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GENROQ 今買うなら、ひょっとしてコレちゃう?

AUDI R8

で、結局どのクルマが今年のイチオシだったの?

大排気量マルチシリンダーの自然吸気エンジンをミドに搭載する。
大排気量マルチシリンダーの自然吸気エンジンをミドに搭載する。

いろんなモデルを思いつくがままに紹介してきたけれど、嬉しいことに(場合によっちゃ困ったことに)記事化のあとで該当するモデルの中古車が“よく動いた”という話を何度か聞いた。光のさほど当たっていないモデルに注目するわけだから、当たってくれると嬉しいのだけれど、市場に動きが出て売れ始めると必然的に相場も上がってしまうので、個人的には痛し痒し。ずっと狙ってきた人にとっては迷惑この上ない企画でもあったわけで、そこはスミマセン、こちらをお借りして陳謝させていただきたく……。

というわけで、いよいよ年末を迎えるにあたって「で、結局どのクルマが今年のイチオシだったの?」と編集部からも改めて聞かれたので、今年の締めくくりとしてそのあたりを書いてみようと思う。来年に向け、みなさんの楽しい「中古車ショップ巡り」の参考になれば幸いです。

注目ポイントのひとつ「自然吸気マルチシリンダーエンジン搭載」というのは今もなお魅惑のテーマであり続けている。来年以降、一部の特別なブランド(たとえばフェラーリとか)を除き、ピュアなNAで大排気量のマルチシリンダーエンジンを積んだ新型車のデビューなどほとんど望めない。それゆえ新車はもちろん、中古で程度の良い該当モデルの価値は上がりこそすれ下がることは(おそらく)ない。

これぞ毎日スーパーカー

3ペダル6速MT仕様。さすがに流通量は少なく、あっても割高だ。

20世紀のモデルはすでにクラシックカー的な価値がついていてちょっと買いづらいけれど、21世紀以降ならまだまだ狙い目のモデルは沢山ある。300万円台から狙えるマセラティグラントゥーリズモなどは、新型が“そっくりサン”で登場してくれたうえ、サウンド的に厳しいV6を搭載ということで、さしずめその好例だと言っていい。同じような理由でレクサスの5.0リッターV8エンジン搭載モデルRC F(IS FやIS500など)も面白いと思う。

この2台を凌いで今最もおすすめは「アウディ R8」だ。わけても初代がいい。V8ならなんと500万円代から見つかる。3.8万kmの2010年式が598万円なんてのもあった。

R8といえばランボルギーニ ガヤルドやウラカンの姉妹車で、中身の構造はほとんど同じ。V10を選べばパフォーマンスだってほぼ一緒。スーパーカー界に乗り心地革命を起こしたのはマクラーレン12Cだったけれど、実はその前にR8が先鞭をつけていた。しかも実用性という意味ではマクラーレンGT級。個人的にR8は初代ホンダNSXとマクラーレン12Cの間に割って入る“毎日スーパーカー”だと思っている。

初代モデルには3ペダル6速MTの仕様も存在していて、V8もV10もそちらがオススメだけれど、さすがに流通量は少なく、あっても割高だ。毎日スーパーカーということで割り切って乗るのであれば、V8の2ペダルでも十分。コスパを考えれば十分すぎる。

奇跡的なスペックに“ひょっとして”も?

実用性と走行安定性を高めるべく、ランボルギーニよりも長めのホイールベース。間伸びした前後アクスル間をブレード状デザインでカバーした。

初代はスタイリングの個性という点でも長く付き合っていけると思う。ホイールベースを長めにとって、実用性と走行安定性を高めた結果、間伸びした前後アクスル間をブレード状デザインでカバーした。その部分をボディ色とは別塗色にしたりカーボンにしたりすることで他にないデザインを実現。今なお新鮮なスタイリングを保っている。このままいい感じでネオクラシックに入っていけると思う。

大排気量マルチシリンダーの自然吸気エンジンをミドに積んで、比較的お気軽価格かつ安心して乗れる高年式スーパーカーはアウディR8をおいて他にない。アウディブランドということで今後の価値を心配する向きもあるけれど、600万〜700万円位で買えるのであれば、乗って楽しめただけでクルマ好きなら元は取れる。

そもそもハラハラドキドキするモデルではないから、かえって飽きることなく長く付き合える。楽しむだけ楽しんで、いざ手放すときに激安になっていても惜しくないくらい楽しいし、その頃には“大排気量+自然吸気+マルチシリンダー+エンジンリヤミドシップ+AWD”なんて奇跡的なスペックなのだから“ひょっとして”もありうる。そうなればボーナスってものだ──。というわけで、2023年末、私はアウディR8を強力にプッシュしたい。いいクルマですよ。

R8最大の魅力は毎日のように通勤や移動に使えること。ミドシップスーパーカーの範疇にありながら、真逆の使い方ができるのだ。

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