ミニカーも大好き! ドラゴン山崎の『第61回全日本模型ホビーショー』マニアックレポート・2! やはりトミカとKyoshoは外せない! 注目はフィアット500

Kyoshoブースで展示されていたフィアット・ヌォーバ500。愛知にあるチンクェチェント博物館の所蔵車。
2023年9月29日(金)~10月1日(日)にかけて東京ビッグサイト南ホール1・2を会場として開催された『第61回全日本模型ホビーショー。前回はタミヤとPLATZを中心に『第61回全日本模型ホビーショー』に出展された新製品を中心にチェックした。今回はその続きということで、気になったミニカーの新製品にも注目してみた。
PHOTO&REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

プラモデル大好き! ドラゴン山崎の『第61回全日本模型ホビーショー』マニアックレポート! ネオクラレーシングカーからミリタリーまで注目アイテムは?

プラモデル&モデルカーのファンにとって『第61回全日本模型ホビーショー』の注目作は、ハセガワの 1/24 Z32 フェアレディZ 2by2と青島文化教材社の1/24 バック・トゥ・ザ・フューチャー デロリアンとなるはずだ。だが、輸入キットやラジコン、ミニカーまで含めると両社以外にも注目したい新製品が数多く存在する。その中から今回はその中からタミヤのラジコンとPLATZのプラモデルを中心に、“ドラゴン山崎”こと山崎龍が紹介して行こう。 PHOTO&REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

Kyoshoの技術の粋を集めた渾身の傑作・1/18フィアット・ヌォーバ500

今回、会場に実車を持ち混むほど気合を入れていたメーカーは2社あった。そのうちのひとつは青島文化教材社ブースの映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場した劇用車デロリアンで、もうひとつがKyoshoブースのフィアット・ヌォーバ 500だ。

決定版Z32からタイムマシン・デロリアン、はたまた出川の充電バイクまで何でもアリの第61回全日本模型ホビーショー、カー&バイクモデル・レポート/国産プラモメーカー編

2023年9月30日と10月1日の2日間、東京ビッグサイトにて『第61回全日本模型ホビーショー』が開催中(当日1200円/中学生以下無料)。そこで気になる国産メーカー各社のカー&バイク・ホビーをピックアップしてご紹介しよう。

Kyoshoが会場に実車を持ち込んだのは、新製品の1/18 ダイキャスト フィアット ヌォーバ 500の発表に合わせてのこと。定価は税込2万4000円と高価だが、相応に完成度は高く、特徴的なスーサイドドアは開閉可能で、インテリアやフロントフード下のトランクルームまでしっかりと作り込まれている。展示品は試作品ということでリアシートがオミットされていたが、製品版ではこちらも実写同様に再現されるだろう。

Kyoshoの1/18フィアット・ヌォーバ500。スーサイドドアや大きく開くキャンバストップ、のちのモデルとは異なるウィンカーなど初期型の特徴を忠実に再現している。

国内ではアニメ『ルパン三世』の影響もあり、フィアット500はF型が人気が高く、初期モデルの展示車はややマイナーな存在ではある。なぜF型ではなくヌォーバ500をモデル化したのかをKyoshoのスタッフに尋ねたところ「これまで初期モデルはほとんど製品化されていないことと、やはりシリーズ最初の車両からモデル化したかった」と答えていた。価格に関しては「昨今の円安や原材料費たかを考えるとどうしてもこれくらいの価格になってしまう」とのこと。

フィアット・ヌォーバ500の特徴的なキャンバストップ。1/18 ダイキャスト フィアット ヌォーバ 500と比べてみよう。

このモデルの生産は海外工場とのことだが、それなら円安に加えて世界的に見ても人件費も安い国内生産に回帰してはどうかと述べたところ、「日本にも優秀なモデラーや職人は多いが昔のように多くはいない。安定した生産のことを考えると工場は海外におかざるを得ない」と返してきた。つまりは国内生産の空洞化である。

