あの頃憧れた「BMW M3」はどの世代が買いか検証する

超本命の人気中古モデル「BMW M3」を買うならどの世代?【今買うなら、ひょっとしてコレちゃう?18台目】

最後のM3クーペ。これ以降、M3といえば4ドアセダンを指し、2ドアはM4になった。そして、最後の自然吸気M3でもある。
最後のM3クーペ。これ以降、M3といえば4ドアセダンを指し、2ドアはM4になった。そして、最後の自然吸気M3でもある。
クルマの流行廃りにあわせて大きく動く中古車市場。もしも中古車ライフを送るなら、その波を正確に捉えてお得な買い物をしたいものだ。そんな時代の羅針盤たるべく、西川淳が「今」買いのクルマを紹介する。第18回はポルシェ911と並んで人気のスポーツカー「BMW M3」を見定める。

BMW M3

あまり人気になって欲しくない

MTで5万km以内だとさすがに500万円超えてくるけれど、それでも600万を超えることはない。

なんだかんだBMWが好きなんだな、とつくづく思ったのは先ほど今年(2023〜2024)のカー・オブ・ザ・イヤー・セレクション第1弾があって、まずは個人的な10ベストを投票したのだけれどBMW車を3台も選んでしまったから!(全体的に不作な年だったというのもあるけれど)

同じブランドのモデルを3台も選ぶなんて、お付き合いを考える人や忖度する人にはなかなかできないと思う。バランスを著しく欠いているというわけだ。だって仕方ない。今年リストアップされたノミネート車全てに個人的な順位を付けて上から10台を選ぶという作業でしかないのだから、僕の場合。

それはさておき。そんなビーエム好きにも関わらず、本企画で挙げたモデルはV10のM6のみ。実を言うと、ここで取り上げてあまり人気になって欲しくないという気持ちがあった。メディアに紹介したくないレストランと同じだ。実際、過去にここで紹介したなかにはあっという間に市場から姿を消したか、相場が上昇してしまったかしたモデルもちらほら……。自分で欲しいクルマを取り上げづらい状況になってきた。

狙い目はE90型3シリーズ時代のM3

とはいえ、そうそう良いネタが転がっているわけじゃない。今回はビーエムのとっておきを紹介してしまおう。狙っていた人、ごめん。早く決めて!

実は私、古いモデルは別格として、1990年代以降ではM3クーペが一番好き。E30はそうでもないけれど、E36、E46のM3は今でも乗りたくてしようがない。E46は過去にも乗っていたし、もう一度乗りたい。でも、けっこう高いんですよね、走行距離が少なくて3ペダルのマニュアルギアボックスで、となると。

そんな時、ふと気づいた。あれ? さらに新しいE90型3シリーズ時代のM3(E92ね、正確には)もさほど相場変わらへんやん。MTで5万km以内だとさすがに500万円超えてくるけれど、それでも600万を超えることはない。カーセンサーを見て最も気に入った個体は2008年式2.4万kmで本体価格570万円くらい。新車時価格は当時およそ1000万円だったから、まぁ、順当だ。

で、刮目すべきはE92型M3に飾るウンチクだ。わかりやすいキャッチフレーズ、例えば限定とか最後とか、が多ければ多いほど将来性は高く期待できる。E92型M3、いっぱいある。

V8のNAのMT

まずは最後のM3クーペだ。これ以降、M3といえば4ドアセダンを指し、2ドアはM4になった。次に最後の自然吸気M3だ。M3もM4もこのモデル以降はターボエンジンを積むことになった。さらに最初で最後のV8搭載M3だ。ご存知S85型V10エンジンの5分の4。S65エンジンを積む。こんなに個性的なM3は他にない。

V8のFRクーペでMTというモデルも実は少ない。アメリカンマッスルは伝統的にそうで、最近のモデルではマスタングやコルベット、チャレンジャーあたりがあるが、ヨーロッパだとアストンマーティンやジャガーといった英国勢に、マセラティあたり。ドイツ勢ではビーエムのMだけ。やっぱりレアだ。しかもサイズ感やスタイルを考慮するとさらにレア度は増す。アメリカンマッスルはでかいし、ヨーロピアンは完全なるスポーツクーペスタイル。M3のようにセダンクーペに近い実用スタイルで、しかも程よいサイズのV8モデルとなると、なかなか見当たらない。

実際に乗ってみると、やっぱりそのサイズが効いてくる。今でいうところのM2ぐらいのサイズ感(4615mmなので現行型M2の4580mmよりも少しだけ長い)でV8のNAをスティックシフトで引っ張るのだから、楽しくないはずがない。いや、書いていてすぐにでも買って乗りたくなってきた。

V8なのにシルキー

実は少ないV8のFRクーペでMTというスポーツカー。

エンジンフィールは8気筒といえどもシルキーで、パワーもトルクもまだまだ扱いきれる数値。しかもNAだからさらにコントロールしやすい。新車時にもやや重くは感じたから、今乗るとさらに鈍く思うかもしれない。ハンドリングマシンとしてのM3を期待すると、やや違う。けれどもその分、GTとしての性能も高いはず。そう、この時代一瞬だけM3はラグジュアリー路線になった。この味はその後、M5へと引き継がれたのだと思う。

いずれにしても、いろんな意味で最後のM3。自然吸気マルチシリンダーのMTモデルとして長く乗って吉だと思う。

基本設計を大きく変えることなく四半世紀以上にわたり生産された「ロータス エリーゼ」。1996年から2001年までがシリーズ1、2011年までがシリーズ2、2021年までがシリーズ3となる。

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西川 淳