これは広い! 身長180cmでも後席の足元は余裕のスペース【スバル・ソルテラ(パッケージング解説)】

スバル・ソルテラ
スバル・ソルテラ
2022年年央の発売が予定されているスバル・ソルテラ。そのパッケージングはEVならではのもの。特に180cmの乗員が座っても余裕たっぷりな後席の足元空間にはビックリだ!

TEXT●安藤 眞(ANDO Makoto)

フロアが高いため着座した印象はフォレスターよりもXVに似ている

 スバル・ソルテラのプロトタイプ実車レポート第2回目は、パッケージング編だ。

 電動コンポーネント類の配置に奇抜なところはなく、床下一面に走行用バッテリーを搭載。2WDモデルはボンネット下に駆動用モーターとPCU(パワーコントロールユニット)を一体化したフロント用e-アクスルを搭載。AWDモデルはラゲッジ床下にリヤ用e-アクスルが追加搭載される。前後重量配分は、2WDが56対44、4WDが55対45とのことだ。

スバル・ソルテラ
e-スバル・グローバル・プラットフォームを採用するソルテラ。フロントフードの下には、モーターやインバーターが一体化されたe-アクスルが収まる。

 バッテリー搭載スペースを確保するため、ホイールベースは2850mmと、フォレスターより180mm長い。タイヤサイズが235/60R18(または235/50R20)と太いこともあって、最小回転半径は5.7mとやや大きめだ。ちなみにフォレスターは5.4m。

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短いオーバーハングと長いホイールベースはEVならでは。レポーターの身長は180cm。

 ドアを開けて乗り込んでみる。ヒップポイントの地上高は620mm(雪面からの実測値なので精度は保証できない)。スバルXVの設計値が599mmだから、ほぼ同じといった高さだ。ちなみに北米のモニター調査で「もっとも乗降性の良いヒップポイント地上高は620mm」だとXVを取材した際に教えてもらった。

 サイドシル高の実測値は470mmと、XVより60mm程度高いが、幅が140mmと狭いため、乗降時の足さばきに支障はない。乗り込む際には床の高さを感じるが、2〜3回で慣れた。

 運転姿勢は、足を前に投げ出すセダンライクなもの。聞けば「ヒール段差やドラポジはXVと同じ」とのことだ。身長181cmの僕がポジションを合わせると、電動スライドの後端から約120mm(全250mm)。ハイトアジャスターを10mmほど上げると、運転姿勢のままボンネットの3分の2程度まで見え、伸び上がるとそれが4分の3ぐらいまで拡大する。頭上空間は90mmと、必要にして十分だ。

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ソルテラの標準グレードは写真のファブリックシートとなるようだ。
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180cmのレポーターがドライビングポジションをとるとご覧の通り。なお、取材当日は雪がちらついていたため、写真にも写り込んでしまいました…ご容赦ください(編集部)。

 左右の乗員間には立派なフロアコンソールがあり、後寄りは大きなアームレストになっている。高さがドアアームレストよりわずかに高く感じたのは、気のせいか?

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こちらはブラウンレザーシート採用グレードのセンターアームレスト。大型で肘を載せやすい。
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上部をスライドさせるとドリンクホルダーが利用可能。さらに写真のように跳ね上げると小物入れが現れる。

 ドアミラーは窓枠に付いており、Aピラー基部には三角窓を確保。側方視界は良好だ。斜め後方視界はDピラーの傾斜が強いため、それなりに死角はできるが、クォーターウィンドを付けて少しでも改善しようという姿勢は◎。バックドアガラスの横幅が広いので、後側方の安全確認を早めに行えば死角はカバーできる。

スバル・ソルテラ
斜め前方の視界が良好なことは、この写真からもおわかりいただけるだろう。

後席は乗り降りしやすいのにも感心。ラゲッジはフォレスター並みを確保

 後席もチェックしよう。サイドシル高は490mmとやや高めだが、こちらも幅は140mmと狭い。ヒップポイント地上高は約660mmと、僕の体格なら自然に腰を落とす感じで乗り込める。足抜けスペースは360mmと十分にあり、27cmのアウトドアシューズが楽に通せる。

 感心したのは大腿の動線。後席レッグスペースを広く取るためにリヤシート位置を後に設定すると、乗降時にホイールハウスと大腿部が干渉しがちになるケースが少なくないが、ソルテラはまったく当たらない。これはホイールベース2850mmの恩恵だ。

 後席ヒザ前空間は170mmもあり、頭上も約80mmと十分。フロアトンネルは高さが25mm程度しかないので、ほとんど気にならない。前席下へはつま先を50mmぐらい入れるのがやっとだが、そもそも広いので大した問題ではない。

スバル・ソルテラ
後席はやや床面が高いのが最初はやや気になったが、それよりも足元空間の圧倒的な広さが好印象。
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センタートンネルの盛り上がりが小さいのもEVのメリットだ。

 背もたれは2段階にリクライニングが可能。デフォルトは起こした側だそうだが、寝かしたときに、背もたれとサイドトリムがツライチになる。寝かした側のトルソ角は、iPhoneの水準器で測って27度とセダン並み。ヒール段差が小さめで、脚部の姿勢がセダン風なので、背もたれを2段目にしても違和感がない。

 最後にラゲッジをチェック。バックドアを全開にした高さは約1820mmあり、筆者でも頭が当たらないのは◎。荷室高はバックドア開口位置の中央で760mm。幅はホイールハウス間で980mm。前後長は中央部で970mm。ちなみにフォレスターはホイールハウス間が1100mm、前後長は905mmだったので、床面積そのものはほぼ互角。高さ方向も背もたれ上部までなら大きな差はないので、実質容積もフォレスターとほぼ同じ程度はありそうだ。

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ラゲッジにはゴルフバッグが4個搭載可能。フォレスター並みの積載性を確保している。
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リヤシートの背もたれは4対6の分割可倒式。両方前倒しすすれば、前輪を外したマウンテンバイクを2台搭載できるという。
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スバル・ソルテラ(FWD車) 諸元表 ※[ ]内はAWD車

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4690×1860×1650mm
ホイールベース:2850mm
室内長×室内幅×室内高:1940×1515×1160(ノーマル/ソーラールーフ仕様)/1145(ガラスルーフ仕様)mm
車両重量:1930kg〜[2020kg〜]
乗車定員:5名
最小回転半径:5.7m
最低地上高:210mm

■パワートレーン
モーター種類:交流同期電動機
モーター定格出力:フロント150kW
モーター最高出力:フロント150kW[フロント80kW/リヤ80kW]
モーター最高出力(システム):150kW[160kW]
総電力量:71.4kWh
総電圧:355V
一充電走行距離(WLTCモード):530km前後[460km前後]
AC充電器最大出力:6.6kW
DC充電器最大出力:最大150kW

■シャシー系
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・Rダブルウイッシュボーン
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:235/60R18[235/60R18または235/50R20]
ステアリング:ラック平行式電動パワーステアリング
※日本仕様、社内測定値

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著者プロフィール

安藤 眞 近影

安藤 眞

大学卒業後、国産自動車メーカーのシャシー設計部門に勤務。英国スポーツカーメーカーとの共同プロジェク…