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英国王室御用達のオーダーメイド製作の『ミュルザンヌ』
この最後の『ミュルザンヌ』は、故エリザベス2世女王陛下のためにオーダーメイドで製作されたもので、王室での使用に耐えうるよう、さまざまな特注装備が施されている。
車両はベントレーを象徴するバルナート・グリーンのエクステリアに、トゥワイン(アイボリー)とカンブリア(グリーン)のハイド革のインテリアという組み合わせで、バール・ウォルナットのウッドパネル、毛足の長いラムズウール(子羊の羊毛)のカーペットが組み合わされている。
これに、リヤ・プライバシー・カーテンと、ドア・ウエストレールにはめ込まれた英国王室の紋章が追加され、フロント・センター・アームレストの代わりに女王陛下のハンドバッグを置くための特注サイズのトレイが装着されている。
目立たないように隠されたブルーのパトライト、サイレン、ホーンも設置され、ギヤレバーの後ろにあるウォールナット仕上げの小さな引き戸の下に専用のスイッチパネルが隠されている。
もちろんベントレーの名高い537psの 6.75リッターV8エンジン、21インチのアロイホイール、グリルとフロントウィングベントのクロームメッキブライトウェア、そして象徴的な“フライングB”(ゴードン・クロスビーがデザインした、1920年代から使用されている、ベントレーの頭文字のBに翼の生えたボンネット・マスコット)も備えられている。
ベントレーの『ヘリテージコレクション』では、2010年に製造された2台目の『ミュルザンヌ』となる“VIN 0002”、ベントレーのプレス用車両として使用されていた2019年モデルの『ミュルザンヌ・スピード』に次ぐ3台目の、そして最後の『ミュルザンヌ』として本車は保存されることとなった。
この3台の『ミュルザンヌ』はベントレーの104年の歴史を彩るものであり、ベントレー車の系譜を振り返る車両の収集を行なう3か年計画の2.5年が経過した現時点で、その収集車両台数は45台に達することになった。
ベントレーのフラッグシップ『ミュルザンヌ』とは?
2009年、ベントレー『アルナージ』に代わるフラッグシップモデルとして、発表されたのが『ミュルザンヌ』。軽量化がはかられ可変バルブ機構を実装した自社製6.75リッターV8エンジンを搭載し、新しいシャシー、新しいエクステリアとインテリアデザインなど、ゼロから新開発されたモデルである。
2016年には、ホイールベースを250mm拡張させたロングホイールベースモデルが登場。これにより、後部座席の乗員にクラス最高の居住性が提供され、装飾が施された折りたたみ式テーブル、センターコンソール、電子式レッグレスト、プライバシーカーテンなどを設置するスペースが確保された。
ミュルザンヌの伝説的な6.75リッターエンジンに由来する名を持つ、世界限定30台の『6.75エディション・バイ・マリナー』を最後に、2020年で『ミュルザンヌ』の生産は終了した。2023年現在は2代目となる『フライング・スパー』がベントレーのフラッグシップに君臨している。
ベントレー『ミュルザンヌ』 英国王室特注モデル ギャラリー（9枚）
