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レクサスブランドについにミニバンが登場! 新時代のショーファードリブン
日本のミニバン市場の頂上に君臨するアルファードがついに8年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たした。その兄弟車であるヴェルファイアも、その存在意義を問い直すべくアルファードとはスタイルだけでなくドライブトレーンや足回りのセッティングを変更し、スポーティ路線でアルファードとは差別化をはかっている。
日本市場に実質的にアルファードのライバルは存在しないと言っても過言ではない。そもそもLサイズミニバン自体のラインナップも少なく、まして高級さを謳ったラグジュアリーモデルとなればアルファード/ヴェルファイアが唯一と言ってもいいくらいだ。
そんな両車は今やミニバンという枠組みを大きく超え、かつてはラグジュアリーセダンが支配していたショーファードリブンとしても人気を集めるに至っている。
特に中国を中心としたアジア市場においてその流れが顕著で、レクサスが2023年4月の上海モーターショーでラグジュアリーミニバン「LM」の新型を発表したことがその証左と言えるだろう。
アジア市場をターゲットにしたLMではあるが、2023年秋頃の日本導入が伝えられている。LMが日本で販売されるとなれば、アルファード/ヴェルファイアの一番のライバルとなるのではないだろうか?
エクステリア……フォルム以上の異なるサイズ
ミニバンということもあり、そのフィルムに大きくな違いはないが、フロントマスクはアルファード/ヴェルファイアの上に広がる形に対して、LMはレクサスのファミリーフェイスを踏襲した末広がりのフロントグリルを備える。
また、サイドビューもアルファード/ヴェルファイアはこれまでの通称“アルヴェルピラー”を昇華したBピラー加飾が特徴になっているが、LMはRXのようなウインドウ後端を絞り込んだ処理となっている。
実は外観以上に異なるのがボディサイズだ。アルファード/ヴェルファイアは日本での取り回しを考慮して全長は5mを切る(4995m)。それに対しLMは5125mmと先代LMから85mm延長され、アルファード/ヴェルファイアよりも30mm長い。
またアルファード/ヴェルファイアの全幅が1850mmであるのに対しLMは1890mm、全高も前者が1935mmで後者が1955mmと、それぞれLMがやや大きなサイズとなっている。
しかし一方でホイールベースは両車とも3000mmと共通しており、基本骨格が同じであることをうかがわせる。
ボディサイズ | アルファード | ヴェルファイア | LM |
全長 | 4995mm | 4995mm | 5125mm |
全幅 | 1850mm | 1850mm | 1890mm |
全高 | 1935mm(17インチタイヤ) 1945mm(19インチタイヤ) | 1935mm(17インチタイヤ) 1945mm(19インチタイヤ) | 1955mm |
ホイールベース | 3000mm | 3000mm | 3000mm |
なお、タイヤサイズはヴェルファイアとLMは225/55R19と225/65R17のラインナップに対し、アルファードのみ前述の2サイズに加え225/60R18というサイズも用意されているのが違いだ。
アルファード | ヴェルファイア | LM |
225/55R19 | 225/55R19 | 225/55R19 |
225/60R18 | ー | ー |
225/65R17 | 225/65R17 | 225/65R17 |
パワートレーン……ターボとハイブリッドのラインナップは同じだが
新型アルファード/ヴェルファイアではパワートレーンのラインナップが異なっている。どちらもA25A-FXS型2.5Lエンジンに電気式無段変速機を組み合わせたハイブリッドシステムをラインナップするのは共通だが、ガソリンエンジンはそれぞれ異なるものが設定されている。
アルファードの2AR-FE型2.5LエンジンとSuper CVT-iトランスミッションの組み合わせに対し、ヴェルファイアはT24A-TFS型2.4LターボエンジンにDirect Shift-8ATトランスミッションを組み合わせる。ターボエンジンにトルクコンバーター型のATと、ヴェルファイアは明らかに“走り”を意識した設定だ。
対してLMは2.5Lのハイブリッドと2.4Lのターボハイブリッドが予定されているという。仕様詳細はまだ公開されていないが、2.5Lのハイブリッドはアルファード/ヴェルファイアと同じものではないだろうか。2.4Lのターボもハイブリッドらしく、LMにはガソリンエンジンのみのモデルはラインナップされないかもしれない。
車名 | パワートレーン | トランスミッション |
アルファード | 2AR-FE型2.5Lエンジン | Super CVT-i |
アルファード | A25A-FXS型2.5Lエンジン シリーズパラレルハイブリッド | 電気式無段変速機 |
ヴェルファイア | T24A-TFS型2.4Lターボエンジン | Direct Shift-8AT |
ヴェルファイア | A25A-FXS型2.5Lエンジン シリーズパラレルハイブリッド | 電気式無段変速機 |
LM | 2.5L直列4気筒ハイブリッド | 未発表 |
LM | 2.4L直列4気筒ターボハイブリッド | 未発表 |
アルファード/ヴェルファイアのサスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リヤがダブルウィッシュボーンで、ヴェルファイアには専用セッティングが施される。
LMについては仕様は明らかにされていないが、公開されている画像から形式自体はアルファード/ヴェルファイアと同様と思われる。リヤサスペンションの画像に関しては大きく異なるが、ドライブトレーンやFF/4WDの違いなどが明言されていないため単純に比較はしにくい。
インテリア……4名乗車仕様は?
