検証「ラングラーは実際にどれくらい積めるのか!」 【ジープ・ラングラーを買うと幸せになれるのか Vol.6】

現行モデル(JL型)の1世代前のJK型ファイナルバージョンに乗る “Wrangler Love!” な筆者が、「ジープ・ラングラー」の特徴や魅力について、さまざまな視点から語るこのシリーズ。ラングラーといえば、キャンプなどアウトドアシーンでの活用が期待されるクルマだが、果たしてどれほどの積載能力があるのか気になるところ。今回は、2名でキャンプへ行く際のキャンプギアを実際に積み込んでみて、「ジープ・ラングラー」の積載能力を検証。このほか、効率的な積載方法や積載能力を補完するアイテムなども併せて紹介する。
REPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

アウトドアシーンでは高い信頼感と映え度を発揮するジープ・ラングラー

2名でのキャンプに必要な標準的なギアを実際に積み込んで、積載能力をチェックした!

今更いうまでもなく、「ジープ・ラングラー」はクロカン4WDの代名詞的存在だ。頑強なラダーフレーム構造に大きなタイヤとパワフルなエンジンを搭載し、あらゆるシーンでも高い走破性を誇る「ジープ・ラングラー」は、今も昔もアウトドアズマンの憧れの的となっている。

その一方で、「ジープ・ラングラー」に憧れを抱いている人たちは、平面的で角ばったボディに丸目2灯のクラシカルなフォルムにも惹かれているはず。これは1945年に誕生した「CJ-2A」から脈々と受け継がれている伝統的なフォルムだが、ほかのクルマでは絶対に体験できない唯一無二の独特な味わいがあり、ここに心踊らされているファンが多いのは確かだ。

このような背景から、すでに「ジープ・ラングラー」のオーナーとなった人はもちろん、これから購入しようと思っている人たちは、アウトドアシーンでの高い信頼性と映え度に大きな期待を寄せていることだろう。

平面的で角ばったボディに丸目2灯+7スリットグリルを配した「ジープ・ラングラー」のフォルムは、唯一無二のデザインで独特の存在感を放っている。
「ジープ・ラングラー」はアウトドアとの相性が抜群!キャンプサイトにラングラーがあるだけで、映え度が格段にアップする。

気になる「ジープ・ラングラー」の積載力はいかに?

アウトドアシーンでの活躍が期待されている「ジープ・ラングラー」だが、キャンプ、フィッシング、サーフィン、ボードのどれをとっても大小合わせてさまざまなギアをフィールドへ持ち込む必要があり、ラゲッジスペースなどの積載能力は大きな関心事だ。

巷では、「ジープ・ラングラー」には「荷物があまり載らない」とか「車中泊には向かない」などとささやかれることもあるが、実際のところはどうなのか、この記事を読んでいる皆さんは大きな関心があるはずだ。そこで今回は、実際にキャンプギアを積み込んでみて、どれほどの積載能力があるのか検証してみることにしよう。

JK型ラングラーのラゲッジスペースのサイズは、横幅110cm×奥行き97cm×高さ104cm(実測値)。現行のJL型もほぼ同じサイズで、リアシートを倒すと約2000ℓの積載量がある。

2名分のキャンプギアを積み込んで積載能力を検証

今回の検証では、2名でキャンプへ行く際に必要となる標準的なギアを用意して、実際にどれほどの積載能力があるのかを試してみた。用意したキャンプギアは下表のとおりだ。

「その他」のグッズについては個人差があるので、今回はこれらのグッズを除いてテストを行った。

積み込みにあたっては、重量配分に配慮しながら、荷崩れすることなく、極力デッドスペースが発生しないよう注意しながら作業を実施。結論からいうと、2名でキャンプへ行く際の標準的なギアといえども、ラゲッジスペースのみでは積みきれず、リアシートも利用する必要がある。足しげくキャンプへ出かけている筆者からすると想定内の結果だが、いつも少々物足りなさを感じるのは確かだ。

ルームミラーで後方確認ができる程度にグッズを搭載。筆者は走行中に荷崩れを起こしてリアガラスを破損しないように、写真のように大きめのブランケットで保護している。
(左)左側リアシート、(右)右側リアシート。どちらもレッグスペースまで利用して積載したので、まだ若干の余裕はある。

また、積み込みの際に気になるのは、車内全域に設置されているロールバーの存在。これはフルオープンで走行する際に乗員の安全を守るために必要なものだが、とりわけラゲッジスペースでは影響度が高く、リアクオーターウインドウ付近にデッドスペースを生む要因となっている。

