動画で詳細チェック! デリカミニの4WDは専用サスペンションとパジェロ&ランエボで培った三菱ならではの制御システムで走破性抜群! パリダカウィナーの増岡浩氏も太鼓判!

いよいよ正式発表となり一般ユーザーの目にも広く触れる機会が増えた話題のニューモデル、三菱デリカミニ。そのカッコかわいいスタイルが評判になっているが、何より「デリカ」の名をもつ軽スーパーハイトワゴンだけに、その走破性に期待が集まっている。実際、デリカの名を冠するだけの走破性があるのかは大いに気になるところだが、その実力の一端を動画でお届けしよう!

この春、抜群の注目を集める三菱のニューモデル「デリカミニ」。2022年の発表から話題となり、1月の東京オートサロン2023での実車お披露目もあり、予約開始から注文が殺到。4月の正式発売までに9000台以上を受注したほどの人気ぶりだ。
現行モデルではなく、先代のD:5を彷彿とさせる”カッコかわいい”スタイルが人気というだけでなく、軽スーパーハイトワゴンでは数少ないオフロードテイスト、しかも”デリカ”の名を冠したモデルだけあり4WDの走破性への期待度も高い。

発表イベント「デリカミニ アウトドア フェス」ではCMに出演する水川あさみさんも登場。

ただ、これまでCMやプロモーション映像を除けばその走破性を知る機会はなかった。しかし、2023年4月8日(土)に開催された同車の発表イベントである「DELICA MINI OUTDOOR FES」で、ついにその実力を実際に見る機会が設けられたのだ。

三菱のクルマの走破性を示す、おなじみ「オフロードキット」

同イベントでは参加型プログラムとして、デリカD:5によるオフロードキットと登坂キットの同乗体験走行が用意されており、来場者はデリカD:5のミニバン離れした走破性を堪能した。このキットは三菱のイベントではおなじみで、パリダカールラリー優勝経験もあるラリードライバー・増岡浩氏を初め、三菱の実力はドライバーがステアリングを握り同乗者にその走破性を紹介するものだ。

オフロードキット同乗体験走行
オフロードキット同乗体験走行
登坂キット同乗体験走行

今回、一般来場者の同乗こそなかったものの、デリカミニもこのオフロードキット走行を披露した。残念ながら登坂キットこそ走行しなかったものの、横傾斜路、凸凹路、スリップ路の3つをデリカD:5同様に走行している。
その様子を動画でご覧に入れたい。

動画でチェック! デリカミニがオフロードキットを走る

■横傾斜路
この傾斜路では車体が斜めになるだけでなく、車体が浮き上がったことにより1輪が設置しない状態になる。そのため、残った車輪やボディには大きな力がかかることになる。それによりボディには捻れる力が加わり、サスペンションも限界までストロークしている。

横傾斜路を乗り越えるデリカミニ

しかし、クルマは危なげなく傾斜路をクリア。同乗してもわかることだが、大きな開口部と広い空間を備える軽スーパーハイトワゴンでありながら、このような状態でもボディは軋みひとつ上げず、車体を意図的に揺らしても安定したままだ。
この様子から車体剛性は極めて高く作られており、4WDモデルに装着される専用サスペンションのセッティングの絶妙さが窺い知れる。
なお、この傾斜は20度に設定されているのだが、デリカミニは43度まで耐えられるという。

アプローチ時には右リヤタイヤが完全に浮き、設置しているタイヤのサスペンションは限界までストロークしている。
傾斜は20度だが、43度までは横転しない。車内だと数字以上に傾斜を感じるが、軋み音などもなく安心感も高い。

■凸凹路
ガレ場などで想定される凹凸の大きな路面を模したキット。アプローチ時にフロントフェンダーが接触するか(アプローチアングル)、走行中に車体底面が引っかかるか(ランプブレークオーバーアングル)、脱出時にリヤオーバーハング(デパーチャーアングル)を確かめることができる。
また、キットの左右で高さや角度が異なっており、サスペンションに横傾斜路とは違った複雑な動きを強いることになる。

凹凸路を進むデリカミニ

最低地上高はFF車の155mmに対して4WD車は160mmに設定されている。これは先代にあたるeKクロススペースの150mmから+10mmとなっており、デリカミニの走破性に貢献している。FFに対してはわずか+5mmではあるが、この5mmが効いてくるのだと増岡氏は語る。

前後オーバーハングの短い軽スーパーハイトワゴンはアプローチアングルとデパーチャーアングルでは比較的有利。
逆に長いホイールベースがランプブレークオーバーアングルでは不利になるが、デリカミニは最低地上高を高めて対応する。

