メルセデスAMG SLに585psのV8ツインターボを搭載する最高峰モデル「SL 63 4MATIC+」が追加!

メルセデス・ベンツ日本はこのほど、メルセデス・ベンツのラグジュアリーロードスター新型メルセデス AMG SLに「SL 63 4MATIC+」を追加するとともに、 SL 43の装備を一部見直し、4月25日に発売した。税込車両価格はSL 63 4MATIC+が2890万円、SL 43が1700万円。

SL 63 4MTIC+はSL史上初めての四輪駆動モデル。後輪操舵システムのリヤ・アクスルステアリングもSLとして初採用

SuperとLight(軽量)を略したモデル呼称であるSLは、1952年に公道を走行できるレーシングスポーツカーとして発表され、ル・マン 24時間レースで見事なワンツーフィニッシュを飾ったほか、世界各地のレースで輝かしい戦績を重ねた「300 SL(W194)」をベースに、 1954年に「300 SL(W198)」として発売された。初代300 SLの誕生から 70年を迎え、新型SLはメルセデスAMGによる完全自社開発モデルとして生まれ変わった。

このたびSLのライナップに加わったSL 63 4MATIC+は、SL専用の高剛性プラットフォームによる卓越したドライビングパフォーマンスと快適性を兼ね備えたドライバビリティ、 2+2シートレイアウト(※)、そしてAMG製V型8気筒ツインターボエンジンがもたらすパワフルなドライビングを楽しむことができるモデル。インテリアはアナログとデジタルを融合した「ハイパーアナログ」デザインを採用することで、 300 SLのデザインをオマージュしながらもラグジュアリーで快適な空間を実現している。
※安全上の理由から後席は対応身長150cm以下、チャイルドシート装着時は対応身長135cm以下となる。

SL 63 4MATIC+にはメルセデスAMG社が完全自社開発した、585ps/800Nmを発揮する4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン「M177」を搭載。9速ATの「AMGスピードシフトMCT」を組み合わせ、パフォーマンス志向の「4MATIC+」を介して四輪を駆動。3.6秒の0-100km/h加速、315km/hの最高速をマークする。

M177型エンジンは、砂型鋳造されたクローズドデッキのアルミニウムクランクケースに鍛造アルミニウム製ピストンを組み合わせることで、軽量かつ高強度なエンジンを実現した。また、シリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングする NANOSLIDE.摩擦低減加工を施すことで、フリクションロスを低減。さらに、燃料を効率的に消費するために「Comfort」モードで走行中、エンジン回転数が 1000〜.3250rpmで低負荷の際に、2/3/5/8番の4気筒を休止することで燃料消費量とCO2排出量を抑えることができる「AMGシリンダーマネジメント」も搭載している。

2基のターボチャージャーは、V型シリンダーバンクの内側に配置する「ホットインサイドV」レイアウトを採用。タービンはレスポンスをさらに改善する狙いから、ツインスクロールターボチャージャーとし、ハウジングがふたつに分割され、並行するフローチャンネルとなっているほか、これに合わせてエグゾーストマニホールドのダクトも 2本とされているため、排気をタービンホイールまで2経路に分離して導くことができる。一方のダクトには、同一シリンダーバンクの1番目および 2番目のシリンダーからの排気が、もう一方のダクトには3番目および4番目のシリンダーからの排気がそれぞれ供給される。これは、シリンダー間の排気干渉を防いでガスサイクルを改善するためのもので、これにより排気の背圧が低減され、ガス交換が改善される。その結果、出力の増強(新たな混合気によるシリンダー充填が改善することによる)、低速トルクの増強、そしてより速いレスポンスが実現する。

エンジンと車体との接続部には、磁性流体の可変マウントであるAMGダイナミックエンジンマウントを採用している。各種センサーからの情報によりドライビングの状況を検知して、マウントの硬さを自動で調整。通常走行時は柔らかいマウントによってドライブトレインからのノイズと振動を効果的に遮断し快適性を高める。一方、ダイナミックなドライビング時にはマウントを硬くすることでドライブトレインのロールモーションを減少しクイックなコーナリングを実現する。

SL 63 4MATIC+には初代以来70年近くにおよぶSLの歴史の中で、初めて四輪駆動が採用され、AMGのパフォーマンス志向連続トルク可変配分式四輪駆動システム「4MATIC+」を搭載。このシステムは、異なる駆動方式の利点を兼ね備えている。駆動トルクの前後配分比を無段階(※)で連続的に変化させることで、物理的限界まで最適なトラクションを確保するだけではなく、ドライ、ウエット、スノーといったあらゆる走行条件下で高い操縦安定性と安全性を発揮する。また、制御機能を車両全体のシステムアーキテクチャーに統合する洗練されたマトリックスをベースとして、後輪駆動から四輪駆動、またその逆の移行が間断なく行われる。
※フロントの駆動配分は0.50%

