ホンダの二輪世界販売台数は2,210万台! 世界シェアは約4割

ホンダの2026年3月期における二輪事業のグループ販売台数は、2,210万1,000台となった。2025年3月期の2,057万2,000台と比較すると152万9,000台増加しており、主にアジアや南米での販売拡大が全体を押し上げた。

地域別では、アジアの販売台数が前期の1,747万8,000台から1,873万8,000台へ増加。世界販売台数の約85%をアジア市場が占めている。

また、南米などを含む「その他」地域も、前期の184万7,000台から221万3,000台へ増加した。一方、日本や北米、欧州では前年を下回っており、地域によって販売動向に違いがみられる。

ホンダ:2026年3月期の二輪グループ販売台数における地域別構成比
地域2025年3月期2026年3月期前期比
日本22万4,000台20万5,000台91.5%
北米54万8,000台53万8,000台98.2%
欧州47万5,000台40万7,000台85.7%
アジア1,747万8,000台1,873万8,000台107.2%
その他184万7,000台221万3,000台119.8%
合計2,057万2,000台2,210万1,000台107.4%

なお、2025年版の統合報告書では、2026年3月期の世界販売台数を2,130万台と見込んでいた。

今回公表された実績は2,210万1,000台となり、前年時点の見通しを80万1,000台上回った。アジアを中心とする販売拡大が、ホンダの二輪事業全体の成長につながっている。

ホンダは今後の二輪市場についても成長を見込んでいる。統合報告書によると、現在約5,000万台規模の世界市場が、2030年前後には約6,000万台規模まで拡大すると予測している。

成長を支えるのは、インドをはじめとするグローバルサウスの国々だ。人口増加や所得向上に伴い、通勤や通学、仕事などの日常的な移動手段として二輪車の需要がさらに拡大するとみられている。

一方、中国メーカーは価格競争力や先進技術を武器に海外市場への進出を加速。インドメーカーも欧州ブランドとの連携などを通じて、商品力やブランド認知の向上を図っている。

ホンダはこうした競争環境の変化を踏まえ、地域ごとの需要に対応した商品展開と生産・供給体制の強化を進める方針だ。

日本国内の二輪販売はさらに減少する見通し! 新基準原付や高付加価値モデルで需要に対応

世界で販売台数を伸ばす一方、ホンダの日本国内における二輪販売台数は減少している。

2026年3月期の国内販売台数は20万5,000台で、前期の22万4,000台から8.5%減少した。

ホンダの有価証券報告書によると、国内の二輪車総需要は約35万台と前期比約5%減少。同社の販売台数については、「スーパーカブ50」の増加があったものの、「Dio110」などの減少が影響したようだ。

さらに、2026年8月に公表された決算説明資料では、2027年3月期の国内二輪販売台数を16万台と予測している。前期の20万5,000台から4万5,000台減少し、前期比では約22%減となる見通しだ。

一方、世界全体では2027年3月期に2,280万台の販売を見込んでおり、日本と海外で販売動向に違いがみられる。

こうしたなか、ホンダは国内向けの商品ラインアップを見直している。

2025年10月末には、排出ガス規制の強化を背景に、従来の50cc以下の原付モデルの生産を終了。これに代わるモデルとして、2025年11月には「Dio110 Lite」、12月には「スーパーカブ110 Lite」などの新基準原付を発売した。

新基準原付は、総排気量50cc超〜125cc以下で最高出力を4.0kW以下に制御した車両で、従来と同じ原付免許や普通自動車免許で運転できる。

また、電動二輪車についても、2025年6月に原付二種の「CUV e:」、2026年3月には原付一種の「ICON e:」を国内市場に投入。日常の移動手段として、内燃機関車に加えて電動車の選択肢も広げている。

さらに、趣味性の高いモデルでは、2026年8月に「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」、9月には「CBR400R FOUR E-Clutch」を発売した。

両モデルは新設計の399cc直列4気筒エンジンを搭載し、クラッチ操作を電子制御する「Honda E-Clutch」を標準装備。従来のスポーツモデルとしての魅力に加え、操作性や利便性の向上を図っている。

国内市場では今後も厳しい販売環境が予想される一方、ホンダは幅広い需要に対応した商品展開を進めている。

ただし、国内販売台数をどの水準まで回復させるかといった中長期的な数値目標は明らかになっていない。新たに投入したモデルが、国内市場の需要維持や販売回復にどの程度つながるかが今後の焦点となる。

