【雪道ドライブ】急な操作はNG! スタッドレスタイヤやチェーンの特徴をあらためて理解しよう!

冬の風物詩といえば雪道やアイスバーン。自分はスタッドレスタイヤを履いているから大丈夫!と思っていても、スリップやスタックを起こすことがあるので、運転には細心の注意が必要だ。ここでは雪道走行時の注意点や運転テクニックのほか、スタッドレスタイヤやチェーンの基礎知識などについて紹介しよう。
REPORT 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

雪道やアイスバーンでは、なぜスリップするのか

雪道やアイスバーンにはスリップが付きもの。冬場にウインタースポーツなどで寒冷地へ行くと、タイヤが空転したり、突然、横滑りが起きてドキドキすることがある。では、なぜ雪道やアイスバーンではタイヤがスリップするのだろうか。

その原因はズバリ「水」。雪道やアイスバーンでは、クルマの重みで氷が解けたり、気温によって道路の表面に薄い水膜ができることがあるので、このような路面を走行するとタイヤのグリップ力が低下してスリップが起こるわけだ。身近なエピソードで例えると、冷蔵庫から出したばかりの氷は、指にくっつくことはあっても滑ることはない。逆に少し時間が経つと、指の暖かみや室温で氷の表面が解けてくるので、つるつる滑るようになる。雪道やアイスバーンでタイヤがスリップするのは、まさにこれと同じ原理なのだ。

気温が0℃~マイナス10℃くらいになると路面に水が溶け出しやすくなるので、これが原因でタイヤがスリップすることもある。<出典:Pixabay>

気象状況や道路状況には細心の注意が必要

冬の天候は変わりやすく、急にみぞれや雪が降ってきたり、朝晩は氷点下になって路面が凍結することもあるので、出発前の天気や気温のチェックはとても大切。また、気象状況だけでなく、下記のスポットには多くの危険が潜んでいるので、路面や道路の状況をいつも以上に注意深く観察することが重要だ。

・圧雪ツルツル路面:スリップしやすい
・積雪フカフカ路面:スタックしやすい
・坂道:上り下りとも止まれない可能性あり
・カーブ:スリップしやすい
・橋の上:凍結しやすい
・トンネルの出入口:凍結しやすい
・日陰:凍ったままになりやすい
・側溝・段差:雪や氷が残りやすい
写真のようなガチガチのアイスバーンでは、スタッドレスタイヤでも歯が立たない。氷を取り除くか、少し解けるまで待った方が無難だ。<出典:Pixabay>

雪道走行時の「急な操作」はNG!

スリップやスタックなど多くの危険が潜んでいる雪道走行では、想像以上に路面が滑ることを念頭に置きながら運転するなど、まずは頭の中を雪道モードに切り替えておく必要がある。もちろん、冬を迎える前はスタッドレスタイヤやチェーンを準備しておくことも大切。スタッドレスタイヤを装着したうえで、トランクやラゲッジスペースにチェーンを積んでおけば完璧だ。

実際に雪道走行をする場合は、十分スピードを落として車間距離を多めに取り、急ハンドルや急ブレーキなど「急」が付く操作をしないのが基本。とりわけ、下り坂でのブレーキ操作は要注意で、坂の手前でしっかり減速したうえで、フットブレーキとエンジンブレーキをバランスよく使い、オーバースピードにならないよう上手くコントロールしよう。

また、発進時や上り坂でのアクセル操作も要注意。不用意にアクセルを踏み込むとタイヤが滑ったり、スタックすることがあるので、クリープ現象を利用しながらアクセルをそっと踏み込むようにするとスムーズで安全な走行ができる。

雪道ではABSも頼りになるシステム。ブレーキペダルが振動した際にペダルから足を放すと制動距離が延びるので、踏み続けるのがコツだ。<出典:Pixabay>

スタッドレスタイヤの基礎知識

冬タイヤといえば、以前はタイヤの表面に金属のスパイクピンを埋め込んだスノータイヤが主流だった。しかし、積雪のない乾いた路面ではスパイクピンが路面を削るので、その粉塵が健康に被害を及ぼすことがわかって社会問題となり、1991年以降は使用が禁止された。その代わりに登場したのが、皆さんお馴染みのスタッドレスタイヤだ。ちなみに、スタッドレスタイヤという名称は「スタッド(=スパイクピン)」が「レス(=ない)」であることに由来している。

