【ランボルギーニ ヒストリー】レーシングイメージのワンオフモデル「SC18 アルストン」

ランボルギーニのレース部門が主導したワンオフモデル「SC18 アルストン」(2018)【ランボルギーニ ヒストリー】

【ランボルギーニ ヒストリー】ランボルギーニが手掛けたワンオフモデル、SC18 アルストン
レーシーなアピアランスを纏ったワンオフモデル、SC18 アルストン。
ランボルギーニはカスタマー・レースにも注力しており、スクアドラ・コルセがサービスを提供する部門として機能している。そのスクアドラ・コルセが、カスタマーの求めに応じてワンオフで作り上げたのがSC18 アルストンだ。

Lamborghini SC18 Alston

カスタマーのリクエストに応えたワンオフ

中国のカスタマーによる依頼から生まれたSC18 アルストン。車名はオーダーしたカスタマーの子息からとられたもの。ウラカンのスーパートロフェオやGT3をイメージしたアピアランスを採用している。

ランボルギーニは、2018年のランボルギーニ・スーパートロフェオ・ワールドファイナルの開催に併せて、SC18 アルストンとネーミングされたこのワンオフモデルを発表した。

これは中国のカスタマーからオーダーされたもので、ベースとされているのは12気筒モデルのアヴェンタドール。車名のSC18はランボルギーニのカスタマー・レース部門、スクアドラ・コルセが2018年に製作したものであることを、またアルストンはこのモデルをオーダーしたカスタマーの息子の名を表しているという。

最新レーシングカーのエッセンスを表現

ランボルギーニのカスタマー・レース部門、スクアドラ・コルセのノウハウが投入されて誕生したワンオフモデル。アグレッシブなエクステリアを纏う。

ちなみになぜこのモデルが、ランボルギーニではなく、あえてスクアドラ・コルセによるワンオフモデルとされたのかについて、ランボルギーニのステファノ・ドメニカリCEOは、カスタマーが2013年にランボルギーニの創立50周年を記念して3台のみを限定生産したヴェネーノのクーペモデルをさらに進化させたデザインを望む一方で、最新のレーシングカーとの関連性と先進性をエクステリアから強く感じさせるデザインをリクエストしたためだったとコメントしている。つまりこのモデルのデザインには、スクアドラ・コルセがレース活動を続ける中で得た技術的なノウハウが継承されているのだ。

実際にSC18 アルストンのデザインを見ていこう。最も印象的なのは、やはりフロントセクションの過激なデザインだ。それは確かにヴェネーノのイメージにも共通するもので、ボンネット上のエアアウトレットからは、ウラカンのスーパートロフェオ、あるいはGT3マシンとの類似性も感じられる。

ランボルギーニ製ワンオフモデルの記念碑

アヴェンタドールをベースにカスタマーの要望に沿ったレーシーなデザインを纏う。サーキットはもちろん公道走行も可能に仕上げられているという。

リヤセクションに視線を移せば、3段階にセッティングを変更できるリヤウイングや、大型のディフューザーなど、こちらもエアロダイナミクスを最適化するためのさまざまなデバイスが備わり、まさに機能美という表現そのものの美しさが感じられる。インテリアも同様に、レーシーでかつスタイリッシュな雰囲気だ。ちなみにこのSC18 アルストンはサーキットのみならずオンロードでの走行も可能。もちろんカスタマーが実際にその走りをオンロードで楽しむかどうかは分からないが。

ミッドに搭載されるパワーユニットは6.5リッターのV型12気筒で最高出力は770PS。これにシングルクラッチ式の7速ISRを組み合わせる。駆動方式はもちろん電子制御多板クラッチを用いた4WDで、プッシュロッド方式のサスペンションなど、そのメカニズムはアヴェンタドールのそれから大きな変更はない。マグネシウム製の軽量なホイールはフロントが20インチ、リヤが21インチのセンターロック式。これにはピレリ製のPゼロ・コルサが組み合わせられる。

SC18 アルストンの誕生で、今後ランボルギーニにもフェラーリと同様に、ワンオフの製作に対してさらにカスタマーからの注目が集まりそうだ。ちなみにこのSC18 アルストンの製作に要した期間は約1年。ランボルギーニにとっても、ワンオフ、あるいは数台の限定車を意味するフユーオフの製作は、これからさらに重要なビジネスとなっていくのは間違いないだろう。

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…