新型Cクラスはメルセデスの最新技術が満載!

まるでSクラス!の新型メルセデス・ベンツCクラス

メルセデス・ベンツC200 AVANGARDE 車両本体価格:654万円
新型メルセデス・ベンツCクラスを見て、触れて、姿形も技術もSクラスの相似形だと感じた。ハイテク・ラグジュラリーサルーンだ。そして、スポーティ。見た目にスポーティなだけでなく、実際スポーティに走る。しかも、上品さは失わず。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
メルセデス・ベンツC200 AVANGARDE 全長×全幅×全高:4785mm×1820mm×1435mm ホイールベース:2865mm

個人的に感銘を受けたのは、Sクラス譲りのDIGITALライト(ウルトラハイビーム付き)が装備されたことだ。従来はLEDを片側84個並べ、前方の状況に応じて個別に点消灯していたが、DIGITALライトは光源を反射させる極小のミラーを制御することで高解像度化している。画素数は130万なので、84分割LEDに比べて桁違いで、なんと5桁も違う。技術的には路面に映像を映し出すことも可能だが、日本の法規では認められておらず、ただ精度の高い配光を実現するのみだ(が、それだけでもメリットは大きい)。

DIGITALライト(ウルトラハイビーム付)

メルセデスは2016年に極小のミラーを制御する配光技術、すなわちデジタル・ミラー・デバイス(DMD)を使用したヘッドライトのアイデアと試験車両を公開。早くからヘッドライトの高解像度化に取り組んでいる自動車メーカーのひとつで、国内では2020年に発表(発売は2021年)したSクラスで初めて採用した。その最新技術が短いインターバルでCクラスにまで降りてきたというわけだ。やることが早いし、最新技術を上級モデルの差別化ツールとしないところに、メルセデスの思想を感じる。安全なドライブをサポートするのに、SクラスもCクラスもないということだ。

Dセグ初のAR(拡張現実)ナビゲーション

最新技術といえば、ARナビゲーションの採用もニュースだ。国内では2020年9月にマイナーチェンジしたEクラスで初めて採用された。メルセデス・ベンツ日本によれば、Cクラスでの採用は「日本で販売されるDセグメント乗用車で初」となる。Sクラスにも当然、装備されている。ナビシステムで目的地を設定して利用していると、カメラが捉えた現実の映像がナビ画面に映し出され、その映像上に進むべき方向が表示される。マップ上でのルート表示だと、曲がるべき角を1本間違えてしまうなどということが起こりがちだが、リアルな映像だと間違いが起こりづらい。ARナビゲーションは未来が現実になったようで驚きを禁じ得ないし、非常にありがたい機能だ。

リアアクスルステアリング(14万5000円のオプション)。Sクラスに採用されている後輪操舵システムはZF製だった。Cクラスもおそらく同じだろう。
約60km/h以下では逆相に最大2.5度、後輪が切れる。
約60km/hを超えると同相に最大2.5度、後輪が切れる。

Sクラス譲りの技術はまだあり、新型Cクラスはリア・アクスルステアリングと呼ぶ後輪操舵システムを採用している(オプション設定)。約60km/h以下では後輪を前輪と逆相(反対の向き)に最大2.5度操舵し、約60km/h以上では後輪を前輪と同相(同じ向き)に最大2.5度操舵する。最小回転半径を小さくするのが、主な狙いだろう。Sクラスよりはだいぶコンパクトだけれども、最新のCクラスは後輪の逆相操舵が欲しくなるほど大きくなったということだ。

新型C200の全長は4785mmで先代C200より80mm長い。ホイールベースは先代の2840mmに対し、新型は2865mmで25mm伸びた。後輪操舵が必要だと判断したのも理解できる。先代の最小回転半径が5.3mなのに対し、新型は5.0mだ。リア・アクスルステアリング非装着車の最小回転半径は5.2mなので、非装着車であっても数値上は先代より小回りが利く。

全長×全幅×全高:4785mm×1820mm×1435mm ホイールベース:2865mm
トレッド:F1590mm/R1575mm 車重:1700kg 前軸軸重900kg 後軸軸重800kg
最小回転半径:5.0m

箱根駅伝の名所である山登り区間、それも箱根湯本から小涌園前のような小さな曲率が連続する区間では転舵速度が速くなるせいか(それにしても電動パワーステアリングの操舵反力の弱いこと)、逆相に動く後輪の動きも急で、クルマが唐突に自転を始めるような妙な動きが出る。これが特殊なケースとわかったのはその後、峠を越えて芦ノ湖側を走り回ったときだ。転舵速度がゆっくりの道に終始したためか、違和感のある妙な動きは感じられなかった。

数々のハイテク装備もSクラス譲り

縦型11.4インチという大きなセンターディスプレイが目を惹くコックピット
後席のエアコン吹き出し口。
Aクラスのデザインとは違うがなかなか個性的だ。
後席の居住空間の余裕は大きい。
新型になって大きく雰囲気を変えたコックピット。