インドの二輪生産能力を年間625万台から約800万台へ拡大

ホンダが二輪事業の成長を支える重要拠点として位置づけているのが、同社にとって最大の二輪市場であるインドだ。

現地では、ホンダモーターサイクルアンドスクーターインディア(HMSI)が二輪車の生産・販売を担当している。

HMSIは1999年に設立され、2001年から現地生産を開始。2025年4月には累計生産台数7,000万台を達成した。現在はインド国内の4工場で二輪車を生産しており、年間生産能力は合計625万台となっている。

また、ホンダは2025年5月初旬に二輪車の世界生産累計5億台を達成。同月22日には、インドのグジャラート州にあるHMSI第四工場で記念式典を開催した。

世界生産累計5億台は、1949年に本格的な二輪車の第一号モデル「ドリーム D型」の量産を開始してから76年目での達成となった。

ホンダはインド国内の年間生産能力を2028年に約800万台まで拡大する計画で、実現すれば現在の625万台から175万台増加し、約28%の能力増強となる。

なお、2025年版の統合報告書では、2027年に約700万台へ拡大する計画が示されていた。今回の報告書ではさらに増強を進める方針が明確になっており、第四工場と第二工場を中心に段階的な増産体制の整備が進められる見通しだ。

まず、グジャラート州ヴィッタルプールにある第四工場では、2027年の稼働開始を目指して第四生産ラインを新設する。

2025年5月の発表によると、投資額は約92億ルピーで、新ラインの年間生産能力は65万台。主に125ccクラスの二輪車を生産する計画となっている。

これにより、第四工場全体の年間生産能力は261万台となり、ホンダにおける世界最大の二輪完成車組み立て工場になる見込みだ。

さらに、ラジャスタン州タプカラの第二工場でも、2028年の稼働開始を目指して第三生産ラインを新設する。

こちらの投資額は約150億ルピーで、工場に隣接する約7万4,000平方メートルの土地を取得。新ラインでは125ccや160ccクラスのスクーター、モーターサイクルを年間67万台生産する計画だ。

第二工場の生産能力は、2026年度中に年間134万台まで増強したうえで、新ラインの稼働後には201万台となる見込みである。また、第四工場では約1,800人、第二工場では約2,000人の新規雇用が計画されている。

ホンダは両工場に加えて、その他の工場でも生産能力の拡大を進める方針だ。

今回の増産計画は、単に製造できる台数を増やすだけではない。2025年版の統合報告書では、部品の内製化や車体のモジュール化に加え、「Make in India」の方針に基づく現地調達の推進を掲げていた。

今回の報告書でも、現地調達の拡大や自社工場での自動化を重視しており、生産能力だけでなく、コスト競争力や生産効率の向上にも取り組む方針を示している。

インド国内の販売も好調! 2026年4〜8月は前年同期比11%増

ホンダがインドで積極的な設備投資を進める背景には、現地の二輪車需要の拡大がある。HMSIが公表した販売実績によると、2026年4月から8月までのインド国内販売台数は240万7,304台となった。

前年同期の217万6,345台から約23万1,000台増加し、伸び率は11%。同期間の輸出を含む総販売台数は273万3,758台で、前年同期比13%増を記録した。

販売網についても、インド国内に7,000カ所以上の販売・サービス拠点を展開している。

ホンダは販売台数の増加に対応するため、生産設備への投資だけでなく、販売網やアフターサービスを通じた顧客との接点も重視している。

また、インドでは従来から需要の大きい100ccクラスに加え、所得向上やライフスタイルの変化に伴い、125ccや160ccクラスへのステップアップ需要も見込まれている。

さらに、2025年版の統合報告書では、ホンダがインドのスクーター市場でシェアNo.1を獲得したことにも言及している。同社は今後、女性ユーザーの需要をさらに取り込むことで、スクーターの販売拡大を図る方針だ。

インドでは「Activa」や「Shine」など幅広い二輪車を展開

インドでホンダが展開する二輪車は、日常の移動に適した小排気量モデルから、走行性能やデザインを重視したモデルまで幅広い。

スクーターの代表的な車種が「Activa(アクティバ)」シリーズだ。

インドでは110ccクラスの「Activa 110」と125ccクラスの「Activa 125」を展開しており、通勤や買い物などの日常的な移動需要に対応している。

