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DMM TVで現在好評配信中の『LUPIN ZERO』(毎週金曜日配信)の最新エピソード・第5話「その男、密かに躍る」が 1月6日から配信を開始した。
洋子との別れ。次元との友情。その裏で東京存亡の危機が少年ルパンに迫る!
■STORY
クリスマスが近づく街。洋子へのプレゼントを買ったルパンは、彼女がナイトクラブを辞めたことを知る。気になってアパートを訪れたルパンを出迎えたのは、ただならぬ気配を纏った「刺青の男」だった。
一方、沖縄の米軍基地から盗まれた「とある兵器」――盗んだのはルパンの父・ルパン二世。そのビジネスは、東京を揺るがす大きな陰謀へと繋がっていた……。
ほろ苦い青春譚。そして、少年は「ルパン三世」となることを決意。
『LUPIN ZERO』シリーズもいよいよクライマックスを迎える。第5話と第6話(最終回)は前・後編で送る東京の存亡を賭けたスケールの大きな物語となる。
物語は日本政府転覆を狙う革命軍の依頼でルパン二世が沖縄の米軍基地からアトミックキャノン(原子砲。核弾頭を発射可能な大砲のこと)を盗み出すことで動き出す。
革命軍のリーダー・ガウチョの狙いは、政権奪取であり、要求が受け入れられない場合は東京を核攻撃すると日本政府を脅迫してきたのだ。
革命軍のリーダーの名はガウチョ。そして、ガウチョに思いを寄せる洋子も一連の事件に関わっていた。
洋子に別れを告げられた少年ルパンは、その晩屋敷で次元から「今なら明るい世界に戻れる」と別れを切り出される。中学生ながら裏稼業で暮らし、何人もの命を奪ってきた次元はルパンとの友情のため身を引こうとしたのだ。だが、日本政府の依頼で愚連隊がルパン邸を襲ったことで少年ルパンは事件に否応なく巻き込まれる。そして、襲撃した一団の中には用心棒として雇われた次元の姿もあった。対峙するふたり。次元の発した「強いヤツがいると楽しくなってくる」との言葉に反射的に笑い出すルパン。「オレも同じだ。いつだってワクワクしたい。ワクワクできることがいちばん大事なんだ」と答えると、晴れやかな声で「オレは泥棒になる」との決意を口にする。祖父や父の言いなりではなく、自分自身の意思で「ルパン三世」としての生き方を決めた瞬間だった。
今回のエピソードを一言で現すなら少年から青年への成長の端緒ということだ。思いを寄せていた年上の女性が少年の元から去り、友情から一度は少年ルパンの元から去った次元との対決、そして彼の心を泥棒として初めて盗み、生涯の「相棒」としたのだ。
この展開は『ルパン』シリーズとして見ても、少年の成長譚として見ても胸が熱くなってくる。おそらく、長く続いた『ルパン』シリーズの中でも屈指の名シーンとして今後も語り継がれるに違いない。
しかし、少年が青年へと成長するためには、残酷な喪失と絶望を経験するのが青春物語のお約束である。果たしてそれが何になるのか? 後編となる第6話からは目が離せない。
東京に核が撃ち込まれる⁉︎ M65アトミックキャノンとは?
