トヨタの「ハリアー・ハイブリッド」デビュー。THS IIと電動4WDを組み合わせたプレミアムSUVが初代からの人気を加速【今日は何の日?3月22日】

一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月22日は、プレミアムSUVという新たなジャンルを開拓し、その後メルセデスやBMWなど世界のSUV市場に大きな影響を与えた「ハリアー」に、最新のTHS IIを搭載したハイブリッドモデル追加された日だ。

人気のハリアーに最新のハイブリッドTHS IIと電動4WDを追加

2005(平成17)年3月22日、トヨタから新開発のハイブリッドシステムを搭載した「ハイブリッドハリアー」が発売。ハイブリッドシステムは、「プリウス」で開発されたTHSを進化させたTHS IIで、さらに電動4WD“E-Four”が設定されていることでも注目を集めた。

プレミアムSUVというジャンルを開拓したハリアー

1997年にデビューした初代ハリアーは、カムリをベースにした流麗なスタイリングと、セダンにも負けない広々した快適な室内空間で高級感を演出。装備についても、ワイドマルチディスプレイ、オプティトロメーター、キーレスエントリーなどを標準化し、高級車の定番である本革シートも設定された。

一方、最低地上高は185mmを確保、アプローチアングル28度、デパーチャーアングル23度と、オフロード走行にも対応。パワートレインは、2.2L直4 DOHCエンジンおよび3.0L V6 DOHCエンジンの2機種と、電子制御4ATの組み合わせ、駆動方式はFFとセンターデフ式4WDが用意された。

1997年に誕生した初代「ハリアー」。プレミアムSUVのパイオニアとして大ヒット

高級セダンと4WDのいいとこ取りしたプレミアムSUVのハリアーは大ヒット、翌年に米国でもレクサス「RX」としても人気を獲得。ハリアーは、世界中のSUVに大きな影響を与え、プレミアムSUVというジャンルを確立したのだ。

燃費とパワー、そして走行性能を向上させたハリアー・ハイブリッド

2003年に登場した2代目ハリアーは、ボディをひと回り大きくし、安全支援技術を盛り込むなど、さらに商品性を向上させて好調なスタートを切った。

その2年後の2005年に待望のハイブリッドモデル「ハリアー・ハイブリッド」を追加。211PSを発生する3.3L V6エンジンに、プリウスの2倍以上のトルクを発生する167PSのフロントモーターを組み合わせたハイブリッドシステムTHS IIを採用。THS IIは、バッテリー電圧を500V(ハリアー・ハイブリッドでは650V)まで上げて、パワーユニットを小型化するなどして、THSに対して出力と効率を向上させた進化版THSである。

2005年にデビューした「ハリアー・ハイブリッド」のリアビュー

さらに、リアにも68PSのモーターを配置して、リアモーターを状況に応じて駆動させる電動4WD“E-Four”を採用。THS IIによる燃費とパワーの向上に加えて、電動4WDによる走行性能も強化されたハリアー・ハイブリッドは大きな注目を集めた。

車両価格は、税込みで標準グレード409.5万円、中間グレード441万円、プレミアムグレード462万円という設定とされ、初代から続いた好調な販売をハイブリッドがさらに加速させたのだ。

前後輪の駆動力を最適化して走りも追求したE-Four

ハリアーで採用された電動4WDの“E-Four”は、2001年に「エスティマ・ハイブリッド」で初めて搭載された。通常のハイブリッドの前輪を駆動するエンジンとモーター/ジェネレーター(M/G)に加えて、後輪もM/Gで駆動する電動4WDである。

2001年デビューの「エスティマ・ハイブリッド」。電動4WD”E-FOUR”を初めて搭載

発進時や全開加速時には、前後のモーターが駆動する4WDで、エンジン出力をサポートして力強い発進加速を実現。また、悪路や雪路などで前輪がスリップした場合も、瞬時にリアモーターが駆動して4WDにして車体姿勢を安定させる。一方通常走行では、エンジンとモーターで走行するFF駆動のハイブリッド運転によって低燃費を実現するのだ。

「ハリアー」が採用したE-Fourの構成概略図

電動4WDは、エンジンの出力とは無関係に4輪の駆動力を制御できるので、より安定した走行性能が得られるのが特徴。プロペラシャフトなどが不要で車体設計の自由度が高く、燃費の向上も図れる。一方で、コスト高が課題だが、電動車が増えることで電動4WDも普及し始めている、将来有望な技術だ。

ハイブリッドで燃費だけを追求する時代は、もう終わった。ユーザーに満足してもらうためには、燃費とともにパワーや走行性能もレベルアップしなければいけない。ハイブリッドのパイオニアであるトヨタも含め、最近のハイブリッドはその方向に舵を切っている。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…