なお、同クラスで比較するとスズキのスペーシアギア(4WD)が150mm、ダイハツのタントファンクロス(4WD)が165mm。ただ、FF車はスペーシアギア、タントファンクロスが150mmになのに対し、デリカミニは155mmとなっている。

■スリップ路
右フロントタイヤと左リヤタイヤをローラーに載せ、スリップしやすい路面での脱出力を見るキット。タイヤがスリップしてから4WDに切り替わるスタンバイ式は脱出が困難なシチュエーションだ。フルタイム4WDでもブレーキを掛けてトルクを制御するタイプや、リミテッドスリップデフ(LSD)を持たないタイプだとスタンバイ式ほどでないにせよ、やはりスムーズには脱出できない。

スリップ路からの脱出

対してデリカミニは三菱の最高峰4WDシステムであるS-AWCではないものの、このクラスでは希少なフルタイム4WDであることはもちろん、「グリップコントロール」を搭載しているのがポイント。三菱がこれまでパジェロやランサーエボリューションシリーズで培ってきた4WD制御ロジックに則ってセッティングされている。

そもそもオンロードを前提とした4WDシステムは、4WDの根本的なネガティブ要素=駆動輪の多さに起因する曲がりにくさを解消するため、より回りやすい駆動輪に多く駆動配分する。しかし、これではスタックした際に空転する(=回りやすい)車輪に駆動配分してしまい余計に脱出できなくなる。ラリーなどのオフロード競技ではこれをLSDで制御したり、オフロード走行が前提の4WDは全輪に等しく駆動する(=駆動配分をしない)直結4WDモードを備えていたりする。

スリップ路からの脱出

また、一般的なトラクションコントロールシステム(TCS/横滑り防止装置)ではブレーキによる駆動力制御が普及しているが、これもこのようなスリップ状態では空転している車輪にブレーキを掛けてしまうため、かえって脱出に必要なトルクが出ないという事態にも繋がることになるという。

クリープ走行状態ではローラーの上で空転する右フロントタイヤ。フルタイム4WDなので左リヤも同様に空転している。ここからアクセルを踏み込んでいくだけで脱出できる。

デリカミニのグリップコントロールの制御ロジックでは、空転中のタイヤにブレーキは掛けず逆に目一杯空転させてタイヤに付着する泥なり雪なりを一度遠心力で飛ばしてタイヤの性能を回復させた上で、空転していない車輪にも駆動力を配分することで駆動力を高めスリップする路面からの脱出力を確保している。
システム上は複雑な制御がなされているのだが、ドライバーとしては脱出できるまでアクセルを踏むだけと至って簡単。スリップ路でも三菱が掲げる”安心””安全””快適”に走ることができる。さらにこの走破性であればオフロードでも”楽しく”走ることもできるだろう。

その走破性は「パリダカールラリー」を制覇した増岡浩氏のお墨付き

デリカミニの発表に際しては、件の副社長・中村達夫氏はもちろん商品企画責任者・藤井康輔氏も再三に渡って環境・安心・安全・快適という”三菱らしさ”を強調してきた。
増岡浩氏も同様に語っているが、今回はこの走行披露と合わせて、先の4WD制御ロジックも含め具体的な内容を実際の走行を交えて解説してくれた。その具体的な内容は前述のとおり。

デリカミニ(4WD)のシステムや走破性について解説する増岡浩氏。パリダカールラリー優勝2回(2002年、2003年を連覇)のレジェンドラリードライバーで、2022年からは復活したチーム三菱ラリーアートの総監督を務めアジアクロスカントリーラリー2022で優勝。

サスペンションとそのセッティングには特に力を入れており、ゴツゴツすることなくしなやかに動き、目的地まで安心・快適に移動できる。しかも、オフロードでの走破性はもちろん日常での乗り心地も優れたものに仕上がっているという。曰く、シートも良いものをおごっているそうだ。
また、ボディ剛性の高さは走りの良さや安心感の高さだけでなく、万が一の衝突や横転時に乗員を守る大きな力になるとも語る。

「デリカミニの化身」をあしらったTシャツを着た増岡浩氏。これはなかなか貴重なシーンだ。

デリカミニは、若者のエントリーカーとしてだけでなく、ファミリーのファーストカー、年配者のコミューターとしても十分な性能と機能を備えており、日常遣いはもちろんのことウインタースポーツやキャンプなどのアクティブなライフスタイルに最適な1台であると語った。

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