今回のエピソードでもうひとつ注目すべきなのが、物語の根幹に関わってくる核の存在だ。1957年10月4日にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニックによって、核の投射手段が爆撃機からミサイルになることが予見されるようになると、大量の原子爆弾や水素爆弾を保有していた米国の戦略的な優位性は失われてしまった。この劣勢を挽回するために米国はロケット(=ミサイル)開発に邁進し、ここに米ソによる宇宙開発競争の口火が切られることになる。そして、それは西側と東側による核軍拡競争の幕開けをも意味した。
『LUPIN ZERO』の舞台となった時代からほんの1~2年前には、カリブ海の小国キューバにソ連が核ミサイル基地建設したことに端を発するキューバ危機が発生。米ソの緊張の高まりから核戦争寸前にまで達した。
現在ではICBM(大陸間弾道弾)やSLBM(潜水艦発射型弾道弾)が核戦力の中心となっているが、1970年代に入るまではミサイルの性能や信頼性が今ほどは発達しておらず、米国はMGM-16アトラスやLGM-30A/BミニットマンⅠなどのICBMを実戦配備してはいたものの、PGM-11レッドストーンやMGM-31パーシング1などのSRBM(短距離弾道弾。現在は全廃)、B-36やB-52などの戦略爆撃機、無誘導の核地対地ロケット弾のMGR-1オネスト・ジョン、そして本作に登場するM65アトミックキャノンも有効な核投射手段と見なされていた。
M65は運搬方法も独特。専用トラクターのM249とM250が移動には必須。
M65は口径280mm、長さ25.6m、幅4.9m、高さ3.7m、重量83.3tの巨大なカノン砲で、劇中でも語られている通り、最大射程は30kmとなる。使用する核砲弾はW9と改良型のW19で、広島型原爆と同じく高濃縮ウランを用いたガンバレル(砲弾)方式の核分裂弾頭を発射した。
M65はその巨大さ故に通常の野砲のように車両を使った牽引移動ができないため、鉄道車両のシュナーベル貨車(吊掛け式大物車)のように、特別に設計されたケンワース製のM249フロントトラクターとM250リアトラクター(ともに345hpを発揮するコンチネンタル製AO-895-4型14.67L水平対向6気筒ガソリンエンジンを搭載)に連結して輸送した。
その姿が大戦中にナチスドイツ軍がイタリア戦線で使用したK5列車砲「アンツィオ・アニー」に似ていたことから「アトミック・アニー」の愛称で呼ばれた。
総生産数は20門で1953~63年にかけて米陸軍の手で運用された。主な配備先は西ドイツと韓国、そして本土復帰前の沖縄であった。
しかし、核兵器の小型化が進み、より長射程のロケット弾やミサイルに搭載が可能になると、30kmという射程の短さが運用上の足かせとなり、M65は性能不足としてわずか10年足らずで廃止となった。
米国防総省の資料によると沖縄には1955年12月~60年6月までの配備とあり、時代考証を厳密にすると齟齬があるのだが、物語のラストを盛り上げるガジェットとしては、これほど異様で、冷戦期という時代を象徴し、かつメカニカルな魅力のある兵器も存在しないだろう。その意味では制作スタッフのチョイスは正しかったと言える。
昭和30年代を彩る懐かしの名車たち
M65アトミックキャノンを運搬するM249/M250以外の車両としては、第1話から少年ルパンの愛車となったマツダR360クーペ、第3話でルパン二世が使用したジャガーEタイプロードスター(シリーズ1)のほか、冒頭のドライブ・イン・シアターで登場するVWタイプI(ビートル)、三菱コルト1000やトヨタ・コロナ(初代)、日産・セドリック(初代)……らしきクルマ、沖縄の基地で米兵が使用するウィリスMB(姉妹車のフォードGPWの可能性もあり)、愚連隊がカチコミに使ったトヨタFA型トラックなどが登場する。
ほかにも劇中の背景車両としてダットサン210、日産セドリック(初代・前期)、ダットサン・ブルーバード(310)、いすゞ・ベレルと思しきクルマを確認できた(背景としての登場なので確証に至らないクルマもあるが)。リアルに描かれた昭和30年代の街並みにこれらの旧車が映え、本編とは関係ないところでクルマ好きを楽しませるエピソードになっている。
LUPIN ZERO 原作:モンキー・パンチ 監督:酒向⼤輔 シリーズ構成:⼤河内⼀楼 設定考証:⽩⼟晴⼀ キャラクターデザイン:⽥⼝⿇美 美術監督:清⽔哲弘/⼩崎弘貴 ⾊彩設計:岡亮⼦ 撮影監督:千葉洋之 編集:柳⽥美和 ⾳響監督:丹下雄⼆ ⾳響効果:倉橋裕宗 ⾳楽:⼤友良英 メインテーマ「AFRO"LUPIN'68"」 作曲:⼭下毅雄 編曲:⼤友良英 エンディングテーマ「ルパン三世主題歌Ⅱ」 歌:七尾旅⼈ 作曲:⼭下毅雄 編曲:⼤友良英 劇中歌「かわいい男の⼦」 歌:SARM 作詞・作曲:荒波健三 アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム 製作:トムス・エンタテインメント 声の出演 ルパン:畠中祐 しのぶ:⾏成とあ 次元:武内駿輔 洋⼦:早⾒沙織 ルパン⼀世:安原義⼈ ルパン⼆世:古川登志夫 原作:モンキー・パンチ ©TMS