目次
巨大鯉のぼりとクラシックカーのコラボレーション
5年ぶりの開催となった『第12回KAZOクラシックカーフェスタ』
GW真っ只中の5月3日(金)、埼玉県加須市にある利根川河川敷緑地公園にて『第14回加須市民平和祭』が開催された。このイベントは加須市民が安全・安心な平和な未来の暮らしを平和のありがたさを感謝する市民祭りである。全国有数の鯉のぼりの産地である加須市らしくメインイベントは「ジャンボ鯉のぼり遊泳」で、青空を悠々と泳ぐ全長100m、重量300kg以上に達する日本最大サイズの鯉のぼりを見るために県内を中心に関東一円から大勢の観光客が押し寄せる。
そんな加須市民平和祭の見どころはジャンボ鯉のぼりだけでなく、迎え太鼓による歓迎アトラクション、よさこいや演芸、観光大使のなりなさんによるライブなどのステージイベント、フリーマーケット、そして2019年以来、5年ぶりの開催となった『第12回KAZOクラシックカーフェスタ』などのサポートイベントの豊富さにある。
KAZOクラシックカーフェスタの参加レギュレーションは、昭和期(1989年)までに生産された車両(同型車を含む)ということで、イベントスタッフを務める大鹿純一さんに話を伺ったところ今回は約70台がエントリーしているとのことだった。
地元にあるロールスロイス&ベントレーの私設博物館
『ワク井ミュージアム』が持ち込んだ2台の特別展示車
エントリー車の中でも目玉となるのが、加須市内にあるロールスロイス&ベントレーのスペシャルショップに併設された私立博物館『ワク井ミュージアム』が保有している2台のヒストリックカーの特別展示だ。
毎回イベントに協力している同博物館が今回会場に持ち込んだのは、白洲次郎がケンブリッジ大学に留学していたときに愛用していた1924年型ベントレー3L(#653)と、F1パイロットのフェルナンド・アロンソがイギリスGPのパレードで乗車した1928年型ロールスロイス20HPの2台だ。とくに白洲次郎のベントレーは、オーナーである涌井清春さんがワク井ミュージアムをオープンさせるきっかけとなった車両でもある。
2003年頃、『CAR GRAPHIC』(株式会社カーグラフィック刊)の創刊者である故・小林彰太郎さんから白洲次郎の愛車がイギリスに現存していることを聞いた涌井さんは、小林さんの「戦前のイギリスで日本人が乗っていた貴重なベントレーなのだから、輸入して日本で保存するべきでしょう」との助言に従って輸入を決断したという。
当初、ベントレーを所有していたオーナーは「家族との思い出が詰まった大切だから手放すつもりはない」と断られたが、粘り強くも誠意ある交渉の末、涌井さんがベントレー・ドライバーズクラブ(BDC)の会員だったこともあり、特別なヒストリーを持つクルマにも関わらず、相場通りの金額で譲ってくれたそうだ。以来、このベントリーは20年もの長きに渡って同博物館のシンボル的な存在として収蔵されている。
ロールスロイス&ベントレーのクラシックモデルもエントリー
古今東西の様々な名車が共演する夢のイベント
そんなワク井ミュージアムのある加須市でのイベントだけあって、KAZOクラシックカーフェスタではロールスロイスやベントレーの姿もちらほら散見される。他の旧車イベントだと両車のエントリーは少ないのだが、ロールスロイス・コーニッシュやベントレーT1、シルバークラウドIIなどのエントリーがあった。イギリスのクラフトマンシップを感じさせる超高級車の姿は見ているだけで気分が華やぐ。
ほかにもガルウイングに改造したダルマセリカ、リトラクタブル・ヘッドランプを備えたオートザム・AZ-1などのカスタムカー、REを搭載する初代マツダ・コスモ、ダットサン・フェアレディ2000(SR311)、ハコスカなどの国産旧車、ロータス・ヨーロッパやスーパーセブン、シムカ1000、シトロエンCXなどの欧州ヒストリックカー、R32型スカイラインGT-Rやホンダ・ビート、R129型メルセデス・ベンツSLなどのヤングタイマー、数は少ないが初代フォード・マスタングなどのアメリカ車も会場に並んでいた。
晴天に恵まれた中、午前中は風量不足で断念したものの午後は適度な風が吹いたこともあり、大型クレーン車で釣り上げられた巨大な鯉のぼりが悠々と大空を泳ぐ。その下を歴史的名車が並ぶ様子はなんとも不思議な光景だ。KAZOクラシックカーフェスタには家族連れでエントリーした人も少なくはなかったようで、クルマ好き意外にも楽しめるプログラムの多さから付き添いで参加した人も含めて、各人は思い思いに祝日を楽しんでいたようだった。なお、会場で筆者気になったクルマは、次回以降に改めてピックアップして紹介していくことにする。