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ボディ剛性と操舵感覚が進化 内装の質感かつ視認性も抜群
今はSUVの人気が世界的に高く、新型車の投入も活発だ。国内で新車として売られる乗用車の約30%がSUVで、ミニバンを上まわる。レクサスもSUVに力を入れており、最もコンパクトな車種がUXだ。
エクステリア
UXはプリウスなどと共通のGA-Cと呼ばれるプラットフォームを使う。サスペンションの形式やホイールベースは、SUVではC-HRと基本的に同じだ。そこにレクサスのチューニングを施した。UXの発売は2018年だが、22年に比較的規模の大きな改良を受けている。ボディのスポット溶接箇所を20点追加して剛性を高め、足まわりや電動パワーステアリングのチューニングも見直した。特に大きく変わったのがステアリングの操舵感だ。改良前は、ステアリングホイールを回し始めたときの手応えがプレミアムブランドとしては少し曖昧で、路面のデコボコを掌に微振動として伝えた。改良後はそこを払拭して、小さな操舵角から車両の向きが正確に変わる。振動も伝わりにくい。
乗降性
ちなみに今のレクサスは、正確性の高い上質な操舵感を特徴とする。車両の進行方向がステアリング操作に対して忠実に変わると、ドライバーは車両と一体になった感覚を味わえて、車両が軽くなった印象も受ける。そこがメルセデス・ベンツなど、重厚な直進安定性を重視するドイツ車との違いだ。UXもこの流れに沿った変更を受け、特にボディが小さくて軽いから、スポーティな印象が強い。峠道などでは、カーブを曲がっている最中にアクセルペダルを少し緩めると、不安を感じない範囲で進行方向を内側へ向けられる。ドライバーのコントロール性も向上した。乗り心地は硬めだ。40㎞/h以下で舗装の荒い場所を走ると、もう少し振動を抑えたいと感じる。速度が高まると違和感は薄れるので、購入前に販売店の試乗車で確認したい。
インストルメントパネル
パワーユニットは2.0ℓ直列4気筒の自然吸気とそのエンジンにモーターを加えたハイブリッド、さらにEVの3種類を用意。直噴式の自然吸気エンジンは実用回転域の駆動力は高いが、アクセルペダルを踏み込むとノイズが拡大しやすい。その点でハイブリッドは、モーター駆動の併用により、ノイズが小さくて加速も滑らかだ。動力性能は、感覚的には2.4ℓの自然吸気エンジンに匹敵して、プレミアムブランドに相応しい。
居住性
約70㎜と余裕がある。座面のヒール段差が低く、体育座りのような窮屈な姿勢を強いられがち。
内装の質感も満足できて、インパネの中央に装着された12.3インチの大型ディスプレイオーディオは視認性が良い。居住空間の広さは、コンパクトSUVに近い。身長170㎝の大人が4名乗車した際、後席に座る乗員の頭上と膝先の空間は、両方とも握りコブシひとつ分だ。寸法的に少し狭いが、着座位置が適度だから窮屈な印象は受けない。
うれしい装備
月間販売台数 497台(22年9月〜12月平均値) 現行型発表 18年1月(一部改良22年10月) WLTCモード燃費 22.8km/l ※「UX250h」系のFF車
ラゲッジルーム
リヤゲートを寝かせたから、背の高い角張った荷物は積みにくいが、リヤゲートのヒンジが前寄りに装着されるため、開閉時に後方への張り出しが少ない。従って縦列駐車をしているときなど、ボディ後方の空間が狭い場所でも荷物を出し入れできる。このようにUXは、コンパクトなボディを含めて日常的な使い勝手が優れている。毎日の移動の中で、上質な運転の楽しさを満喫できる。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.149「2023-2024 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。