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高圧洗浄機といえば、すぐに黄色と黒のボディが思い浮かぶほど日本ではすっかり定着した感のある「ケルヒャー」。愛車の洗車はもちろん、ガレージや家の壁面に外階段など、活躍の場を増やしており、周辺で目にする機会も多いだろう。その割合も、年を経るごとに増える一方となっている。
そして2022年、満を持してサイレント第3世代へとフルモデルチェンジした!
ケルヒャー水冷式サイレント第3世代トップモデル『K5プレミアムサイレント』は、従来通りの高い洗浄力をキープしながら、10dBもの音圧低減を目標に開発。なんと体感音では50%ダウンという驚異的な静粛性を実現する。その音質も柔らかで耳障りではない点にも注目。サイレント第2世代でも静かだったのに、第3世代の静かさはそれを大きく上回る。
根本から見直した不惑の徹底したコンセプト
「僕たちが日本側ができることというのは、商品のコンセプトを作ること。そしてそれをどうお客様に届けるか。ここが主な仕事になります」
当初より、その方向性は明瞭だった。
「一番最初に決まった言葉はですね、自分達を鼓舞するためでもあるんですけれども、ケルヒャー史上最高峰のものを作るぞ、この言葉でした」
それゆえに、既存モデルを根本から変えるドラスティックな取り組みが行われた。
「大きく変えた点として、モーターの向きを上下逆転させています。これまでは、高圧のホースを下から出すようにモーターを上に置いていたんです」
水を上から取り込み、下から出す。自然の摂理に沿ったあつらえではあるものの、モーター駆動の機械としては問題も存在した。
「重たいものが上にあるのでバランスが悪いんですね。 振動もやっぱり増え、これまでは音鳴りを収めるために余計なものも付属させざるを得なかったんです」
重量物を下に置く立ち姿を安定させるのと共に、振動発生の大元も改善する。振動対策は付随する部位にも及んだ。
「一番振動が起きるのはモーターとポンプをつなぐ部分なんですね。ここも2つのダンパーで振動抑制を行っています。 これによってモーターが発する振動が筐体側に伝わりにくくなります。同時にモーター自身も安定して駆動することができるようになる」
音鳴りへの対処は二重、三重に行われる。
「筐体そのものにも吸音材をふんだんに使い、そして完全密閉のボディーにしています。モーターの向きを逆にしたので、かなりトリッキーな組み立てにはなるんですが。まったく音が外に出ないようにシャットダウンしている感じですね」。
体感音を5割も低減できた背景には、振動抑制だけに留まらず、サウンドチューニングの貢献も大きい。
「ドイツにサウンドラボがありまして、実際に音を測定しながら調整しました。単純にレベルを削るだけではダメなんです。大事なのはノイズの周波数なんですね。人間が一番気になる周波数帯に対応する吸音材を入れることが重要です」
多方面に及ぶ徹底した作り込みは、それでも最後の最後で難題にさらされる。
「本来は去年の4月に発売する予定だったんです。 でも、コロナ禍のあおりによって、最終的な生産仕様に入る前に希望した吸音材の調達ができなくなりました。ドイツ側からは、少し吸音の能力が悪くなるけれども用意できるものでやるかと言われたんです。タイミングを守るために。でも、コンセプトからケルヒャー史上最高峰とうたっているだけに、日本側としてはそれはしないと。本来は昨年の4月に発売する予定でした。半年遅らせざるを得なくなってしまったっていうのは、妥協しなかったからこそでもあります」
あのドイツでさえ妥協案を示すなか、決して折れることはなかった当初のコンセプト。静粛性への配慮はごく一部であり、その徹底した施策はアクセサリーを含め、枚挙に暇がない。