Cクラスじゃ大きすぎる!? Aクラスセダンはコンパクトなセダンを所望した際の有力な候補だ

メルセデス・ベンツA180 Sedan 車両価格:505万円
メルセデス・ベンツAクラスセダンは、Aクラスハッチバックをベースにしたセダンだ。ボディサイズは、初代Cクラス(W202)とほぼ同じ。大型化してきたCクラスでは大きすぎるという人にはぴったりのセダンだ。エンジンは1.3Lガソリンターボと2.0Lディーゼル。今回は1.3Lガソリンターボモデルを試した。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

“ちょうどいい”サイズがいい

全長×全幅×全高:4560mm×1800mm×1445mm ホイールベース:2730mm

選択肢の少なさが需要の規模を物語っているのだろうが、セダンを好む層は確かに存在している。なかでもコンパクトなセダンを求める層がいる。メルセデス・ベンツのラインアップのなかでそうしたニーズを満たすのが、Aクラスセダンだ。車名から想像できるように、5ドアハッチバックのAクラスをベースにしたセダンである。

かつてはコンパクトなメルセデスといえばCクラスだったが、Cクラスは代を重ねるごとに大型化し、コンパクトとは表現しづらくなった。現行Cクラスの全長×全幅×全高は4755mm×1820mm×1435mmだ。全長に関しては1980年代から90年代にかけて現役だったW124型Eクラスと同等。幅は側突の法規対応もあって現行Cクラスのほうがずっと広い。

「Cクラスでは大きすぎるなぁ」と感じる人がいるのは当然で、だからAクラスセダンに注目が集まるというわけだ。

Aクラスセダンの全長×全幅×全高は4560mm×1800mm×1445mmである。1993年に国内に導入された初代Cクラス(W202)の全長が約4500mmだった(仕様によって前後した)。全幅は1750mm前後である(やはり仕様によって異なった)。Aクラスセダンのサイズは感覚的には5ナンバーセダンだ。それも、5ナンバー枠の全長4700mmを使い切らないところが美点で、それが感覚的な取り回しのしやすさに結びついた。

Aクラスセダンはそんな“ちょうどいい”サイズを受け継いでいることになる。全幅が1800mmあるのが気になるが、国内外のブランドを問わずCセグメントの標準的な寸法が1800mmなのだから仕方ない。

トランクは、取って付けた感はない。
ラゲッジスペースは405L 充分以上に広い。

Aクラスの全長が4440mmなので、セダンは全長を120mm延長したことになる。2730mmのホイールベースは共通なので、延長分はトランクスペースに充てられたということだ。それでも、実物のAクラスセダンを目にすると、トランク部分はこぢんまりして見える。長いノーズに比してトランクが短いため、コンパクトな印象を強くする。

だがリッドを開けてみると、想像以上に奥行きあるスペースが広がっている(120mm延長しているのだから当然だ)。使い勝手に不足を感じるシチュエーションはそうないだろう。リヤバンパーの下側に足を近づけることでセンサーが感知し、手を使わずにトランクを開けることができるフットトランクオープナー(トランク自動開閉機能)を標準で装備する。

Aクラスセダンはコンパクトなセダンの有力候補

最新のメルセデス・ベンツインテリア
インテリアはブラック
シートはファブリック

前席に座ったときの景色はAクラスと同じだ。タブレット端末を立てかけたようなメーターが特徴。ジェットエンジンのタービン風エアアウトレットが目を引く。そのアウトレットも含めて発光するアンビエントライトは64色から選択が可能だ。

ステアリングホイールの奥にあるコックピットディスプレイも、センターにあるメディアディスプレイも10.25インチだ。速度計もエンジン回転計もデジタル表示。センターのメディアディスプレイはタッチパネルとなっており、マップ表示のほか、ラジオなどのオーディオや車両設定を操作できる。

Sクラスなど上級モデルで採用されているAR(拡張現実)ナビゲーションをCセグメントでは初めて採用した
ステアリングホイールも最新世代に。ハンズオフの検知が静電容量式になった。