ここには小さなグッズならばいくつか積むことができるが、ウインドウのすぐ近くなので、重い物や金属製のグッズは怖くて置けない。そこで筆者は、ウインドウ保護を兼ねてアウターなどの衣類、マット、ブランケットなど柔らかいものを挿し込むスペースとして利用している。

「ジープ・ラングラー」特有の構造といえる車内のロールバーは、ラゲッジスペースの積載容量を圧迫する要因となっている。しかし、工夫次第でデッドスペースの有効利用は可能だ。

ボディサイズやボディ形状を考えると積載能力は及第点

検証後に積み込んだキャンプギアを降ろして並べてみると、実は結構なボリュームであることがわかる。「ジープ・ラングラー(JK型)」のボディサイズは、全長4,705mm×全幅1,880mm×全高1,845mmと、本格的なクロカン4WDとしては比較的コンパクトな部類に入る。しかも、たくさんの人や荷物を積むことのできるワンボックスではなく、長いボンネットフードが付いた2ボックスであることを考えると、これだけ積めるのならば及第点をあげてもいいだろう。

2名分のキャンプギアを降ろして並べてみると、意外と多くの荷物を積んでいたことがわかる。リアシートを併用するとしても、これだけの積載能力があればSUVとしては合格だ。
 

ギアが肥大化する冬場はルーフラックやルーフボックスで対処

キャンプでは、季節、気温、天候などによって持ち物が変化するが、今回の検証ではオンシーズン(春から秋の3シーズン)を想定していたので、シュラフやブランケットなどの就寝用品は比較的薄手のものをチョイスした。

しかし、冬場になると就寝用品は厚手のかさ張るものになるうえ、電気毛布なども必要になるので、キャンプギアの容量は増える傾向にある。さらに、石油ストーブや薪ストーブなどの暖房用品も必須になるので、ラゲッジスペース+リアシートでは容量不足になることは必至だ。

そんな時に役立つのが、ルーフラックやルーフボックス。ただし、ルーフラックの場合は、雨対策としてキャンプギアをコンテナボックスに入れたうえで載せるとよいだろう。

ところが、「ジープ・ラングラー」は本格的なクロカン4WDゆえ車高が高く、ルーフラックやルーフボックスを取り付けた場合は荷物の上げ下げに苦労する。そのために脚立を持ち歩くのは面倒なので、筆者はドアフックに引っ掛けるだけでステップとなる「ドアステップ」を常時携帯している。

Smittybiltの「DEFENDER RACK」はラングラーにピッタリの定番ラック。キャリア+ラックより高さが低く抑えられ、積載量容量も多いのでオススメだ。<出典:Smittybilt>
「ドアステップ」があれば、ルーフラックやルーフボックスへのアクセスが格段にしやすくなる。脱着も簡単でコンパクトなので、ひとつ常備しておくと便利だ。

積載場所を分散すると、さらに積載能力がアップする!

今回は、「ジープ・ラングラー」に2名分のキャンプギアを実際に積み込んで積載能力の検証を行ったが、ボディサイズやボディ形状を考えると、若干物足りなさはあるものの及第点という結果。前述のとおり、ルーフラックやルーフボックスを利用すると、真冬の重装備+愛犬でも十分搭載することが可能だ。また、「ジープ・ラングラー」のリアシート下には、横長の比較的空間があるので、ここも積載スペースとして利用すると、さらに積載能力はアップする。

気になる車体の変化はというと、リアの沈み込みはほとんど感じられず、操舵感や走行安定性にも大きな影響はなかった。やはり「ジープ・ラングラー」には、乗用車ベースの軟なSUVとは違って、ハードな条件になるほど絶大な信頼感を提供してくれる4WDであることを改めて実感させられる。これから秋にかけては、本格的なアウトドアシーズンに突入するので、「ジープ・ラングラー」を駆って出かけるのが楽しみで仕方ない。

今回用意したキャンプグッズをすべて積載しても、リアの沈み込みはほとんど感じられない。もし沈み込んでアッパーライトになっても、「ジープ・ラングラー」にはライトの高さ調整機能(左上)が装備されているので安心だ。

直接比較! 最新JL型ラングラーはどんな進化を遂げた? 【ジープ・ラングラーを買うと幸せになれるのか Vol.5】

現行モデル(JL型)の1世代前のJK型ファイナルバージョンに乗る “Wrangler Love!” な筆者が、「ジープ・ラングラー」の特徴や魅力について、さまざまな視点から語るこのシリーズ。今回は、実際に現行モデル(JL型)との比較を行って進化の度合いをチェック!改めて「ジープ・ラングラー」の魅力について考察する。 REPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro) 取材協力 Garage-1st(https://garage1st.com)

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著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…