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■大衆車から世界戦略車としてワンランク上のカローラに
2000(平成12)年8月28日、21世紀を目前に迎えてトヨタ「カローラ」が”New Century Value(新世紀の価値)”をコンセプトにした9代目に移行した。プラットフォームやエンジンを一新、世界戦略車としてセダンとワゴン(カローラフィールダー)が設定された。
日本のモータリゼーションを牽引したカローラ
カローラは、パブリカとコロナの中間的な位置づけで、半年前にデビューした日産自動車「ダットサンサニー」に対抗して、今(2024年)から58年前の1966年に誕生した。
サニーより排気量が100cc大きい1.1L直4エンジンを搭載し、スタイリングは当時最先端のセミファストバックを採用。パワートレインは、最高出力60ps を発揮する1.1L直4 SOHCエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はFRである。
カローラは、発売から3年半で100万台を超える、当時のミリオンセラー最短記録を達成し、小型大衆車トップの座に君臨。日本のモータリゼーションを加速するという重要な役割を果たした。
時代の要求に応えながら大衆車の王道を歩んだカローラ
小型セダンから始まったカローラだが、時代のニーズに応えながら進化を続け、ハッチバックやワゴンなどバリエーションを増やしながら、徐々にボディは大型化した。
・2代目(1970~1974年):カローラスプリンターが独立して兄弟車「スプリンター」が誕生、1972年には「カローラレビン/スプリンタートレノ」も追加。
・3代目(1974~1979年):衝突安全性能に対応するため大型化し、ハードトップやリフトバックなどバリエーションを拡大し、生産台数世界一を記録。
・4代目(1979~1983年):直線的なスタイリングとなり、現在のカローラフィールダーの元祖となるワゴンが登場。
・5代目(1983~1987年):FRからカローラ初のFFに変更。ただし、レビン/トレノはFRを継続、このタイミングで誕生したレビンが現在も高い人気を誇るAE86。
・6代目(1987~1991年):バブル景気を背景に上級志向となり、DOHCエンジンを多くのモデルに採用し、レビンにはスーパーチャージャーモデルを設定。1990年に国内の年間最多販売台数30.8万台を記録。
・7代目(1991~1995年):さらに上級志向は進みボディサイズも拡大、高級感のある大衆車に変貌。
・8代目(1995~2000年):バブル崩壊とともに、ボディサイズは変えずに最大50kg軽量化に成功。4ドアハードトップの「セレス」と、ミニバンの「スパシオ」を追加。
カローラシリーズの世界累計販売台数は、1982年に1000万台、1994年2000万台、1997年には単一モデルの販売台数でフォルクスワーゲン・ビートルを抜いて世界No.1となった。
脱大衆車を目指しすべてを一新した9代目
9代目カローラは、21世紀の世界戦略車としてデザインやプラットフォーム、パッケージングなどすべてを一新。スプリンターとレビン/トレノを止め、セダンとワゴン(カローラフィールダー)でスタート。翌2001年には、ハッチバックの「カローラ・ランクス」が追加された。
欧州デザインスタジオが手掛けたデザインをベースにボリューム感のある流麗なフォルムに、ホイールベースと全高を延ばして広く上質な室内空間を実現。パワートレインは、1.3L/1.5L/1.8L直4 DOHCエンジン、および2.2Lディーゼルの5機種と、4速ATおよび6速MTの組み合わせ、駆動方式はFFベースで4WDも用意された。
車両価格は、1.5Lガソリン仕様が117.3万円~171.8万円に設定。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で137万円~201万円に相当する。21世紀ミレニアムとともに登場した9代目は、保守的な印象の強い歴代カローラからモダンなイメージへと変貌し、歴代カローラの中でも評価され、高い人気を獲得した。
9代目以降、カローラは大型化と上級化をさらに加速している。12代目(2018年~)では、世界レベルの走行性能や乗り心地を得るために3ナンバーとなり、ミドルサイズの上級志向モデルとなった。
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カローラは順調に販売台数を伸ばし、2005年に3000万台、2013年に4000万台を達成し、2021年7月時点で5000万台を突破した。長い歴史とともに圧倒的な岩盤支持層を持つカローラだが、セダンが不人気の中では最新のプリウスやクラウンのように、ユーザーの若返りを狙ってユーザー層を広げることが大命題なのだ。
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