レクサスがジャパンモビリティショー(旧:東京モーターショー)で2台のコンセプトBEVを公開。LF-ZCは2026年に登場予定だが、LF-ZLの導入時期は明言されていない。
レクサスは2035年までに新車販売のすべてをバッテリーEV(BEV)にする方針を掲げている。その過程で登場する一台として発表されたのがLF-ZCだ。次世代プラットフォームやバッテリーを採用するほか、ソフトウェアプラットフォームである「AreneOS」も搭載。
あらゆる新要素が満載されるまさに次の世代のBEVだ。
そんなレクサスの新世代BEVラインナップにおけるフラッグシップとなるのが、LF-ZLである。“Z”はゼロエミッション、“L”はラグジュアリーを意味するとともに、同ブランドの旗艦車種の証でもある。
レクサスの最上級に当たるモデルということ、そして現行LSにボディサイズが近いことから、当サイトではLSの後継車になり、新たなショーファードリブンカーの姿の提案にもあるのではないかという予想もしていた。
レクサスLF-ZL 全長×全幅×全高:約5300mm×約2020mm×約1700mm ホイールベース:約3350mm 現行レクサスLS 全長×全幅×全高:5235mm×1900mm×1460mm ホイールベース:3125mm
LF-ZLはしかし、実際には現行ラインナップのどの車種の後継にも当たらないようだ。
そもそもレクサスのフラッグシップを示すLを冠するクルマは、現行ラインナップでLX、LC、LS、そして先日日本導入が発表されたばかりのLMがある。
この4車はボディタイプもサイズも違うモデルであり、フラッグシップだからといって必ずしもショーファーカー的な性格を持ったり、カテゴリーが制限されたりするわけではない。
実際LF-ZLには、後席に座る乗員だけでなく、ドライバーが運転に集中し、楽しめるような仕掛けが揃っている。
コックピットには伝統的なシフトノブもコンビレバーも存在していない。レーシングカーのそれを彷彿とさせる、長方形のステアリングの両サイドにはデジタルパッドが配置されており、左側でシフトなどの走行系操作を、右側でオーディオやエアコンなど快適装備の操作ができるようになっている。
また、メーター類をドライバーから遠くに置くことで、運転時の視線移動を最小限に。“Eyes on the road, hands on the wheel”を徹底するコックピットとし、ドライバーが運転に集中できるという、スポーツカーのような配慮がされている。
その一方で、もちろん後席の快適性も捨てられていない。レイアウトの自由度の高いBEVの強みを活かし、ZLのボディサイズとしては破格の室内空間が確保されている。左右で独立したリヤシートは乗員をカプセルのように包み込むような作りとされているほか、オットマンも装備される。
ドライビングの楽しさと乗員の快適性という、これまで両立が難しかった要素を、レクサスはLF-ZLで高い次元でバランスさせようとしている。スポーツ志向だからスポーツカーに、あるいは後席重視だからショーファードリブンカーにすると、最初から棲み分けてクルマを作る時代はもう終わりだ、というレクサスからのある種の提言だろう。
また、ジャパンモビリティショーでレクサスが発表したクルマで見逃すことができないのが、Arene OSという要素だ。
ソフトウェアプラットフォームであり車載OSであるAreneを採用することで、音声認識やドライバーに合わせた学習などなど、先進機能が使えるようになる。
Areneは2026年にLF-ZCで導入されるが、それからLF-ZLが登場するまでの間に、Areneはアップデートを重ね、機能が進化していくに違いない。そして、その進化したソフトを最大限に活かすハードをLF-ZLには奢られる。
Areneとそれに対応したハードを用意することで、よりインタラクティブに人とクルマがつながる。また、停車しているときは社会インフラの一部としてネットワークに接続する。このクルマは、単に移動するためのアシにとどまらない機械を目指している。
自動車のソフトウェアが急速に進歩しつつある今、携帯電話がガラケーからスマホへと置き換わったようなパラダイムシフトを、レクサスはLF-ZLで起こそうとしているようだ。