空洞化が進むわが国のホビー業界
生産の国内回帰が難しい事情

かつては日本のプラモデルやラジコン、ミニカーは製品品質、技術水準、生産設備のいずれも世界一であった。しかし、円高が長く続いた際に工場は国外へ移転し、職人の高齢化と少子化による若い世代への技術継承が充分にできなかったことが影響して、現場を支える優秀な人材が十分に確保できなくなり、容易に国内回帰ができない状況が続いているようなのだ。今やホビーの分野でも中国や東南アジアの存在感は大きく、彼らなくしてわが国の模型メーカーの製品は成り立たなくなっている。

実際にホビーショーの会場を見渡しても、以前に比べると中国やアジアの模型メーカーの製品が目立つようになっており、日本メーカーの製品も開発は国内だが、生産は海外というケースが増えている。生産国がどこであろうが製品の完成度が高ければ問題はないわけで、メーカーの経営方針に口を挟むつもりはないが、かつての「日本メーカーの模型は世界一!」と謳われていた頃を知る古参のファンとしては、一抹の寂しさを感じないかと言えば嘘になる。

「トミカラマヴィンテージ・高速道路」はミニカーのディスプレイに最適?

次に紹介するのはトミーテックのミニカーブランド・トミカのブースだ。
トミカと言えば、1970年の発売開始から半世紀以上の歴史を持ち、生産台数7億台以上という押しも押されぬ国内でも最大規模のミニカーブランドである。ホビーショーの会場ではクオリティの高い仕上げが施された「大人向け」のトミカリミテッド ヴィンテージをメインに展開していた。

大人のホビーに耐えうるミニカーとして、2004年から企画がスタートしたトミカリミテッド ヴィンテージ。原則としてトミカ発売開始前の1970年以前の車両を製品化していたが、2006年以降はトミカリミテッド ヴィンテージNEOと称してヤングタイマー車などもリリースしている。

新製品はトミカリミテッド ヴィンテージ NEOからSF型スバル・フォレスター、R35型日産GT-R NISMO Special edition 2024 model、A31型日産セフィーロ、720型ダットサン・トラック 4WD キングキャブAD、S14型日産シルビア(前期)など。これらの製品は1/64サイズという小ささながら、いつも通りの完成度で満足感の高い仕上がりとなっていた。だが、筆者が注目したのはトミカラマヴィンテージの新製品「高速道路」だ。

トミカ×ジオラマ=「トミカラマ」ヴィンテージの新製品「高速道路」。「ストレートA (10a)」と「カーブA(11a)」をラインナップ予定。
首都高をモチーフに1/64スケールで高速道路をリアルに再現しており、複数の製品を連結&積み重ねが可能だ。定価2万5300円(税込)という価格がコレクションするのにややネックか。

この製品は首都高をイメージした2車線の高架道路となっており、「ストレートA (10a)」と「カーブA(11a)」の2種類がリリースされる予定だ。もちろん、製品はお子さま向けの「高速道路にぎやかドライブ」や「2スピードでコントロール! トミカアクション高速どうろ」とは違って仕上がりはリアル志向。モーターを使ってベルト駆動でトミカを走らせるプレイ要素はもちろんない。その分、橋桁と看板、街灯、矢印看板などのリアルなアクセサリーが付属し、ミニカーを飾るディスプレイスタンドとして使用することを想定しているようだ。

トミカラマヴィンテージの「高速道路」を使用すれば西部警察のEDシーンも再現できる!

複数の高速道路や高架を連結させて楽しむこともできるのだが、その場合問題となるのは1セット2万5300円(税込)という価格だ。ホビーショーで展示されたように長いコースを作れば確実に二桁万円は飛ぶ。タカラトミーの担当者に話を聞くと「大型の金型を新規に起こす結果となり、販売価格が高くなってしまった」と語っていたが、それなら複数の製品を組み合わせて単品購入よりも価格を引き下げた「お得なセット」も設定してほしいところ。やはりこうした製品は何セットかを連結して楽しみたいのが人情だろう。このあたりは何とか善処してほしい。

