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スズキは7月17日、10年先を見据えた技術戦略を発表した。
現在、世界の様々な業界において、2050年までのカーボンニュートラルを目指し、議論や技術開発が進められている。
スズキもまた、日本と欧州においては2050年、インドでは2070年のカーボンニュートラル達成を目指し、温室効果ガス排出量の削減を推進。同社の行動理念である「小・少・軽・短・美」に基づき、製造からリサイクルに至るまで、総合的に「エネルギーを極少化させる技術」を実現し、カーボンニュートラルを目指す。
この日スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略」は
・軽くて安全な車体
・バッテリーリーンなBEV/HEV
・効率良いICE、CNF技術
・SDVライト
・リサイクルしやすい易分解設計
の5点となる。
軽くて安全な車体
スズキが得意とする軽量でコンパクトなクルマは、走行時に排出されるCO2の量が少ないだけでなく、製造のCO2排出量や必要となる資源の量も少なくできる。同社は、高い剛性を確保しながら軽量化を実現した新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」をさらに進化させ、軽量化技術によるエネルギーの極少化に取り組んでいく。
その一環として、スズキの主力車種であるアルトの次期型を開発するにあたり、現行型から車重を100kg削減することに挑戦するという。
バッテリーリーンなBEV/HEV
スズキは2025年以降、市場に順次BEVを展開していくが、電動パワートレイン搭載車においてもエネルギーの極少化を推進。
走行に要するエネルギーの少ない軽量プラットフォームやコンパクトで高効率なE-axleなどの開発を進める。とりわけ、国や地域によって異なる自動車の使用状況に合わせることで過剰な容量のバッテリーは不要となるという考えに基づき、バッテリーパックを小型化。バッテリーリーンなパッケージを提供していく。
効率良いICE、CNF技術
スズキは2023年、Z12E型エンジンをスイフト搭載。燃焼を追求して開発されたこのエンジンは最大熱効率40%を達成した。今後はこの高効率エンジンの技術を軽自動車から小型車に広く展開していく。
それと同時に、バイオガスやバイオエタノールといったカーボンニュートラル燃料(CNF)の領域においても、高効率かつクリーンなエンジンの開発を目指す。
加えて、バッテリーリーンなHEVにマッチした内燃機関の開発も行っていく。
SDVライト
スズキはSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)についても、エネルギー極少化を具現化した、アフォータブル(手頃)な仕組みでクルマの価値を創造する「SDVライト」を開発する。
SDVの要であるソフトウェアの更新には有線と無線の両方を適切に使い分け、ユーザーにとって使いやすく「ちょうどいい」「これでいい、これがいい」というものを目指す。また、共有ハードウェアを採用して部品費を抑えると同時に、ソフトウェアも再利用することで開発費も削減する取り組みを行う。
さらに、ADASについては各国や地域の道路状況や運転事情に合わせたものを提供。特に、スズキが重要な市場に位置づけるインドにおいては、同社の40年の経験を活かし、同地の過度な渋滞でも機能するものを開発していくという。
リサイクルしやすい易分解設計
スズキは今後、リサイクルやリユースを行うことを前提に、分解しやすく製品を設計。資源の総使用量を抑え、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を目指す。