プロペラシャフトのブーツがない! クラシック・ジムニー(JA71C)のメインテナンス ブーツ交換編

あそこも駄目だしここも駄目……サンデーメカニックは大忙しです。
以前「スズキ愛車無料点検」時に指摘された「プロペラシャフトのブーツがないよ~」問題。サンデーメカニック、今回はそのプロペラシャフトのブーツを入れる……前にホームセンターに工具の買い出しだ! アラ、ホットサンドの具?

TEXT & PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)

今回は手間のかかる脚周りのブーツ交換

ジムニーの水温計が上がらない! クラシック・ジムニー(JA71C)のメインテナンス サーモスタット交換編

寒さのせいではないと思う。ジムニー(JA71C)の水温計が上がらない。原因として考えられるのは、メーター不良、水温の温度センサーの不具合、そしてサーモスタットあたりだと想像する。メーターはあと回しだ。まずはサーモスタットを交換して、それでも表示がおかしければ水温の温度センサーをチェックすることにする。一度にやれないところが、サンデー修理の情けないところでもあり、また楽しみでもある。 TEXT & PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)

車検時において「ブーツが破れていますから交換が必要です」そう言われたことがある人も多いと思う。今回は駆動系のブーツだが、脚周りのブーツ交換はバラしていく箇所が多いので、手間のかかる作業だ。

ジムニー(JA71C)のプロペラシャフトのブーツ、なくなっていたのはトランスファー(正確にはセンターブレーキ)とリヤデファレンシャルの間のプロペラシャフトのブーツ。パートタイム4WDのジムニー(JA71C)は四駆時はトランスミッションからトランスファーへ、トランスファーからフロントデフ、リヤデフへとパワーが伝えられていく。二駆時はトランスファーにより、フロントはフリーとなる。

なくなってしまっているプロペラシャフトのブーツ。トランスファーからセンターブレーキ(パーキングブレーキ)へ繋がり、リヤのデファレンシャルへと繋がっている。シャフトは2分割。その連結部がブーツで覆われているハズなのだが。

作業はトランスファー(正確にはセンターブレーキ)側のナットを4ヵ所、リヤデフ側のボルトナット4ヵ所を外し、プロペラシャフトを外す。2分割になっているプロペラシャフトを外し、連結部分にグリースを塗り、ブーツを被せて元へ戻せばいい。

用意した物。入れ込むプロペラシャフトのブーツ、バラしてみないとどのグリースを使っているかはわからないので、モリブデンと普通のグリースを用意。

用意したプロペラシャフトのブーツ。これはそれほど高価な物ではない。それとグリース。これも高価な物ではないけれど、数種類有るグリースのどれを使っているかがわからないので、モリブデングリースと普通のグリースを用意したが、普通のグリースだったのでそれを使用。モリブデングリースはフロントナックルのオーバーホール時に使うことにしよう。

せっかくプロペラシャフトを外すのだ。だったら綺麗にしておきたい。このあたりは自分でやる特権なのかもしれない。油分は重曹で擦り落とし、洗い流す。錆はスチールウールで落とすつもりでいた。ところがスチールウールは大失敗。プロペラシャフトは同一方向に回転している為なのだろう、磁気を帯びている。細かくなったスチールウールがプロペラシャフトに付着してしまい大変なコトになった。これは絶対に使わないほうがいい。

せっかくなので綺麗にしたい。家庭用の洗剤、重曹、塗装用のシャーシブラック。

工具はすべて12mm。ただし、デファレンシャル側はボルトナットで固定されているので、奥のナットを押さえるスパナがいる。ここは隙間が少なく、眼鏡レンチは入らない。小さいラチェットはリフトがある訳ではないので作業スペースが狭い。そこでラクをする為にナットが緩んでから使う。

まずは、作業中にプロペラシャフトが落ちてこないようしたい。そこでインシュロックを使いプロペラシャフトを吊しておく。安全のためにも、もちろんプロペラシャフトを傷つけないためにも有効だ。

フロント側はセンターブレーキのドラムからボルトが出ている。ここ4ヵ所のナットを外しておく。リヤデファレンシャル側はボルトナット。これを外せばプロペラシャフトを外すことができる。固着して外れない場合はゴムハンマーなどで叩いてやればよい。外したボルトナット類は潤滑剤に漬けておけば、あとの作業はラクになる。

スタート時に用意した工具。小さいラチェットはラクをするため。
プロペラシャフトとリアデファレンシャルは4本のボルトナットで留っている。それを外してゴムハンマーで叩いて外す。インシュロックを使いプロペラシャフトが落下しないように、落下の場合は吊り下がるようにしておく。

外したプロペラシャフトのユニバーサルジョイントをチェック。ガタもなくスムーズに動作している。ひと安心だ。ユニバーサルジョイントにもベアリングが使われているので、そこに重曹がかからぬよう注意しながら油分を取っておく。あとは水洗いして乾燥させる。

塗装が乾いたらブーツを入れていこう。連結部にはグリースを塗る。グリースは塗りすぎるとジョイントの奥に蓋があり、それを押し出してしまうこともあるため、薄く塗ればよいとのこと。また、分割されたプロペラシャフトには組む位置がある。印がある場合にはそれに従い、ない場合はシャフトのUの形をした部分を揃えて組む。ずらして組んでしまうと、回転軸がずれて、プロペラシャフトが暴れてしまうから注意が必要だ。

ブーツを入れ込む。プロペラシャフトは連結する位置があるとのこと。印がある場合にはそれに従い、ない場合はUの形をした部分を揃えて組む。
さてここで、センターブレーキ(パーキングブレーキ)のバックプレートに凹みを発見。この部分はドラムと干渉はしていないようだが、バックプレートが変形していることは確かだ。ここも近々メインテナンスをしよう……。ん? またプロペラシャフトを外すことになってしまうなぁ。

ホームセンターで寄り道散財……

サンデーメカニックは足らない工具を購入するために、ホームセンターへちょくちょく行くのだが、最近のホームセンターはアウトドアコーナーを設けているところが多い。しかも、かなり大々的に展開しており、アツい。当然,寄り道。そして「アラ、ホットサンドの具? それも缶入り」などと散財に繋がるのだ。

足らない工具を購入しに行った先のホームセンターでは、アウトドアのコーナーが大々的に展開。もちろん「より道散財」をしてしまう。ホットサンドの具? それも缶入り! アウトドアライフは、たとえ料理ができなくても充分に楽しめる時代になった。当然ゲット&トライだ。
さて、サンデーメカニック、次は何処のメンテをする? あそこも駄目だしここも駄目。あそこは凹んでいるし、ちょっとオイルも気になる。それではまた次回もよろしくおつき合いくださいませ。

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著者プロフィール

伊倉 道男 近影

伊倉 道男

フォトグラファー。国学院大学法学部法律学科卒。アパレル会社にて総務人事、営業を経験。その後、但馬 治…