アニメやマンガのヒーローが乗るマシンを忠実に再現したS14の製品

精密なダイキャストミニカーで定評のあるS14(エスワンフォー)のブース。

最後に紹介するのはダイキャスト性の精密完成模型で定評のあるS14(エスワンフォー)のブースだ。このメーカーの製品は、以前「キャラクタービークルシリーズ ルパン三世 カリオストロの城 FIAT500 1/12スケール ダイキャスト製ミニカー」をアニメ『LUPIN ZERO』の記事内で紹介したが、現物を見たのはホビーショー会場がはじめてとなった。

S14の「キャラクタービークルシリーズ ルパン三世 カリオストロの城 FIAT500 1/12スケール ダイキャスト製ミニカー」。『ルパン三世カリオストロの城』に登場するルパンの愛車を精密にモデル化した。

フィアットが監修に当たったというミニカーの完成度は高く、劇中に登場したルパンの愛車を忠実に再現。ボンネットやエンジンフード、左右のドアは開閉加工で、キャンバストップは閉じた状態としまった状態を選んで飾ることができるほか、エンジンルームはスーパーチャージャーの巨大なエアインテークが露出した状態も再現できる。また、ルーフに詰んだテントやスコップ、バケツ、車内の段ボール箱に収められるカップ麺や缶詰、ワイン、次元が使用した対戦車ライフルなどのアクセサリーも充実している。

ヤング”ルパン”を描いた『LUPIN ZERO』は、宮崎 駿監督による名作『カリオストロの城』につながる!? クルマから深読みする『ルパン三世』シリーズ!

2023年1月6日の配信で全6回のシリーズが幕を下ろした『LUPIN ZERO』。本作はこれまでベールに包まれた"ルパン三世"の少年時代を描いた初めての作品であり、モンキー・パンチによる原作漫画が連載された昭和30(1960)年代を舞台にしたことに最大の特徴がある。今回はそんな『LUPIN ZERO』をクルマやバイク好きがより深く楽しむための総集編と、アニメ映画史に残る名作『カリオストロの城』を例として取り上げ、『LUPIN ZERO』を踏まえた上で『ルパン三世』シリーズをより深く楽しむためのポイントを紹介する。未見の人はもちろん、すでに『LUPIN ZERO』を見た人も本記事シリーズを読んでから再度作品を見直せば筆者としては望外の喜びである。

ルパンや次元のフィギュアがつかないことが唯一残念なところだが、ミニカーとしての作り込みには文句のつけようがない。
そんなS14のキャラクタービークルシリーズだが、会場には早くも第2弾のアイテムが告知されていた。先日亡くなられた漫画家・寺沢武一氏の名作『コブラ』に登場するエアーバイクだ。

「キャラクタービークルシリーズ」の第2弾は、SFアクションの金字塔『コブラ』から主人公が愛用するホバーバイクとなる。原作者の寺沢武一氏(2023年9月逝去)も製品化を楽しみにしていたそうで、本人が原型チェックをする予定だったという。ジャンプコミック版にはHONDAのロゴが入っていたが、製品版ではどうなるのだろう?

1/8スケールで再現されるというこちらの製品は、残念ながらパネルのみで製品や原型展示はなかった。だが、同社の高い技術力なら誰しもが納得できる製品となってリリースされることだろう。発売時期はまだ未定とのことだが、今回は同スケールのコブラのフィギュアが付属するとのこと。今から発売日が待ち遠しい。

難易度高めのバイク模型は組み立て不要の完成品がありがたい

組み立て・塗装不要の完成品のミニカーはクルマだけでなく、バイクのラインナップも徐々に充実しつつある。その中でもアオシマ文化教材社の「1/12 完成品バイクシリーズ」は市場をリードする存在で、価格も2000~3000円台とリーズナブルで、出来栄えもなかなかのものだ。

モンキーはブラックとレッドのリミテッド、プラズマイエローのラインナップで11月発売。
実車も人気のCT125ハンターカブは2024年1月発売予定となっている。

1/12スケールはコトブキヤの「創彩少女庭園」シリーズなどの美プラ(美少女プラモデル)やマックスファクトリーの「figma」と同スケールということもあり、これらの製品と組み合わせることでプレイバリューも高い。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…