インテリアはエクステリア以上に違いを感じる。トレンドである大型モニタをセンターに配置するレイアウトこそ共通だが、LMではアルファード/ヴェルファイア以上にスイッチレス化が押し進められている印象だ。
アルファード/ヴェルファイアはセンターコンソールにカップホルダーが露出しておらず、この部分では逆にLMよりも上級に感じられる。
アルファード/ヴェルファイアは3列目シートを3名乗車とした7名乗車だが、LMの3列目シートは2名乗車で定員は6名と思われる。公開されている画像を見る限りLMの3列目シートには中央席のヘッドレストが無く、シートの左右がきっちり分割されている。
画像を見比べる限りでは、そのほかのシート周りはアルファード/ヴェルファイアとLMにそこまで大きな違いは無さそうにも見える。
アルファード/ヴェルファイアの上位グレードにはエアコンやオーディオなどの操作用の脱着式マルチオペレーションパネルが用意されるのもLM同様だ。
左右独立式のサンルーフとビジネスジェットを模したセンター配置のオーバーヘッドコンソールも同様。ただし、その配置はアルファード/ヴェルファイアとLMでは異なるようだ。特にLMの4名乗車仕様は操作系がかなり後ろ寄りに配置されている。
先代のアルファード/ヴェルファイアには4名乗車モデル「ロイヤルラウンジ」が設定されていた。しかし、今のところは7名乗車仕様のみ。ロイヤルラウンジはモデリスタからの追加モデルであることを考えると、新型アルファード/ヴェルファイアでも後から追加されるかもしれない。
しかし、LMには当初から4名乗車モデルが用意されており、日本導入はこの4名乗車モデルからとアナウンスされている。このことから、アルファード/ヴェルファイアに4名乗車モデルが追加されるかは不透明だ。
気になる価格とグレード
販売価格は、アルファードが540万円〜872万円。ヴェルファイアが655万円〜892万円。先代モデルに対し明らかに価格も上級移行している。
現時点でLMの価格は日本はもちろん世界各国でも未発表だが、アルファード/ヴェルファイアを大きく上回るであろうことは間違いない。1300万円〜1700万円、果ては2000万円オーバーという噂も囁かれている。先代アルファード/ヴェルファイアのロイヤルラウンジが1387万8982円~1546万691円だったことを考えると、LMの4名乗車モデルが2000万円を超えるのは十分考えられる。レクサスの最上位モデルである「L」クラスということを考えれば妥当なところだろうか?
ブランド | 車名 | 価格 |
レクサス | LS | 1078万円〜1796万円 |
レクサス | LC | 1400万円〜1550万円 |
レクサス | LX | 1250万円〜1800万円 |
レクサス | LM | 未発表 |
トヨタ | アルファード | 540万円〜872万円 |
トヨタ | ヴェルファイア | 655万円〜892万円 |
4名乗車仕様を除けば、LMに近い仕様で1000万円を切るアルファード/ヴェルファイアの価格は、むしろお買い得な設定なのかもしれない。