初期のスタッドレスタイヤは、むしろアイスバーンやミラーバーンを誘発するといわれていたが、最近はコンパウンド、ブロックパターン、サイプなどを工夫することで大幅に進化。初期の欠点は解消され、雪道やアイスバーンでの制動力、静粛性、耐摩耗性能、燃費性能などが飛躍的に向上している。

とはいえ、スタッドレスタイヤはメーカーやグレードによって発進時のグリップ性能、横滑り、新雪、圧雪、融雪、凍結路面、制動力、排水性などの性能に違いがある。したがって、価格だけで決めず、どんな路面環境で使用するのか、どんなシーンでの性能を優先したいのかなどをしっかり見極めて、自分に合ったスタッドレスタイヤをチョイスすることが重要だ。

ひとことでスタッドレスタイヤといっても、メーカーやグレードによって特徴が異なるので、用途に応じたチョイスが望ましい。<出典:Pixabay>

チェーンの特徴と種類

雪道走行で頼りになるスタッドレスタイヤは、実は万能選手ではなく、上り坂やアイスバーンなどではタイヤが空転してしまうことがある。また、高速道路などではチェーンを装着しないと走行できないこともあるので、もしものときに備えてチェーンも携帯しておいた方がよいだろう。

ひとことでチェーンといっても素材や形状が異なるなど、さまざまなタイプがあるので、ここではそれぞれの特徴について紹介しよう。

【金属製チェーン】

金属チェーンには、ラダー(はしご)型と亀甲(亀の甲羅模様)型がある。ラダー型は、くさりをはしご状につないだもので、前後方向のグリップ(接地摩擦力)に優れているが、横方向の傾斜や力に弱く横滑りしやすい。一方の亀甲型は、ラダー型よりも若干乗り心地が良く、全方向にバランスの取れたグリップ力を発揮する。

亀甲型チェーン。乗用車用の金属チェーンとしては、もっともポピュラーなタイプだ。<出典:Pixabay>

【非金属製チェーン】

ゴムやポリウレタン樹脂などの柔軟性のある素材でできているので、金属製チェーンと比べると振動や騒音が少なく、乗り心地はとてもよい。また、軽量で装着が簡単なところも嬉しい点だ。とはいえ、コンパクトンパクトに折りたたむことができないので、車内で保管をする場合は予めスペースを確保しておく必要がある。

非金属製チェーンは静寂性に優れており、時速50km/hまで対応できるよう設計されている。<出典;カーメイト>

【布製チェーン】

タイヤにすっぽりかぶせて使用するカバータイプで、スノーソックスとも呼ばれている。まるでスタッドレスタイヤのように乗り心地がよく、静かなところが最大の特徴。また、軽量で折り畳んで保管可能なことに加え、アルミホイールを傷つける心配もない。

ただし、本来は雪道での脱輪時など非常時の脱出用として開発されたものなので、長距離走行には不向き。チェーン規制がされている道路では、使用できない製品もあるので、購入の際は注意が必要だ。

布製チェーンは装着が簡単で見た目もスマート。軽量で収納性もよいので、エマージェンシー的な使用に向いている。<出典:ISSE SNOWSOCKS>

本稿では、雪道走行時の注意点や運転テクニックのほか、スタッドレスタイヤやチェーンの基礎知識などについて紹介してきたが、とりわけ比較的気温が高く、滅多に雪が降らない地域に住んでいる方は油断禁物!スノボやスキーなどで寒冷地へ出かける際は、予めスタッドレスタイヤに履き替えたうえでチェーンを携帯し、運転中は車間距離を十分とって「急」の付く操作を避けるのがセオリー。これらのことをきちんと守っていれば、事故の確率を大幅に下げることができ、大切なクルマを傷つけるともないだろう。

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著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…