AクラスとAクラスセダンは2023年2月27日にBクラスとともに大幅アップデートを受けており、対話型インフォテインメントシステムのMBUXが最新世代となり、運転支援システムの機能は向上。AMGラインパッケージ装着車(39万2000円)のステアリングホイールはスポーティな3本のツインスポークとなり、ハンズオフの検知がトルク感応式から静電容量式になった。SクラスやCクラス、電気自動車のEQSなどに採用されている最新の技術がAクラスまで降りてきた格好である。

後席は乗り降りする際にAクラスとの違いを意識させられる。Aクラスはルーフが後席乗員の後ろまで伸び、タイヤハウスの終わりあたりで急傾斜して落ち込んでいる。そのため、リヤドア上部の開口部も充分広く確保されており、乗り降りに苦労することはない。

後席の乗降性は明らかに、Aクラス(ハッチバック)のほうが上

いっぽう、セダンのほうは後席乗員の頭よりも前方でルーフが傾斜を始めており、その傾斜に合わせる格好でリヤドア上部の開口部もリヤに向かって傾斜している。そのせいで乗り降りする際に頭の出し入れに気を使う。後席の乗降性は明らかに、Aクラス(ハッチバック)のほうが上だ。

計測したわけではないので断定はできないが、後席の頭まわりのゆとりもAクラスに軍配が上がる。というような違いはあるが、「セダンがいい」人たちにとっては大したマイナス要素にならないのかもしれない。後席に乗って移動する機会は得られなかったので断定的なことは言えないが、AクラスセダンはAクラスよりも後席とラゲッジスペースの間にしっかりした構造物があることで、乗降性や頭まわりのスペース以外の要素、例えば走行中のノイズや乗り味に関しては上かもしれない。

エンジン 形式:直列4気筒DOHCターボ 型式:M282 排気量:1331cc ボア×ストローク:72.2mm×81.3mm 圧縮比:ー 最高出力:136ps(100kW)/5500rpm 最大トルク:200Nm/1460-4000rpm 燃料供給:DI 燃料:プレミアム 燃料タンク:43L トランスミッション:7DCT

横置きに搭載し、前輪を駆動するパワートレーンは2種類。A180セダンはM282型の1.3L(1331cc)直列4気筒ガソリンエンジンを搭載。最高出力は100kW/5500rpm、最大トルクは200Nm/1460-4000rpmを発生。7速DCTとの組み合わせで、WLTCモード燃費は15.4km/Lだ。

A200dセダンはOM654型の2.0L(1949cc)直列4気筒ディーゼルエンジンを搭載する。最高出力は110kW/3400-4400rpm、最大トルクは320Nm/1400-3200rpmを発生。8速DCTとの組み合わせで、WLTCモード燃費は19.1km/Lである。

試乗車はA180セダンだった。A180とA180セダンではなんと、車重が10kgしか違わない。AMGラインパッケージを装着した試乗車の車両重量は1390kgで、コンパクトなクルマといえどもボリュームを考えれば軽い部類に入るだろう。100kW/200Nmのエンジンでも過不足なく走るし、身のこなしは軽い。Aクラスセダンはコンパクトなセダンを所望した際の有力な候補となりえる存在だ。

ドライブモードはComfort/Eco/Sport、そして自分好みにセットアップできるIndividualから選べる
フロントサスペンションはマクファーソンストラット式
リヤサスペンションはトーションビームアクスル式
ボディ色はポーラーホワイト 最小回転半径:5.0m 最低地上高:130mm
メルセデス・ベンツA180 Sedan
全長×全幅×全高:4560mm×1800mm×1445mm
ホイールベース:2730mm
車重:1370kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/R トーションビームアクスル式
駆動方式:FWD
エンジン
形式:直列4気筒DOHCターボ
型式:M282
排気量:1331cc
ボア×ストローク:72.2mm×81.3mm
圧縮比:ー
最高出力:136ps(100kW)/5500rpm
最大トルク:200Nm/1460-4000rpm
燃料供給:DI
燃料:プレミアム
燃料タンク:43L
トランスミッション:7DCT

WLTCモード燃費:15.4km/ℓ
 市街地モード 11.2km/ℓ
 郊外モード 15.7km/ℓ
 高速道路モード 18.2km/ℓ

車両価格:505万円
オプションはAMGラインパッケージ 39万2000円  ナビゲーションパッケージ31万9000円

キーワードで検索する

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…