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扱いやすいサイズのSUV 上質な内装や操舵感覚が好感
最近はSUVの人気が高まり、コンパクトサイズSUVの選択肢も増えたが、その中で最もコンパクトカー感覚で乗れるのがCX-3。ボディサイズだけ見ればCX-3より小さいSUVも存在するが、CX-3はコンパクトハッチのマツダ2がベースとなっているために、運転感覚がマツダ2に近く、手軽に乗りこなすこなすことができるのだ。
エクステリア
CX-3のボディサイズはホイールベースこそマツダ2と同じだが、前後のオーバーハングを延長することで全長はマツダ2よりも約200mmも長くなっている。全幅もオーバーフェンダーの装着などで70mmもワイドになっているため、コンパクトなサイズを意識させない躍動感のあるスタイリングを手に入れている。インテリアも基本デザインはマツダ2を踏襲しているが、細部のデザインを変更することで質感を高めている。
乗降性
前席はSUVとしては着座位置が低く、前方の見晴らしもそれほど良くはないが、小柄な人でも乗り降りがしやすい。室内空間はマツダ2と同じため前席の頭上に余裕は少ないが、乗り込んでしまえば狭さは感じない。後席も足元が狭く、窓の面積が狭いので閉塞感が強い。荷室はリヤのオーバーハングを延長しているからマツダ2よりは広いが、SUVの中では狭い方だ。よってCX-3にSUVらしい室内の広さや荷室の積載性を期待してはいけない。
インストルメントパネル
だが、そのぶん走りは軽快感にあふれている。マツダのSUVらしく操舵に対する反応が素早く、ブレることなく的確にクルマが動いてくれるから街なかから山道までキビキビと駆け抜けることができる。旋回中のロールも少なく、素早くステアリングを切り返したときの挙動の収まりも良いので安心感のあるハンドリングに仕上がっている。乗り心地は荒れた路面での突き上げ感が多少強めだが、発売当初に酷評された乗り心地は徐々に改善が進み、今では随分カドが取れた乗り味になった。
居住性
エンジンは国産コンパクトSUVでは珍しい、1.8ディーゼルと1.5lガソリンの2種類。ミッションはダイレクト感のある6速ATがメインだが、「XDツーリング」には6速MTも用意されている。ディーゼルは低回転域のトルクが少し物足りないが、2000rpmも回れば加速は力強い。フレキシブルに加速を引き出せるということから、6速MTでも乗りこなしやすい。ディーゼル特有の音や振動も上手く抑えられているから、ディーゼルの弱点は感じられない。
うれしい装備
間登録台数 826台(21年11月〜22年4月平均値) 現行型発表 15年2月(一部改良21年10月) WLTCモード燃費 23.2km/l※「XD Touring」のFF/6速MT車
ラゲッジルーム
1.5lのガソリンはトルクやパワー感はほどほどだが、吹け上がりが軽いため、積極的にアクセルを踏み込めば意外なほど元気に走ってくれる。ガソリン車にだけ装備されるスポーツモードを選択すれば、高回転が維持されるようになるから、さらに軽快感のある走りが楽しめる。SUVには乗りたいものの、大きな車体を乗りこなす自信のない人や、SUV特有の鈍重な走りが嫌いな人にはCX-3がお薦めだ。
だが、マツダは今後はラージSUVに力を入れるためCX-3は現行限りで廃止になる可能性が高い。逆に考えればモデル末期に買っても新型を気にする必要がないのだから、欲しい人は今から買っても失敗はない。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/142/