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最適な居住空間で乗降性良好 荷室アレンジや乗り味も抜群
2021年度の新車登録販売台数ナンバー1に輝いたヤリス。それに大きく貢献したのが、ヤリス全体の約半分を占めるヤリスクロスである。プラットフォームこそヤリスと共有しているが、スリーサイズは全長4180mm×全幅1765mm×全高1590mmと、ヤリスより240mm長く、70mm幅広く、90mm背が高い。
エクステリア
最低地上高は170mmと、ヤリスのガソリン・4WD車より40mm高い。そのうち35mmはタイヤ半径の違いで、残りの5mmはサスペンション・クロスメンバーを新作して対応。安易にバネを伸ばすのではなく、渾身作GA-Bプラットフォームのサスペンション・ジオメトリーを崩さなかったあたりに、〝もっといいクルマづくり〞の本気度が見える。
乗員の位置関係はヤリスと同じで、運転姿勢はSUVというよりハッチバック的。後席のニースペースもヤリスと同じで、身長181cmの筆者膝前の余裕は約10mm。一般的な体格の日本人家庭なら、無駄のないジャストな居住性と言える。ヤリスよりドアの開口面積が大きく、着座する位置も高いため、乗り降りのしやすさはヤリスに優る.
乗降性
後席の折り畳みは背もたれが前に倒れるだけだが、上級グレードはセンターアームレスト部だけ倒せる4対2対4分割方式のため、長尺物を真ん中に積んでも後席2名掛けが窮屈にならない。ラゲッジ容量は床下収納を除くと、FF車が351l(デッキボード非装着車は371l)、4WD車が284lと大きい方ではないが、デッキボードは高さが二段に切り替えられ、上段にすると折り畳んだ後席との段差がなくなる。ボード本体は6対4に分かれており、左右別々に高さを調整できるなど、フレキシブルに使えるようになっている。
インストルメントパネル
パワーユニットは1.5l直列3気筒ガソリンエンジンと、それをアトキンソンサイクル化してTHS-IIと組み合わせたハイブリッドシステムの2種類を用意。どちらのパワーユニットにもFFと4WDが設定されており、前者は電子制御多板クラッチ式、後者は後輪を電気モーターで駆動するE-Fourシステムを採用している。
居住性
SUVとしての本気度が窺えるのが、駆動力制御の切り替えができること。通常走行用の〝ノーマル〞のほか、ガソリン車は〝マッド&サンド〞と〝ロック&ダート〞。ハイブリッド車は〝スノー〞と〝トレイル〞から選択できる。乗り味は欧州車的に減衰感をもちながら、低車速域では欧州車ほど硬さのない引き締まったもの。
パワーユニットや駆動方式で若干の違いはあるものの、方向性としては共通だ。操舵応答は自然で過敏感はなく、切れば切っただけ曲がる特性。刺激は少ないが、どんなシーンでも安心して運転できるという点では◎だ。
うれしい装備
ング派であれば見逃せない装備だ。ドライブモードはパワー/エコ/ノーマルから選択できる。バッテリーが十分に充電されていればEV走行も可能となっている。
月間登録台数 7718台(21年11月〜22年4月平均値) 現行型発表 20年8月 WLTCモード燃費 30.8km/l ※「HYBRID X」のFF車
ラゲッジルーム
エンジンは3気筒なので、爆発のピッチが4気筒より広く、1発ごとの力感も強い。これを「安っぽい」と感じるか「ビート感がある」と感じるかで、評価は正反対になる。その傾向はハイブリッドでも同じだが、速度と無関係にエンジン回転数が変化するため、ハイブリッドの方が気になるかもしれない。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/142/