強烈な加速力とスピード性能 専用設計のボディ剛性も抜群

全長が4mに満たないなど、ボディサイズは確かにコンパクト。けれども、それを基準に「果たしてこの本(コンパクトカーのすべて)への掲載を決めて良いものか?」と実はそんなことを考えさせるほどの特別な個性に満ちているのがGRヤリス。

エクステリア

車名に「ヤリス」と付き顔つきもヤリスと似ているが、ボディ自体は普通のヤリスとはまったくの別物で構造も違う。単に3ドア化されているだけではなく、空力性能向上のためにルーフが低く、フェンダーの張り出しも大きいのだ。

何しろ、このモデルが目指したのはコンペティションでの勝利。具体的には、ラリー競技で表彰台の真ん中に立つことこそが、唯一無二の目標と言い切っても良いからだ。

インストルメントパネル

基本的にはベーシックなヤリスと共通。ただし、空調は左右共通の温度調整となるヤリスに対してGRヤリスでは左右独立となるなどアップグレードされている。8インチのディスプレイオーディオも標準装備する。

ネーミングを含めヤリスシリーズの一員という態は採るものの、ベーシックなヤリスとはハードウェア上もまったくの別もの。実際、3ドアのボディはヤリスに存在しないし、後方で落ち込んだルーフのラインや大きく張り出したフェンダーもスピード性能を追求したことで生まれたこのモデルだけの造形。

居住性

極めつけはパワートレインで、シリーズ主流のターボ付き1.6ℓガソリンユニットはターボの効きを最大限引き出すべく排気干渉を嫌った結果、3気筒をチョイス。最高272㎰という高出力を発揮するほかエンジントルク配分を可変式とした4WDシステムを用いるなど、随所に専用の設計を採用しているのである。

うれしい装備

重量バランス最適化のためバッテリーがエンジンルームではなく荷室床下に搭載されるのもスポーツカーらしい。
4WDの駆動力配分は3種類用意。「NORMAL」の前後60対40に対して「SPORT」は前後30対70、「TRACK」は前後50対50となる。
月間販売台数   284台(22年11月〜23年4月平均値)
現行型発表    20年9月
WLTCモード燃費  18.2km/l ※「RS」

ラゲッジルーム

走りはもちろん刺激的。ボディの剛性感が際立つFFシャシーに1.5ℓエンジンを組み合わせた「RS」グレードも通好みの走りだが、やはりより印象的なのは1.6ℓエンジンに4WDシャシーを組み合わせた「RZ」系。強烈なコーナリングはもちろん、排気量を忘れさせる加速の強烈さにも舌を巻くばかりである。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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