENROQ 2023年9月号より転載・再構成)

電気を使わないけれども

約25〜30秒間にレバーをゆっくりと確実に6回押し下げる。1回のレバーの上げ下ろし時に最適な圧力(9気圧)になるよう調整されているため、それほどの力は必要としない。

この連載では珍しく、“電気を使わない”エスプレッソマシンを紹介することにしよう。今時、フルオートのエスプレッソメーカーは手軽に入手できる。焙煎したコーヒー豆をコンテナに入れておけば、自動的に挽いてポルタフィルターに詰め、抽出液の乳化と味わいのバランスが最高となる9気圧で抽出してくれる。それなのに、何を今さら手動レバーなのかって? 理由は2つある。

ひとつはSuperkopがエスプレッソを飲むための「困りごと」を、ほとんど解決してくれること。もうひとつは「旨い」エスプレッソを手軽に飲めるからだ。手動なのに高価だって? おそらくこのコラムを読み終わる頃にはその気持ちも変わってるはずだ。コイツで淹れたエスプレッソは旨い。とろりとした舌触りのクレマは、豆の脂質を適度に含んでまろやかで香り高い味わい。

家庭向けエスプレッソマシンとして理想的

自動でお湯を作ってくれる家庭向けエスプレッソマシンの大多数はボイラーで加熱した水を直接ポンプに送り込んで抽出する。湯の温度は92〜96度くらいが最適だが、さまざまな環境できちんと抽出するため、業務用に近い高価格なマシンを除けばボイラーで沸騰させた100度近い高温のままだ。Superkopは別途沸かした湯を、ポルタを装着した小さいタンクに注ぎ入れてから本体にセット。抽出する形だ。適度なリズムで抽出すれば高温になりすぎることはない。ここから長尺レバーをゆっくり6回押し下げると与圧タンクの気圧が一気に高まり、圧力バルブから9気圧均等に60ccの湯をポルタに送り込んでエスプレッソを抽出する。レバー式は高額な業務用としては以前から銘品が存在するが、家庭向けでここまで満足できる味のエスプレッソが、しかもスーパーシンプルな構造で楽しめるとは。他に例がない。

もうひとつの利点は、面倒くさがりな僕でも使いたいと思わせること。全自動マシンは簡単なようでいて、使用後の洗浄や定期メンテなど意外に手がかかる。ボイラー内蔵だとカルキの掃除も必要だし、そもそも小型化された家庭用マシンのポンプは壊れやすく修理しにくい。

高い圧力を扱う自動機械である上、硬い豆を挽くミルもやはり故障しやすい機器の代表格。ボイラーやミルが内蔵されてないのは、実は家庭向けエスプレッソマシンとしては理想的なのだ。正直、なぜ今までこんなにシンプルで機能的な装置がなかったのか、不思議に思える。

手間いらずで長く使い続けられる

ポルタフィルターは2口抽出タイプ(写真)とおひとり用のボトムレスタイプ(追加オプション)の2タイプが用意される。用途に合わせて使い分けたい。

機械的に壊れにくいことは一目瞭然だが、見えないところにも心配事はある。業務用のレバー式マシンは気密性を保つパッキンなどの定期交換が必要なのだが、こちらも30万回のテストでも圧力が変わらないことがわかっている。もちろん必要ならば、自分で部品交換することも可能。洗浄もポルタに残ったカスを取り出し、洗浄するだけ。本体のメンテは本当に不要だ。最小限の手間で、ずっと長く使い続けられる。こんなエスプレッソマシンは過去にみたことがない。そして最後にもうひとつ。

単体での設置は高さこそ必要だが実にコンパクト。さらに壁付け設置も可能。専用のカップトレイもオプションで販売される。キッチンを見渡してレイアウトできる場所を考えてみてはいかがだろう?

REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2023年9月号

評価

コストパフォーマンス:3
味わい:5
設置性:4
耐久性:5
メンテナンス性:5

高価に感じるが同等品質のエスプレッソを楽しめる装置として考えればフェアな設定。しかも手動だからこその長寿命製品で、いつまでも変わらぬ旨さをずっと享受できる逸品だ。

PRICE

13万9700円

【問い合わせ】
Espresso Tokyo公式サイト
https://espressotokyo.jp/

フィルターは一般的な台形型ではなく円錐型を採用。熱によって失われる風味を最小限に抑えるコンパクトなコーヒーミルも純正で用意されるという。

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著者プロフィール

本田 雅一 近影

本田 雅一

テクノロジージャーナリスト、オーディオ&ビジュアル評論家。ガジェットはもちろん、ITやクルマにも精通…