SHAPと呼ばれるXAI(説明可能なAI)に独自のカスタマイズを施し、多角的に分析したデータで効率的にタイヤ設計を行う
今回のシステムは、同社が2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)※」に基づいてタイヤの開発プロセスを革新するために開発されたもの。タイヤ開発では開発目標を目指して、特性値(性能や品質を表す数値や指標)を改善できる特徴量(タイヤの材料・形状・構造の各特徴を表す設計因子)を探索。同システムでは、求めるタイヤ特性に役立つ特徴量を技術者に提供できるようSHAP(SHapley Additive exPlanations)と呼ばれるXAIに独自のカスタマイズを施した。さらに得られた特徴量をどう調整すればいいかを技術者が理解しやすいよう、多角的に表示できるシステムとなっている。これにより、経験の浅い技術者でもタイヤ設計を効率的に行うことができる。
※「Humans and AI collaborate for digital innovation」をもとにした造語。人とAIとの共同研究所という意味合いも込められている
同システムは、技術者が設定したタイヤの基準仕様と目標特性値から改善すべき特性(目的特性)と定量値を定め、その目的特性の改善に役立つ特徴量をXAIで提示。技術者はXAIで得られた情報(求めるタイヤ特性に役立つ特徴量)を多角的な視点で解釈して仕様を修正し、横浜ゴムが2021年に開発した特性値予測AIを使って各特性値が目標を達成しているかを確認する。このプロセスを繰り返すことで最終仕様を決定し、さらにXAIによって最終仕様の根拠(各特性値の改善や維持に役立った設計因子(特徴量)とその寄与率)も確認できる。このように“人とAIとの協奏”によって新たな発見やひらめきを得ることができ、より高性能な商品開発に繋げることが期待できる。
今後同社は、同システムを多岐にわたるタイヤ商品開発に活用するとともに、「HAICoLab」の実践領域を拡大していく。