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■NSXタイプRに続いてインテグラ・タイプRがデビュー
1995(平成7)年8月24日、ホンダが究極のスポーツバージョン“タイプR”を、人気のスポーティセダン「インテグラ」にも設定することを発表(発売は10月16日)。ホンダが培ったレーシング技術を凝縮した究極のFFライトウェイトスポーツとして、多くの走り屋を夢中にさせた。
ホンダのスポーツスピリットを凝縮したタイプR
タイプRの“R”は、“Racing”を意味する。そのままサーキットに持ち込んでも卓越した走りを発揮できる、究極のピュアスポーツを追求したホンダのハイスペックモデルである。そのコンセプトは、3つの基本設計で成り立っている。
・高速までスムーズに吹き上がる高性能エンジン
・高性能エンジンのパワーを無駄なく確実に伝える強靭な足回り
・パワフルな走りをアピールするエクステリアとインテリア
タイプRは、1992年に「NSX」に初めて設定され、1995年に「インテグラ」、そして1997年にはシビックにも設定され、ホンダのスポーツモデルの象徴となっている。
初代インテグラは“クイントインテグラ”の名で登場
初代インテグラは、「クイントインテグラ」を名乗り1985年にデビュー。ファミリーカーとして誕生した「クイント」の2代目であり、ファミリーカーから一転、3ドアハッチバックのスペシャリティカーに変貌した。
1989年にモデルチェンジし、クイントの冠をとった2代目「インテグラ」がデビュー。個性的な横長ワイドのヘッドライトを採用し、スポーティなワイド&ローのスタイリングを採用。トップグレードには、160psを発揮する新開発の1.6直4 DOHC VTECを搭載。NA(無過給)で初めてリッター100psを超えた名機である。
2代目インテグラは、TVコマーシャルに当時「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で人気となった米国俳優マイケル・J・フォックスを起用し、CM中の“かっこインテグラ”のフレーズとともに、爆発的な人気を記録した。
そして、1993年にはさらなるスポーティさをアピールするために、個性的な独立丸型4灯式ヘッドライトを採用した3代目インテグラに移行。しかし、個性的過ぎたフロントマスクが不評で、2年後の1995年8月のマイナーチェンジで、先代のような横長ヘッドライトのマスクに戻され、また同時にインテグラ・タイプRが誕生したのだ。
3代目のマイナーチェンジで登場したインテグラ・タイプR
NSX・タイプRが注目を集める一方、もっと身近なタイプRを設定して欲しいという要望に応えて登場したのが、インテグラ・タイプRだった。
エンジンは、1.8L直4 DOHC VTECをベースに、圧縮比を11.1と高め、低フリクション化したピストン、フルバランサー付クランクシャフト、広開角/高リフトの高剛性カムシャフトなど、数多くの新設計パーツが組み込まれた。得られた出力は、最高出力200ps/8000rpm、最大トルク18.5kgm/7500rpmで、リッターあたり約111psに達する。トランスミッションは、軽量フライホイールを装備したクロスレシオの5速MTが組み合わされた。
足回りはベースの4輪ダブルウィッシュボーンをベースに車高を15mm下げ、ダンパー減衰力を強化。全体的に硬度アップを図り、さらにステアリングギア比をベースの16.1から15.7へとクイック化して、トルク感応式ヘリカルLSDを装備することで、高速安定性とハンドリング性能を向上させた。
エクステリアは、フロントアンダースポイラーとウイングタイプのスポイラーなどの特別装備を纏い、インテリアにもMOMO製ステアリングホイールやレカロ製バケットシートが組み込まれた。車両価格は、222.8万円(3ドアクーペ)/226.8万円(4ドアハードトップ)と手頃な価格に設定。当時の大卒初任給は19.4万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で264万円/269万円に相当する。
高い走りのポテンシャルをもつ、玄人好みのハードな乗り心地のインテグラ・タイプRは、走り好きから熱い支持を受けたことは言うまでもない。
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タイプRというと、現在も販売されている「シビック・タイプR」の印象が強いが、歴代タイプRのなかで国内で最も売れたのは初代インテグラ・タイプRだった(世界に見れば、2017年のシビック・タイプR)。インテグラ・タイプRは、現在のシビック・タイプR人気の先導役を担ったモデルと言える。
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