新型シビック タイプRもオーバーフェンダーや大型リヤウイング、ブレンボキャリパーで武装
日本では8月にフルモデルチェンジが実施された新型シビック。その時点で「タイプR」が2022年にリリースされることはアナウンスされており、ファンにとっては一日千秋の思いでその登場を楽しみにしているところ。今回、カモフラージュが施されたテスト車両ではあるが、ついに11代目のシビックをベースとした新型タイプRがその姿を我々の前に現してくれた。
テスト車両ということでまだこれから変更される部分があるかもしれいないが、現状でのディテールをじっくりとチェックしてみたい。
フロントマスクで目を引くのはグリルだ。ノーマルのハニカムグリルに対してタイプRは桟が細いメッシュグリルを採用。バンパーのダクト形状もノーマルとは大きく異なっており、よりフレッシュエアを取り入れやすくしているのがわかる。
また、バンパーのエアダクト奥にはインタークーラーの姿もうっすらと垣間見える。新型のパワートレーンは未公表だが、先代同様、K20C型2.0L直列4気筒ターボエンジンを搭載しているのだろうか。そうだとすると、先代の最高出力320ps/6500rpm、最大トルク400Nmからどれほどのパワーアップを果たすのかが楽しみだ。
ボンネットでは、先代タイプRで特徴だったエアインテークが姿を消している。先代タイプRもニュルブルクリンクでの開発終盤になってエアインテークが追加されたので、ひょっとすると新型も今後、追加される可能性があるのかもしれない。
その代わり… なのかどうか不明だが、ボンネット先端を見ると不自然な盛り上がりが見える。エアのアウトレットのような…単にカモフラージュ用のステッカーが重なっているだけかもしれないが…。
さて、先代タイプRはノーマルより75mmほどワイドになっていたが、新型タイプRも拡大幅は不明ながらオーバーフェンダーによってワイドボディ化が施されている。
そして、そのオーバーフェンダーに収まるタイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4のようだ。先代は標準モデルがコンチネンタル・スポーツコンタクト6、リミテッドエディションがミシュラン・パイロットスポーツカップ2を履いていた。
ホイールも先代のものに似ているが、新デザインのように見える。先代は20インチだったが、新型のサイズは不明だ。
ホイールのスポークの間に見えるブレーキキャリパーは、タイプRではお約束のブレンボ製。先代同様の、4ポットモノブロックキャリパーと思われる。また、ディスクローターも先代タイプRのマイナーチェンジモデルから採用された、2ピースタイプのようだ。これは熱倒れ抑制に効果があり、ディスクローターとブレーキパッド間の隙間変化が減少するため、サーキット走行時のブレーキフィール向上に効果がある。また、軽量化にも有利だ。
後ろ姿を見てみると、まずはチューニングカーのようなリヤウイングに目を奪われる。先代のリヤウイングはL字型に立ち上がった翼端板が翼面を支えていたのに対して、新型は翼端板とは別に独立したステーが設けられている。翼端板も小ぶりで、迫力という点では先代の方が上かも!? また、ルーフ後端部に設けられていたボルテックスジェネレーターも新型では姿を消しているのが興味深い。
3本出しのテールパイプは新型でも健在だ。左右の2本が排気用、中央の1本が背圧コントロール用、という役割。面白いのは、先代は左右の2本が太かったのに対して、新型は中央の1本が太くなっていること。排気と背圧コントロールの割り当てが変わったのだろうか。
そして、今回お披露目された写真で一番の注目(?)なのがカモフラージュの柄。よく見ると、歴代シビック・タイプRのイラストがあしらわれているのだ。開発作業は佳境と思われるが、そんな多忙な中にも開発陣は遊び心を忘れていないようで、ちょっとほっこりさせられてしまう。
新型シビック・タイプRはニュルブルクリンクでのテストを経た上で、2022年の発売が予定されている。先代は7分43秒80という、ニュルブルクリンクのFFモデル最速(当時)のラップタイムを携えて登場した。果たして新型は、どれほどの進化を遂げるのだろうか。