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商品改良を繰り返し絶えず進化し続ける
登場から7年が経過している現行型だが、着実にマイナーチェンジを繰り返し熟成が図られている。それは歴代ロードスターが歩んできた道のりであり、現行型も変わることはない。
エクステリア
2021年末に行なわれた変更では、KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)なる運動学に基づいた車体姿勢の制御技術が盛り込まれたところがポイントだった。サスペンションジオメトリー×リヤイン側ブレーキに対してわずかな制動力を与えることで、アンチリフト力を生み出すことにより、新たなる走りを手にしたところがポイントのひとつだ。これは全グレードに対して搭載されている。
インテリア
KPCの恩恵を最も受けているのが、リヤのLSDやスタビライザーを搭載せずに軽量化に突き進んだ990Sである。その名が示す通り、この特別仕様車は車重990kgを達成。Sというグレードで同様のものが存在するが、この990Sは内容がかなり異なり、ブレンボ製対向ブレーキ、レイズ製ホイール(6.5Jから7.0Jへ拡大)などを装備した、走りを意識したグレードとなっている。幌内側のインシュレーターも持っていないなどかなり硬派だ。また今回のマイナーチェンジで足まわりのセッティング変更も行なった唯一のモデルでもある。スプリングレートをアップさせる一方で、ダンパーはしなやかなセッティングを施すなど、新たな挑戦を行なっているところにも注目だ。
市街地ではしなやかに ワインディングでは安定感を
7年が経過してもデザインについては変更せず、中身を改良して新鮮味を出して行く手法はロードスターらしさが光っている。その最たるモデルが990Sだ。1t以下をなんとか達成したSというグレードもあるが、それとはまったく異なる印象がこのクルマには存在する。それはリヤのスタビリティをしっかりと確保した上でしなやかさも得ているところだ。かつてのSはリヤの動きに一体感がなく、高速域ではナーバスにも動いてしまうところが問題だったが、KPCを手にした現行モデルはそこをきちんと解決している。
うれしい装備
DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)を利用し、リヤの左右に輪速差が出た時点0.3MPa ほどの僅かなレベルでイン側リヤにブレーキを掛けるKPCは、リヤの浮き上がりを抑えるだけでなく、コーナーのアプローチ段階でブッシュのたわみも抑制することに成功。ステアリングを切り込んだ瞬間からリヤが安定し、一方でアクセルを踏むとLSD効果も発揮。
ワインディングレベルで恐怖感を伴わない、レベルの高い走りを達成している。足まわりの変更やリヤスタビをもたないことで、タウンスピードからしなやかさを有していることも特徴。パワフルとは言えない1.5lエンジンだが、性能をフルに引き出して走るときの爽快感は、タイムを気にする他車とは異なるロードスターならではの世界観が存在する。
Country Japan Debut 2015年5月(商品改良:21年12月) 車両本体価格 262万3500円~335万6100円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/143/