ボルボの最新フル電動コンパクトSUV「EX30」に試乗

新世代ボルボを感じさせるフル電動コンパクトSUV「EX30」が人気の理由は程よいサイズと高い品質

エクステリアは、EVならではのフロントシールドデザインやボルボのアイデンティティを主張するトールハンマーライトが印象的だ。
エクステリアは、EVならではのフロントシールドデザインやボルボのアイデンティティを主張するトールハンマーライトが印象的だ。
ボルボのBEVラインナップに第3のモデルとなるEX30が登場した。日本の道路や駐車環境にうってつけのコンパクトなサイズは本邦だけでなく世界市場で大きな人気を博しているという。スペイン・バルセロナで注目のフル電動コンパクトSUVに乗った。

VOLVO EX30

コンパクトSUVとはいえ堂々たるサイズ

車両重量は2065kgとヘビー級だが0-100km/h加速5.3秒、最高速180km/hと十分な性能を持つ。

徐々に、だが着実にその選択肢が増えつつあるバッテリーEV(以下、BEV)。中でも激戦区が、コンパクトSUVセグメントだ。その激戦区にボルボが投入したのがEX30である。車名の数字からも分かるように「C40リチャージ」や「XC40リチャージ」より1段下のクラスとなる。

とはいえ全長4235mm、全幅1835mm、全高1550mmのボディは、日本の道路や機械式駐車場にギリギリ収まる堂々たるサイズである。エクステリアは、EVならではのフロントシールドデザインやボルボのアイデンティティを主張するトールハンマーライトが印象的だ。外装と内装はアルミニウム約25%、スチール約17%など高いリサイクル率を誇り、意識高い系への訴求も抜かりない。

スポーツカー級の性能を持つツインモーターも

日本に導入されるのは、シングルモーター・エクステンデッドレンジという仕様で、最高出力272PS、最大トルク343Nmと十分な出力を発揮するモーターがリヤアクスルに搭載される。組み合わされるリチウムイオンバッテリーの容量は、69kWhで航続距離(WLTC)480kmを謳う。

車両重量は2065kgとヘビー級だが0-100km/h加速5.3秒、最高速180km/hと十分な性能を持つ。ちなみに日本への導入はまだ先だが、ツインモーター・パフォーマンスというグレードもあり、名前の通り前後アクスルにモーターを搭載し、最高出力428PS、最大トルク543Nm、0-100km/h加速3.6秒を誇る。最高速度はシングルモーターと同じ180km/hだが、これはボルボの信条によるものだ。今回シングルモーター仕様とともにツインモーターにも試乗できた。

試乗前の注意事項として、今回の試乗車はあくまでプロトタイプであるということが伝えられた。だから、今回私が感じた不満は、素早い改修によってデリバリー時には改善されているかもしれない。

大排気量内燃機関車のような加速

まずシングルモーター仕様で走りだす。最新世代の室内は、ややスクエアな形状のステアリングと縦型ディスプレイが特徴的だ。速度やドライブモード、バッテリー残量、走行可能距離はセンターディスプレイ上部に表示される。トルキーでしなやかな加速は大排気量内燃機関車のようだ。EVといえば回生ブレーキだが、協調制御に違和感がない。駐車時や渋滞時などの微低速域や、市街地での信号、高速道路のランプを降りる際など、様々な速度域で試したが不満はなかった。ワンペダルモードは選べるが、XC40などが備える前走車を認識して回生ブレーキの強弱を自動で調整するオートモードは備わらなかった。

これは車両の格(つまり30と40)の違いによるものだという。ボルボには優秀な追従クルーズコントロール(ACC)がこのEX30にも備わるので、これまで培った高精度センサーと優秀なアルゴリズムを生かさない手はないと思うのだが。

それとつづら折れの急カーブの連続では、ロックトゥロック2.8回転とスローなギア比もあって、やや操舵が忙しい印象だ。最小回転半径は5.35mと19インチタイヤを装着する割に小回りが効くのだが。

程よいサイズと十分な航続距離

激戦区のコンパクトSUVセグメントにボルボが投入したのがEX30である。

今回の試乗では日本に導入されるシングルモーター仕様の他に、ツインモーター仕様も試乗できた。シングルモーターの約1.6倍の最高出力と最大トルクを発揮し、スポーツカーもかくやという、過激な加速を見せた。なおツインモーターは20インチタイヤを装着していたが、245という幅は変わらず扁平率のみで調整されているため、乗り心地の面では19インチタイヤの方が当たりが柔らかく快適な印象だった。日本には20インチ仕様が導入されるという。

日本ではコンパクトカーというのは憚られる全幅だが、程よいサイズと十分な航続距離を持つEX30は、かなり有力な選択肢になるだろう。実際世界中でヒットしているようで、当初予定より増産して対応に当たっているという。日本へのデリバリーは2024年初を予定している。

全長4235×全幅1835×全高1550mmは、まさに日本の道路や駐車環境にうってつけのボディサイズ。プレゼンテーションを行うのは、2023年8月に就任したボルボ・カー・ジャパンの不動奈緒美 代表取締役社長

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著者プロフィール

吉岡卓朗 近影

吉岡卓朗

ゲンロクWeb編集長。趣味はクルマを用いたラリーやレースなどモータースポーツ活動だったが、現在はもっぱ…