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2023年4月23日(日)に富士スピードウェイ(静岡県)で、春恒例の一大クルマイベント「モーターファンフェスタ」が開催された。好天にも恵まれ多くの来場者が訪れ、さまざまなクルマやコンテンツを楽しんだ。
ピットに設けられたブースには国内外のメーカーがそれぞれ色々な自社のクルマを展示していたが、スバルは2016年にニュルブルクリンク24時間レースに出場し、見事クラス優勝を飾ったWRX STIを展示していた。
実戦を潜り抜けた車両が放つ凄み
スバルのニュルブルクリンク24時間耐久レースへの挑戦は2008年から始まり、2011年・2012年、2015年・2016年、2018年・2019年と三度の連覇を成し遂げている。展示車両の2016年参戦車は山内英輝(日本)、マルセル・ラッセー(ドイツ)、カルロ・ヴァン・ダム(オランダ)、ティム・シュリック(ドイツ)の4名のドライバーの手により総合20位、SP3Tクラス(2000cc以下のターボ車)1位という結果を残している。
展示された車両には特にパーティションなどは設けられておらず、来場者はまさに至近距離からこのマシンを見ることができた。
外装はニュルブルクリンク24時間耐久レースを戦うための改造が施されているものの、よく見ればこのクルマが市販のWRX STIであることは明らか。その改造もどこか手作り感のある雰囲気を漂わせている。
運転席やロールケージの張り巡らされた室内もつぶさに観察することができた。
意外とシンプルなインテリアだが、張り巡らされるロールケージはまるで蜘蛛の巣。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのハードさを物語る。ドアにはコース図が貼られ、車内にはレースの車検証が展示されていたほか、燃料タンクにはレースの検査証が貼られており実戦の雰囲気を伝えている。
2016年ニュルブルクリンク24時間耐久レース優勝車(SP3Tクラス) ベース車両:SUBARU WRX STI サイズ(全長/全幅/全高):5120mm×1860mm×1395mm ホイールベース:2650mm 車両重量:1230Kg エンジン:EJ20 水平対向DOHC16バルブAVCSツインスクロールターボ 総排気量:1994cc 最高出力:250kw(340PS)/5500rpm 最大トルク:461Nm(47kgf・m)/3000rpm トランスミッション:6速シーケンシャルギヤボックス+パドルシフト クラッチ:O.R.C ツインプレート ステアリング:ラック&ピニオン式 タイヤ(サイズ):FALKEN(260/660R18) ホイール(サイズ):BBS(18x10J) ダンパー:BILSTEIN ブレーキ:Brembo(フロント6ポット、リヤ4ポット) ブレーキパッド:ENDLESS
スーパーグリッドウォークではコースを走る姿も披露
モーターファンフェスタ2023の目玉コンテンツの1つである「スーパーグリッドウォーク」では、ピットを離れて赤絨毯(!)のセレモニアルを経てグリッドまで自走。グリッド上でグリッドウォークに参加した来場者の多くの人にその姿を披露した。ピット内の照明とは違い、陽光のもとで見る姿はより実戦に近い雰囲気を感じさせた。
スーパーグリッドウォーク終了後はやはり自走でコースを1周して元いたピットに戻ってきた。富士スピードウェイのコースを、本気でないにせよ、走る姿を見ることができたのはとても貴重な機会だったと言えるだろう。
2023年のニュルブルクリンク参戦車両は現行のWRX S4がベースになり、エンジンはFA24ターボが搭載されている。それだけに、名機EJ20の響きは懐かしく感じる。
2023年の挑戦はすでに始まっている!
スバルのニュルブルクリンク24時間レースへの参戦「STI NBR CHALLENGE」は2023年も継続しており、つい先日も、この富士スピードウェイで2023年の参戦車両のシェイクダウンとお披露目があったばかり。
そして、モーターファンフェスタ2023のちょうどその日。遠く離れたヨーロッパ、ドイツの地ではニュルブルクリンク24時間耐久レースのQF(予選)レースが開催されていた。
前日の予選1に続き、23日は予選2と4時間のレースが実施され、最終的に総合26位、SP4Tクラス優勝という結果で、いよいよ5月18日〜21日の本戦に挑むことになる。
2020年、2021年を新型コロナウィルス蔓延により出場辞退したスバルは、2022年に満を辞して出場したものの無念のリタイアに終わった。2023年こそその雪辱を果たし、2019年以来の優勝を期待したい。予選レースの結果を見れば、クルマとドライバーにはその実力があることは明らか。あとは本戦レースでの健闘と無事を祈るばかりだ。