外観のスタイリングもそうだが(Cクラスのほうが多分にスポーティではある)、インテリアのデザインもSクラス譲りで、ハイテクとラグジュアリーが物の見事に同居している。センターにあるエアコンのルーバーをフロントウインドウの下端レベルまで持ち上げたのは、なんとも大胆だ。今回の試乗では短いトンネルを通過する間のわずかな時間しか確認していないが、ルーバーのベゼルにもアンビエントライトが仕込んである。視界の邪魔になる気がしないでもないが、メルセデス流の光りの演出、嫌いではない(いっそ、好きだと言ってしまおう)。

ドアの内側にシートをかたどったツマミがあり、それを操作することでスライドやリクライニングや高さ調整ができるのはメルセデスの伝統で、新型Cクラスもその伝統を受け継いでいる。ここもSクラス譲りで、ツマミは物理的に動かず、圧をかけると、かけた方向にシートが動く仕組み。ことほどさように、新型Cクラスは新型Sクラスの生き写しであり、相似形だ。

エンジン 形式:1.5ℓ直列4気筒DOHCターボ+48V ISG 型式:M254型 排気量:1494cc ボア×ストローク:78.0mm×78.2mm 圧縮比:10.5 最高出力:204ps(150kW)/5800-6100pm 最大トルク:300Nm/1800-4000rpm 燃料:プレミアム 燃料タンク:66ℓ

エンジンはもちろん、車両重量の違いに合わせて最適化してある。Sクラスのガソリン仕様のベーシック版は3.0ℓ直6ターボだが、新型Cクラスのベースは1.5ℓ直4ターボである。排気量は半分で充分なのだ。「E200と同じエンジン?」と早合点したが新開発だ。E200系が搭載するのはM264で、最高出力は184ps(135kW)/5800-6100rpm、最大トルクは280Nm/3000-4000rpmだ。

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C200が搭載するのはM254で、最高出力は204ps(150kW)/5800-6100rpm、最大トルクは300Nm/1800-4000rpmである。排気量の影響を取り除いて純粋にエンジンの力を示すBMEP(正味平均有効圧)を弾きだしてみると、M264の23.5barからM254は25.2barに向上しており、数字だけ見ればハイパフォーマンスエンジンの部類に入る。

タイヤ:ピレリCinturato P7
F225/45R18  R245/40RF198で、前後で異サイズになる。
リヤサスペンションはマルチリンク式
フロントサスペンションは4リンク式

しかし、扱いにくさは微塵もなくて、ただ、静かで力強いばかりだ。E200に乗ったときも「本当に1.5ℓ?」と疑問に思ったが、C200でも同様である。1700kgの車体を軽々と動かす。しかも、48Vマイルドハイブリッドシステム(全車標準だ)は第2世代に進化しており、9速ATの前端部に組み込んだISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)は強化されている。E200のISGは最高出力10kW、最大トルク38Nmだが、C200のISGは15kW/200Nmを発生。駆動アシストの能力が大幅に高まっている。メルセデス・ベンツは電気自動車のラインアップを急速に強化しているが、内燃機関をおざなりにしているわけでは決してない。その証拠がM254だ。モーターに近い応答性の高さとリニアリティ、そして瞬発力と力強さを追求しつつ、環境負荷の低減に努めている。洗練されたパワートレーンがあってこそクルマの魅力が引き立つというもので、新型Cクラスはそのいい例だ。

セダンのC200とC220dは秋から販売開始。 C200 4MATICハ22年の第一四半期、C350eは22年中頃、ステーションワゴンのC200とC220dは22年第一四半期のデリバリー開始を予定している。
2014年登場の先代Cクラスは日本で累計約10万台以上を販売したヒットモデルだった。新型Cクラスも同じようにヒットするだろうか。
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メルセデス・ベンツC200 AVANGARDE
 
全長×全幅×全高:4785mm×1820mm×1435mm
ホイールベース:2865mm
車重:1700kg
サスペンション:F4リンク式&Rマルチリンク式
駆動方式:FR
エンジン
形式:1.5ℓ直列4気筒DOHCターボ+48V ISG
型式:M254型
排気量:1494cc
ボア×ストローク:78.0mm×78.2mm
圧縮比:10.5
最高出力:204ps(150kW)/5800-6100pm
最大トルク:300Nm/1800-4000rpm
燃料:プレミアム
燃料タンク:66ℓ
 
ハイブリッドモジュール
EM0024型交流同期モーター
定格電圧:44V
出力:10kW
最高出力:15kW/2500rpm
トルク:208Nm/100rpm
蓄電池:BT0012型リチウムイオン電池
 
燃費:WLTCモード14.5km/ℓ
 市街地モード:10.2km/ℓ
 郊外モード:15.0km/ℓ
 高速道路モード:17.1km/ℓ
トランスミッション:9速AT
車両本体価格:654万円
オプション込みで726万4000円(ベーシックパッケージ15万4000円、AMGライン32万6000円、メタリックペイント9万9000円、リヤ・アクスルステアリング14万5000円)

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…