また、「Dio(ディオ)」シリーズも110ccと125ccのモデルをラインアップしている。

モーターサイクルでは、100ccクラスの「Shine 100」をはじめ、125ccクラスの「Shine 125」「SP125」などを販売している。

さらに、160ccクラスには「Unicorn」や「SP160」を展開するほか、スポーティーなデザインを採用した「Hornet 2.0」なども用意している。

こうした車種構成からも、インドでは実用性を重視した小排気量モデルを中心に、排気量や用途の異なる商品が展開されていることが分かる。

ホンダは今後も、現地の需要に応じて商品を投入するとともに、1つのプラットフォームから多様なモデルを展開できる開発・生産体制の構築を進める方針だ。

一方、電動スクーターのラインアップも拡大している。

QC3

2025年には、交換式バッテリーを採用する「ACTIVA e:」と、固定式バッテリーを搭載する「QC1」を発売した。

ACTIVA e:は交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を2個搭載し、バッテリー交換サービス「Honda e:Swap」の利用を想定したモデルである。

これに対してQC1は、家庭用電源から充電できる固定式バッテリーを採用しており、日常の短距離移動に適した構成となっている。

さらに2026年7月には、新たな電動スクーター「QC3」を発表。ガソリン車と電動車の双方で、利用者のニーズに対応する商品展開を進めている。

ホンダは今後の電動二輪車市場の拡大を見据え、インドで電動二輪車専用工場の設置も計画している。

一方、内燃機関車の需要も引き続き大きいことから、市場の動向を見極めながら、電動二輪車と内燃機関車の双方で生産体制の整備を進める方針だ。

インドを中南米などへの輸出拠点として強化

ホンダがインドで生産能力の拡大を進める理由は、国内需要への対応だけではない。今後はインドを中南米やASEANなどに向けたグローバルな輸出拠点として、さらに強化する計画だ。

HMSIは現在、ハリアナ州マネサール、ラジャスタン州タプカラ、カルナータカ州ナルサプラ、グジャラート州ヴィッタルプールの4工場で二輪車を生産している。

このうち、2001年に稼働を開始したマネサールの第一工場は輸出拠点としても機能しており、HMSIによると、58カ国に向けて二輪車を輸出している。

実際に、海外向けの販売も拡大している。HMSIが公表した2026年4月から8月までの輸出台数は32万6,454台となり、前年同期の24万9,046台から約31%増加した。

同期間のインド国内販売の伸び率が11%だったのに対し、輸出は31%増となっており、海外向けの販売がより高い伸びを示している。

輸出拠点としての役割は、2025年版の統合報告書でも重要な施策として位置づけられていた。

同報告書では、部品の内製化や車体のモジュール化、現地調達の拡大によってコスト競争力を高め、中南米市場への輸出を加速する方針を示している。この方向性は2026年版でも継続されており、インドを海外市場への重要な供給拠点として活用する計画だ。

特に中南米などでは、日常の移動に適した小排気量モデルに加え、125ccや160ccクラスへの需要拡大も見込まれている。

また、今回の統合報告書では、インドでの現地調達や自動化の推進に加えて、ブラジルでの生産能力拡大やトルコでの生産開始にも言及している。

需要のある地域やその近隣に生産拠点を設けることで、輸送費や為替変動などの影響にも対応しやすい供給体制を構築する狙いがある。

インドは、そうしたグローバルな生産・供給網のなかでも、今後さらに重要性を増す拠点となりそうだ。

ホンダの二輪事業はインドを軸にさらなる成長へ

2026年3月期の二輪世界販売台数が約2,210万台となったホンダは、今後もインドをはじめとする成長市場で生産・供給体制の強化を進める方針だ。

インドでは2028年に年間生産能力を約800万台へ拡大するとともに、国内需要への対応や海外市場への輸出拡大を目指している。

一方、日本では販売台数の減少が見込まれており、新基準原付や電動二輪車、スポーツモデルなどの商品展開を通じて、多様な需要への対応を進めている。

世界の二輪市場が2030年前後に約6,000万台規模まで拡大すると予測されるなか、成長市場での供給体制強化と成熟市場での商品戦略が、ホンダの今後の二輪事業を左右することになりそうだ。