FIAフォーミュラ2選手権(F2)は8月31日、2024年に同シリーズで導入される新世代マシンを発表した。
F2はサーキットレース最高峰のFIAフォーミュラ1選手権(F1)の直下カテゴリーとして、F1を目指す前途有望な若手ドライバーを受け入れる選手権。今シーズンもアルファタウリからF1に参戦している角田裕毅を筆頭に、近年複数の日本人ドライバーがこのシリーズで腕を磨いてきた。ホンダとレッドブルのサポートを受け、モータースポーツの頂点を目指す岩佐歩夢も昨シーズンからF2を戦っている。
そんな育成の場であるF2は、2022年に技術規定が大幅に刷新されたF1に合わせてリニューアル。フロントノーズや前後フィング、フロアは、ホイール・トゥ・ホイールの接近戦が展開されるよう新たに設計され、マシンの外観も現行F1マシンに似たものとなった。また、安全性やパフォーマンス、持続可能性も可能な限りF1に近づけられ、F2に参戦するドライバーがF1昇格に向けて十分な準備を整える機会を創出する。
その一方で、現行シャシーの『ダラーラF2 2018』からギアボックスをはじめ多くのパーツが引き継がれており、コストの抑制も図られている。
エンジンについても現行のメカクローム製3.4L V6シングルターボがキャリーオーバー。F2では今季、アラムコが手掛ける生物由来の55%持続可能燃料が採用されており、こちらも2024年まで引き続き使用する。また、2025年には同じくアラムコ製の新たな合成燃料が導入される予定だが、それに対応するための機能もエンジンに備えられる。
新シャシーのシェイクダウンは女性ドライバーのタチアナ・カルデロンによって今年7月に完了しているが、信頼性の確保などを目的としたテストは昨季のF2王者フェリペ・ドルゴヴィッチらにより続けられる。このプログラムは2027年に予定される100%持続可能な燃料の導入もターゲットにしており、2024年以降も継続される見通しだ。
2024年型FIA F2マシン 主要諸元 (一部抜粋) シャシー 全長/全幅/全高:5284mm/1900mm/1097mm(ロールフープカメラ含む) ホイールベース:3135 mm サバイバルセル:ダラーラ製サンドイッチカーボン/アルミハニカム構造/ザイロン素材貫通防止パネル 前後ウィング:ダラーラ製カーボン構造 ボディワーク:ダラーラ製カーボン-ケブラーハニカム構造 安全基準:FIA F1 2024セーフティスタンダード/F1仕様チタン素材HALO DRS:F1と同機能/油圧作動式 エンジン メカクローム製3.4L V6シングルターボ 最高出力:620HP/8750rpm 最大トルク:570Nm/6000rpm ギアボックス ヒューランド製6速シーケンシャル縦置き 電動油圧式パドルシフト ZFザックス製カーボンクラッチ 非油圧式ランプディファレンシャル サスペンション プッシュロッド作動ダブルウィッシュボーン トーションバー(フロント)&スプリング(リヤ) アジャスタブルアンチロールバー ホイール&タイヤ O.Z.レーシング製マグネシウムリム 18"x 12"(フロント)/18"x13.7"(リヤ) ピレリ製F2用スリック&ウェットタイヤ ブレーキ ブレンボ製6ピストン モノブロックキャリパー カーボンインダストリー製カーボンディスク&カーボンパッド 燃料 アラムコ製生物由来55% 持続可能燃料(2024年)