ガソリンモデルに匹敵する出力、トルクを得た水素エンジン! 欧州トヨタが「カローラクロス H₂コンセプト」を発表!

トヨタは、ゼロエミッションに向けたマルチパス・アプローチに注力しており、その中でモータースポーツでの経験を踏襲した水素燃焼エンジンの開発を行っている。トヨタの豊田章男社長は、マスタードライバーの「モリゾウ」名義で、水素燃焼GRカローラH₂ですべてのレースに参戦し、水素エンジン評価と開発にも貢献。今回、モータースポーツでの経験を踏襲した「カローラクロス H₂コンセプト」がトヨタの欧州部門より発表された。トヨタは、1シーズンで水素燃料出力を24%、トルクを33%向上させ、ガソリンエンジンと同等の性能を確立しつつあるという。

モータースポーツ由来の水素燃焼技術の開発

トヨタは今年、ルーキーレーシングチームを通じて、水素燃焼GRカローラH2で国内のスーパー耐久レースに全戦参戦している。この間、トヨタの豊田章男社長は、マスタードライバーの「モリゾウ」名義で、すべてのレースでハンドルを握り、評価と開発に貢献をしてきた。海外では、今年8月にベルギーのイーペルで開催されたWRCでGRヤリスH2のデモランが行われ、トヨタの水素エンジン車が初めてヨーロッパの公道を走った。

モータースポーツ活動は、開発や技術の急速な進歩加速に大きく貢献している。例えば、スーパー耐久の1シーズンで、トヨタは水素燃焼出力を24%、トルクを33%向上させることに成功し、従来のガソリンエンジンに匹敵する動力性能を達成したのだ。さらに、航続距離が約30%延長され、給油時間が約5分から1分半に短縮された。トヨタは、水素利用のみならず、モータースポーツという厳しい環境を実験場として車両運用の効率化を実現。また、グリーン水素製造や輸送の分野で多くのステークホルダーと協働し、カーボンニュートラル社会の実現に向けて業界の枠を超えた幅広い交友関係を構築している。

水素エンジン搭載のカローラクロスH₂コンセプト

このような優れた水素エンジン技術の確立に伴い、欧州トヨタのエンジニアはロードカーのプロトタイプである「カローラ クロス H2 コンセプト」を発表した。内燃機関には、GRカローラの1.6L 3気筒ターボエンジンに、高圧水素直噴エンジン技術を搭載。さらに、トヨタ・ミライの水素タンクパッケージのノウハウを加えて、5人の乗員と広大なラゲッジスペースを誇る「カローラクロスH₂コンセプト」のプロトタイプが完成されたのだ。

水素燃焼の主なメリットは、既存の内燃機関技術を活用できること、燃料補給時間が短いこと、リチウムやニッケルなどの限られた元素の使用量や必要性が明らかに減少することなど多岐にわたる。既存の技術を応用し、既存の投資をさらに活用することで、水素燃焼は、より早く、より身近な二酸化炭素削減ソリューションの普及につながる可能性を秘めている。

現在、トヨタは「カローラクロスH₂コンセプト」などの製品化における約40%の進捗を達成しているという。この技術が一般車向けに成熟するかどうかはまだ未確定なところが多いが、モータースポーツの分野では大きなチャンスが訪れつつある。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部