目次
伝統のワンモーションフォルム
■4代目プリウス
4代目プリウスのデビューは2015年12月、新たなクルマづくりのための構造改革「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づいて作られた最初のモデルとして登場した。
プリウスの特徴である燃費性能・環境性能を向上させただけでなく、TNGAがもたらす低重心高剛性ボディや新設計のサスペンションにより優れた走行性能と快適な乗り心地を実現している。
低重心スタイルを具現化したエクステリアは、伝統のワンモーションフォルムを踏襲しつつもより伸びやかなデザインとなり、独特のヘッドランプ/テールランプユニットが他にはない強烈な個性を放っていた。
TNGAによる走りの良さ、快適さ、先進的かつ上質なインテリアなど、クルマとしての評価は極めて高かったもののその個性的なデザインはユーザーの好みの別れることになった。
その結果、2018年12月のマイナーチェンジでヘッドランプ/テールランプを比較的コンサバティブな形状に改めたデザインに変更された。
■新型プリウス
2016年11月16日のワールドプレミアで発表された新型プリウス。TNGAプラットフォームが第2世代に進化し、従来よりさらに低重心となりスタイルもよりワイド&ローなプロポーションになった。「走り」「上質」「デザイン」「先進性」といった現行モデルのデビュー時にも謳われたキーワードは新型でも唱えられており、7年の歳月に応じた進化を遂げた形になっている言えるだろう。
現行モデルのデビュー時にはその個性的なスタイルは賛否が分かれたが、新型ではハンマーヘッドモチーフのフロントデザインにしろ、薄型横一文字のリヤ子ンビネーションランプにせよ、個性の強さよりは時代のトレンドを重視した多くの人が「カッコいい!」と感じられるデザインになっているのではないだろうか。
ワイド&ローのスポーティなエクステリア
■フロントビュー
トヨタはことデザインにおいてはフルモデルチェンジ時に大胆に変化させてくることが往々にしてある。プリウスで言えば3代目から4代目へのモデルチェンジでは「TNGA」という新たな概念の導入があったこともあり、ルックスはフォルムを除けば大きく変わっている。
デザイン的な物議を醸した4代目前期型とその化粧直しである後期型から、新型プリウスでは全く新しいフロントマスクとなった。デザイン的な継承性はほとんど感じられず、特にコの字を描くシグネイチャーランプとそれに続く薄型のヘッドランプはフロントグリルまで連続するデザインになっている。バンパー下部の開口部もガーニッシュによる縁取り加飾を施し、現行モデルから全幅で+20mm、全高で-40mmとしたボディと合わせて、よりワイド&ローなシルエットとなった。
■サイドビュー
プリウスのデザインアイデンティティであるワンモーションフォルムは新型でも健在。それどころか、フロントウインドウを前進させ、さらに傾斜を深くすることでウインドウからボンネットへ続くラインをよりなだらかにしたことで、まるでスーパーカーのようなラインを描くことに成功している。
車高が前述の通り-40mm、全長を+25mm、ホイールベースを+50mmとし、さらにホイールサイズを19インチとしたことでタイヤ外径は+53mm、これにブラック加飾したホイールアーチがタイヤ外径を数値以上に大きく見せ、踏ん張り感と迫力のあるサイドビューを実現した。
全長に対しホイールベースの延長分が大きいのはキャビンスペースに充てられ、前後の席間距離は現行モデルより8mm広くなっている。
また、車高が下がったことから相対的にウェストラインが上がりサイドウインドウ面積が減少している。リヤドアハンドルはウインドウ後端にブラックアウトして埋め込みドアを平滑化することで、2ドアクーペライクなサイドビューを実現。切り詰めたリヤオーバーハングと合わせてスポーティな雰囲気を演出している。
反面、ウインドウ面積の狭さ、特に後席乗車時に同社のC-HRのような閉塞感が生じないかが気になるところではある。
■リヤビュー
縦型の前期型とも横型になった後期型とも異なり、コンビネーションランプは横一文字の薄型に。これはレクサスISや日産アリア、ポルシェ911など、昨今のリヤデザインのトレンドだ。新型プリウスは外側端を下に流しており、そこはかとなく4代目前期型を感じさせないでもない。
車名ロゴも幅広フォントで大きくリヤゲート中央に配し、ナンバープレートがバンパーに移っているのも大きな違いだ。ナンバープレートがバンパーに配置されたのは、何気にプリウスでは初めてのことになる。
モデル | 新型(従来比) | 4代目(前期型) | 4代目(後期型) |
全長 | 4600mm(+60mm/+25mm) | 4540mm | 4575mm |
全幅 | 1780mm(+20mm) | 1760mm | 1760mm |