常時駆動されるリヤアクスルに、可変的にフロントアクスルを接続するのは電子制御機械式クラッチ。走行条件やドライバーの運転操作に応じて、最善のトルク配分を常に計算することで、トラクション重視の四輪駆動と純粋な後輪駆動の間を連続的に変化させながら走行することができる。四輪駆動は優れたトラクションと横方向運動特性を実現するほか、前後方向の運動特性も改善することから、いっそうパワフルな加速が可能となる。

サスペンションには、新たに開発された AMGアクティブライドコントロールサスペンションが採用された。メルセデスAMGの量産モデルとしては初めての搭載だ。トーションバー(スタビライザー)を利用した従来の機械的なアンチロールバーに代えて、能動的な油圧機構を採用したことによりロールを瞬時に補正することが可能になった。これを実現するため、アダプティブダンパーも ふたつの油圧接続を備えている。一方はダンパーの縮み側に、他方は伸び側にあり、全4輪におけるダンパーチャンバーとラインの接続は、アダプティブダンパーのコントロールバルブを介して行われる。4本のサスペンションストラットを相互に油圧接続するとともに、ポンプとスイッチングバルブに対して圧力調整を行うことで、きわめて広いロールレートの確保と同時にロール動作の低減が可能となった。これにより日常走行では、片側に凹凸があっても個別に補正されるため、快適性が向上する。そして、ダイナミックなコーナリング時には、油圧装置によりキャンバーの減少が能動的に抑制されることから、結果として高いキャンバー安定性が得られ、きわめて正確なコーナリングが楽しめる。

SL 63 4MATIC+にも、すでに販売されているSL 43と同様に、リヤに電子制御リミテッドスリップデフを標準装備することで、あらゆる走行状況において卓越したトラクションと最大限の走行安全性を約束。これにより、後輪のトラクションがさらに改善されるほか、物理限界におけるコーナリングスピードも向上する。また、高速で車線変更する際も最大限の操縦安定性が確保される。このシステムは、加速時とアクセルオフ時に可変的に差動制限効果を発揮するほか、さまざまな走行状況や路面摩擦係数に対応している。

SL 63 4MATIC+にはさらに、長い歴史を誇るSLに初めてリヤ・アクスルステアリングが標準装備された。車速に応じて、左右の後輪に前輪と同方向あるいは逆方向に舵角を与えるもので、SL 63 4MATIC+の特性に合わせて精密にチューニングされており、アジリティと操縦安定性を同時に実現する。

車速100km/h以下では、後輪は前輪とは逆方向に操舵。これは、ホイールベースを短くするのと同等の効果を生み出し、その結果、コーナリング進入時のアジリティがはるかに高まるため、ドライビングがいっそう楽しくなり、ドライバーによる操舵量も小さくて済む。その他のメリットとしては、方向転換時や駐車時など日常の走行場面における機動性の向上や回転半径が小さくなることなどが挙げられる。

100km/hを超えると、後輪は前輪と同じ向きに舵角が与えられる(最大舵角0.7度)。これによりホイールベースを長くすることと同じ効果が生じるため、操縦安定性が高まる。同時に、方向を変える際、後輪に働く横力がはるかに速く高まるようになり、ステアリング操作に対するレスポンスが素早くなる。

リヤ・アクスルステアリングはコーナリング性能を高めるだけでなく、限界域でのコントロールをより容易なものとするため、突然の回避操作でもドライバーをアシストすることでアクティブセーフティの強化にも寄与している。

内外装はSLの最高峰モデルを体現するデザインを採用し、特にフロントとリヤはさらにスポーティなデザインでその高い動力性能を表現している。オプションのAMGカーボンパッケージを選択すると、フロントスポイラーやサイドエアインテーク、サイドスカートトリム、リヤディフューザートリム等にカーボンファイバーが用いられるとともに、マットブラックペイント の21インチAMG 10ツインスポークアルミホイール(鍛造)が装着され、さらにスポーティなエクステリアとなる。

インテリアにも AMGカーボンファイバーインテリアトリムがオプションとして用意されている。

カーボンインテリアパッケージ(オプション)

SL43にメモリーパーキングアシストを標準装備

SL 43

SL 63 4MATIC+の発売を機に、従来から販売されているSL 43にメモリーパーキングアシストを標準装備するなどの仕様変更が実施された。メモリーパーキングアシストは、所定のA地点(自宅駐車場等)とB地点(乗降場所等)のルートを車両に記憶させることで、車両が区間の移動および駐車(※)するもの。なお、ルート上に障害物を検知すると停止する。
※ドライバーは運転席に残る必要がある。また、メモリーパーキングアシストの使用は私有地限定で、公共の駐車スペースなど、公道では使用しないでください。

また、SL43には新デザインのボンネットエンブレムが採用された点も新しい。さらに、新たにヒマラヤグレーペイントの21インチAMG 10ツインスポークアルミホイールと、内装色クリスタルホワイト/ブラック(ナッパレザー)が有償オプションとして用意された。

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