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内外装全身が三菱オリジナル 街乗りの走りや乗り味も別格
トライトンは、2005〜11年に日本でも販売されていた初代以来の日本再導入となる。今回の新型はトライトンとしては3代目にして、フォルテやストラーダと呼ばれた時代から数えると、通算6代目の三菱のピックアップトラックとなる。
エクステリア
初代トライトンの国内販売は好調だったとはいえず、この新型も企画開発の初期段階では日本導入予定はなかったという。しかし、トライトンは今や三菱の世界販売全体の2割を占める大黒柱。ライバルのハイラックスが日本でも人気を博していることに加えて、19年にパジェロの国内販売が終了して以降、三菱伝統のオフロード性能を象徴するモデルが不在のこともあり、約12年ぶりの日本導入が決まった。ちなみに、今回もタイで生産される輸入車だ。
乗降性
東南アジアや豪州、中南米、中東などのピックアップ市場で、ハイラックスを筆頭にいすゞD―MAXやフォード・レンジャーとし烈な販売競争を繰り広げるトライトンは、新型でフレーム、エンジン、ボディ、サスペンション、内外装のすべてを完全刷新した。フレームは初代以来20年ぶりの新開発。2.4ℓの4N16型ディーゼルエンジンはアライアンス先の日産キャラバンで世に出ているが、三菱としては今回が初登場となる。4WD機構はパジェロ譲りのスーパーセレクト4WD-Ⅱだが、センターデフがトルセンLSDになっているところが新しい(パジェロのそれはビスカスLSDだった)。
インストルメントパネル
グレードは「GSR」と「GLS」の2種類。上級の「GSR」は外観のディテールがブラックメタリックで引き締められて、オーバーフェンダーやベッドライナー、フロントアンダーガーニッシュが標準。内装ではシート表皮がレザーとなり、運転席が電動調整となるなど、よりスポーティで豪華な仕立てとなる。ただし、パワートレインやタイヤなどの走行メカにグレード差はない。姿勢変化がつかみやすい水平基調のインパネはステッチ入りのレザーパッドがあしらわれるなど、乗用車として見ても質感は高い。
居住性
走りはオフロードでもオンロードでも「快適」だ。オフロードでは3種類ある4WDモードと7段階あるドライブモードを最適に選択すれば、どんな場所でもさしたる運転のコツも不要のまま、グイグイと走破していく。岩場など四輪が強引にねじられるシーンでも、ボディがミシリともいわないのが素晴らしい。オンロードでの走りは、それ以上に洗練されている。ディーゼルエンジンはハイラックスより明らかにパワフルながら静粛性にも不足なし。同じ4N系エンジンのデリカD:5より明らかに静かである。さらに驚くのは乗り心地。リヤサスペンションは古典的なリーフリジッドだが、舗装路でも驚くほどしなやか。
うれしい装備
月間販売台数 227台 (24年2月)
現行型発表 23年12月
WLTCモード燃費 11.3 ㎞/ℓ
荷台
この種のピックアップも世界的に乗用車として使われるケースが増えており、新型トライトンでは乗り心地にも徹底的にこだわっているという。三菱の新型車は、最近はルノーや日産とのアライアンスによるものも多いが、トライトンは全身が三菱の自社開発。押し出しの強いデザインといい、オンオフ両面でのこだわりの走りといい、まさに入魂のフラッグシップといえるかもしれない。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.158「2024-2025 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。