全高 | 1430mm( -40mm) | 1470mm | 1470mm |
ホイールベース | 2750mm(+50mm) | 2700mm | 2700mm |
前軸〜前端 | 980mm(+25mm) | – | 955mm |
後軸〜後端 | 870mm( -50mm) | – | 920mm |
前後席間距離 | 936mm(+8mm) | – | 928mm |
タイヤ直径 | 679mm(+53mm/+44mm) | 626mm(15インチ) 635mm(17インチ) | 626mm(15インチ) 635mm(17インチ) |
ホイールサイズ (タイヤサイズ) | 19インチ (205/50R19) | 17インチ(215/45R17) 15インチ(195/65R15) | 17インチ(215/45R17) 15インチ(195/65R15) |
先進性を演出しつつ使い勝手を高めたインテリア
■インストゥルメントパネル
インパネを含むコックピットまわりは大きく変わった。センターコンソール中央の台形モチーフこそ残されているものの、ナビ表示も含むモニターが12.3インチに大型化して最上段に移り、エアコン吹き出し口、エアコン操作パネル、USB電源という並びになっている。
また、長らくプリウスのインパネデザインの特徴でもあったセンターメーターも、メーターが7インチTFT薄型モニターとなりステアリング前方という一般的な位置に移った。一方でメータークラスターを持たずモニターが独立した配置は未来的だ。
インパネシフトだった4代目に対し、ドライブトレーン系はセンターコンソールに集約された。シフトパターンは同様だが、オーソドックスなレバー配置+「P」スイッチとなり、電動パーキングスイッチ、ドライブモードセレクター、EVモードスイッチなどが揃う。
ドリンクホルダーはシフトレバー前方に左右並列配置。その前方には小物入れ。コンソール助手席側には縦長のスマートフォン置き場が用意される。
極めてシンプルにデザインされた4代目前期型のコクピットと比べると、メーターやモニターまわりこそ未来感のあるデザインながら、インターフェースや小物入れはオーソドックスにまとめられているように思われる。
■シート
フロントシートはドライビングをサポートする機能的な形状になり、デザイン的にもスポーティになっている。またヒップポイントも従来型より下がっており低重心化に貢献している。
リヤシートはヒップポイントが下がったことと、前席との席間距離が広がった以外は大きな変更は無さそうだ。
■ラゲッジルーム
6:4分割可倒式のリヤシートなど大きな変化は見当たらないラゲッジルーム。
容量の具体的な数値や「ゴルフバッグ○個分」といった積載量は公開されておらず、後車軸からボディ後端までが4代目より50mm短くなったことと車高とルーフラインが下がっているのがラゲッジルームの容量にどのように影響しているかはわからない。右後端には鉛バッテリーが配置されており(カバーあり)、些細なレベルではあるが容積を減らしているのではないだろうか。
また、左ホイールハウスの上に1500WのAC100V電源が設置されている。
燃費はそのままに出力は約1.6倍に!
鉛バッテリーがエンジンルームからラゲッジルームに移設されるなど、エンジンルーム内の配置が大きく変わった。
パワートレーンも新たに第5世代へと進化し、優れた燃費性能と走りの良さを高次元で両立。現行モデルの約1.6倍の出力と従来と同等の低燃費で実現している。
ハイブリッド車のエンジンは1.8Lと2.0Lが用意され、システム最高出力は1.8Lで140ps、2.0Lは193psとなっており、0-100km/h加速はそれぞれ7.5秒と9.3秒で2.0Lは電気自動車のbZ4Xの7.7秒を上回る。
2.0LモデルやPHEVは特にスタイルに相応しい爽快な走りが楽しめそうな数値だ。
モデル | 新型PHEV | 新型(2.0L) | 新型(1.8L) | 現行型(1.8L) |
システム最高出力 | 223ps 164kW | 193ps 144kW | 140ps 103kW | 122ps 90kw |
0-100km/h加速 | 6.7秒 | 7.5秒 | 9.3秒 | ※ |
プラグインハイブリッド車は223ps、0-100km/hが6.7秒とさらにハイスペックとなっている。ただし、プラグインハイブリッド車はハイブリッドバッテリーの搭載位置とサイズの関係でFFのみとなっており、ハイブリッド車のみE-Fourシステムを採用した4WDを選ぶことができる。
現行モデルではハイブリッド車とプラグインハイブリッド車が分かれているが、新型では同じ車種のグレード違いとなるようだ。プラグインハイブリッド車はワールドプレミアでは外観のみの公開だったため、ハイブリッド車以上に不明点が多い。