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Kyoshoの技術の粋を集めた渾身の傑作・1/18フィアット・ヌォーバ500
今回、会場に実車を持ち混むほど気合を入れていたメーカーは2社あった。そのうちのひとつは青島文化教材社ブースの映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場した劇用車デロリアンで、もうひとつがKyoshoブースのフィアット・ヌォーバ 500だ。
Kyoshoが会場に実車を持ち込んだのは、新製品の1/18 ダイキャスト フィアット ヌォーバ 500の発表に合わせてのこと。定価は税込2万4000円と高価だが、相応に完成度は高く、特徴的なスーサイドドアは開閉可能で、インテリアやフロントフード下のトランクルームまでしっかりと作り込まれている。展示品は試作品ということでリアシートがオミットされていたが、製品版ではこちらも実写同様に再現されるだろう。
国内ではアニメ『ルパン三世』の影響もあり、フィアット500はF型が人気が高く、初期モデルの展示車はややマイナーな存在ではある。なぜF型ではなくヌォーバ500をモデル化したのかをKyoshoのスタッフに尋ねたところ「これまで初期モデルはほとんど製品化されていないことと、やはりシリーズ最初の車両からモデル化したかった」と答えていた。価格に関しては「昨今の円安や原材料費たかを考えるとどうしてもこれくらいの価格になってしまう」とのこと。
このモデルの生産は海外工場とのことだが、それなら円安に加えて世界的に見ても人件費も安い国内生産に回帰してはどうかと述べたところ、「日本にも優秀なモデラーや職人は多いが昔のように多くはいない。安定した生産のことを考えると工場は海外におかざるを得ない」と返してきた。つまりは国内生産の空洞化である。
空洞化が進むわが国のホビー業界
生産の国内回帰が難しい事情
かつては日本のプラモデルやラジコン、ミニカーは製品品質、技術水準、生産設備のいずれも世界一であった。しかし、円高が長く続いた際に工場は国外へ移転し、職人の高齢化と少子化による若い世代への技術継承が充分にできなかったことが影響して、現場を支える優秀な人材が十分に確保できなくなり、容易に国内回帰ができない状況が続いているようなのだ。今やホビーの分野でも中国や東南アジアの存在感は大きく、彼らなくしてわが国の模型メーカーの製品は成り立たなくなっている。
実際にホビーショーの会場を見渡しても、以前に比べると中国やアジアの模型メーカーの製品が目立つようになっており、日本メーカーの製品も開発は国内だが、生産は海外というケースが増えている。生産国がどこであろうが製品の完成度が高ければ問題はないわけで、メーカーの経営方針に口を挟むつもりはないが、かつての「日本メーカーの模型は世界一!」と謳われていた頃を知る古参のファンとしては、一抹の寂しさを感じないかと言えば嘘になる。
「トミカラマヴィンテージ・高速道路」はミニカーのディスプレイに最適?
次に紹介するのはトミーテックのミニカーブランド・トミカのブースだ。
トミカと言えば、1970年の発売開始から半世紀以上の歴史を持ち、生産台数7億台以上という押しも押されぬ国内でも最大規模のミニカーブランドである。ホビーショーの会場ではクオリティの高い仕上げが施された「大人向け」のトミカリミテッド ヴィンテージをメインに展開していた。
新製品はトミカリミテッド ヴィンテージ NEOからSF型スバル・フォレスター、R35型日産GT-R NISMO Special edition 2024 model、A31型日産セフィーロ、720型ダットサン・トラック 4WD キングキャブAD、S14型日産シルビア(前期)など。これらの製品は1/64サイズという小ささながら、いつも通りの完成度で満足感の高い仕上がりとなっていた。だが、筆者が注目したのはトミカラマヴィンテージの新製品「高速道路」だ。
この製品は首都高をイメージした2車線の高架道路となっており、「ストレートA (10a)」と「カーブA(11a)」の2種類がリリースされる予定だ。もちろん、製品はお子さま向けの「高速道路にぎやかドライブ」や「2スピードでコントロール! トミカアクション高速どうろ」とは違って仕上がりはリアル志向。モーターを使ってベルト駆動でトミカを走らせるプレイ要素はもちろんない。その分、橋桁と看板、街灯、矢印看板などのリアルなアクセサリーが付属し、ミニカーを飾るディスプレイスタンドとして使用することを想定しているようだ。
複数の高速道路や高架を連結させて楽しむこともできるのだが、その場合問題となるのは1セット2万5300円(税込)という価格だ。ホビーショーで展示されたように長いコースを作れば確実に二桁万円は飛ぶ。タカラトミーの担当者に話を聞くと「大型の金型を新規に起こす結果となり、販売価格が高くなってしまった」と語っていたが、それなら複数の製品を組み合わせて単品購入よりも価格を引き下げた「お得なセット」も設定してほしいところ。やはりこうした製品は何セットかを連結して楽しみたいのが人情だろう。このあたりは何とか善処してほしい。
アニメやマンガのヒーローが乗るマシンを忠実に再現したS14の製品
最後に紹介するのはダイキャスト性の精密完成模型で定評のあるS14(エスワンフォー)のブースだ。このメーカーの製品は、以前「キャラクタービークルシリーズ ルパン三世 カリオストロの城 FIAT500 1/12スケール ダイキャスト製ミニカー」をアニメ『LUPIN ZERO』の記事内で紹介したが、現物を見たのはホビーショー会場がはじめてとなった。
フィアットが監修に当たったというミニカーの完成度は高く、劇中に登場したルパンの愛車を忠実に再現。ボンネットやエンジンフード、左右のドアは開閉加工で、キャンバストップは閉じた状態としまった状態を選んで飾ることができるほか、エンジンルームはスーパーチャージャーの巨大なエアインテークが露出した状態も再現できる。また、ルーフに詰んだテントやスコップ、バケツ、車内の段ボール箱に収められるカップ麺や缶詰、ワイン、次元が使用した対戦車ライフルなどのアクセサリーも充実している。
ルパンや次元のフィギュアがつかないことが唯一残念なところだが、ミニカーとしての作り込みには文句のつけようがない。
そんなS14のキャラクタービークルシリーズだが、会場には早くも第2弾のアイテムが告知されていた。先日亡くなられた漫画家・寺沢武一氏の名作『コブラ』に登場するエアーバイクだ。
1/8スケールで再現されるというこちらの製品は、残念ながらパネルのみで製品や原型展示はなかった。だが、同社の高い技術力なら誰しもが納得できる製品となってリリースされることだろう。発売時期はまだ未定とのことだが、今回は同スケールのコブラのフィギュアが付属するとのこと。今から発売日が待ち遠しい。
難易度高めのバイク模型は組み立て不要の完成品がありがたい
組み立て・塗装不要の完成品のミニカーはクルマだけでなく、バイクのラインナップも徐々に充実しつつある。その中でもアオシマ文化教材社の「1/12 完成品バイクシリーズ」は市場をリードする存在で、価格も2000~3000円台とリーズナブルで、出来栄えもなかなかのものだ。
1/12スケールはコトブキヤの「創彩少女庭園」シリーズなどの美プラ(美少女プラモデル)やマックスファクトリーの「figma」と同スケールということもあり、これらの製品と組み合わせることでプレイバリューも高い。