美しい日本製クーペ「レクサス LC」を選ぶならV8?ハイブリッド?

日本車でもっとも美しいクーペ「レクサス LC」は今買いか?【今買うなら、ひょっとしてコレちゃう?19台目】

3.5リッターV6ハイブリッドを搭載するLC500h。
3.5リッターV6ハイブリッドを搭載するLC500h。
クルマの流行廃りにあわせて大きく動く中古車市場。もしも中古車ライフを送るなら、その波を正確に捉えてお得な買い物をしたいものだ。そんな時代の羅針盤たるべく、西川淳が「今」買いのクルマを紹介する。第19回はレクサスの誇るスタイリッシュクーペ「LC」を取り上げる。

LEXUS LC

大いにそそるジキルとハイド感

デビューからもう間も無く7年を迎えるとは思えない。見た目にせいぜい4年くらいの感じだ。今でも街ですれ違うと、「お、LCだ」と目で追ってしまう。

実用車ではない2ドアスペシャリティカーというものは得てしてそういうもので、そもそも全体のパイが少ない=珍しい、それ故もちろん新車販売台数の“少なさ”もある。けれどもそれだけではなく、モデルごとのデザインの力によるところも大きいと思う。美しいデザインは廃れにくいものだし、繰り返す流行のように評価の波が立ち現れる。

2017年にデビューしたレクサスLCは美しい国産クーペの筆頭、というか唯一だ。特に前からの眺めはサイコー。やや尻すぼみになるリアセクションを除けば、ほぼほぼパーフェクトに見える。そのデザイン力の高さを再確認したいのであれば、元となったコンセプトカー“LF-LC”の衝撃のデビューがさらに5年遡った2012年のショーであったことを思い出せばいい。基本的にはもう10年以上、クルマ好きに“晒された”デザインでもあった。

内外装デザイン以外のLCの魅力を挙げれば、それは当初からパワートレインとしてV6ハイブリッド(LC500h)とV8自然吸気(LC500)という2種類の選択肢を用意していたことだろうか。そのジキルとハイド感が大いにそそる。

磨き続けられるブランドの玉

コンセプトカーの格好があまりに出来すぎていると、普通は市販モデルへのリスタイリングをハナから諦めるか、挑戦してあえなく砕けちるか、大抵の場合どっちかだ。コンセプトカーがそのまま市販になったケースのほとんどは、デザインされた順序が逆。つまり市販車デザインありきでコンセプトカーを作っていた。

当時、現社長の佐藤恒治さんがLCの初代開発責任者だったが、発表時に実現への苦労話を聞いたことがある。コンセプトカーへのあまりの高い評価に「これがレクサスの生まれ変わるチャンス」とは感じたものの、「このままでは絶対に実現できないデザイン」だとも思っていたらしい。

実際、当時トヨタが持っていたFRプラットフォームをベースにLC風のデザインを被せようとすると、とてつもなく格好悪いカタチになってしまったという。けれども彼らは諦めなかった。大型モデル用のFRプラットフォームをLCのスタイル実現に合わせて新設計することで、”ほぼコンセプトどおり“のイメージを発するロードカーの市販に漕ぎ着けたのだった。

デビューから6年以上が経った。その間も一部改良は続いたが、この6月には足まわりやAT制御、シャシー補強など大掛かりな変更を受けて乗り心地と操縦安定性のレベルアップを実現している。さらには「EDGE」という名の極みのV8限定車を企画し、その一部をアップグレードとして既存オーナーの車両にも適用するサービスも加えた。つまり、レクサスはLCを磨き続けている。ブランドの玉(ぎょく)なのだ。

V8に絞るべき理由

カーセンサーを検索すると実に200台ほどの中古車が流通していることがわかる。例によって本体価格の安い順にソートすれば、なんと700万円以下から見つかった。多くは多走行個体(16万kmなんてのも!)だけれども、なかには2万kmちょいのLC500hもあった。基本的には2017年、2018年もので、500hの方が圧倒的に多い。走行距離の幅が広いということは、多走行でも十分に商材として通用するということか。つまり、それだけ乗りやすいモデルであり、距離が伸びても心配のないクルマという証でもあった。

700万円台になるとボチボチV8のLC500で走行距離がリーズナブルな個体が散見し始める。保証の分厚いレクサス認定中古車なら800万円台から。このあたり、先ほどと同じ理屈で、品質的にそう心配のないことは“伸びた走行距離”からも推し量れる。好みと予算で選んでいいだろう。

最終的な問題はやっぱりハイブリッドか否かだ。レクサスというブランドのフラッグシップモデルとしてはLC500hの方がいいし、美しいスタイルにも合っている。けれども今このタイミングで中古のLCを買うのであれば、V8に絞ってみるべきだ。そして可能な限り、自然吸気エンジンを愛しんでみる。ハイブリッドエンジンはいつだって、他のクルマでだって乗る機会はたくさんあるのだから。

最後のM3クーペ。これ以降、M3といえば4ドアセダンを指し、2ドアはM4になった。そして、最後の自然吸気M3でもある。

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