外車でも意外に簡単?フィアット500での初めてのオイル交換をDIYでやってみた!【フィアット500PINK!オーナーレポート vol.5】

車両価格35万円で購入したフィアット500PINK!は、2023年7月に購入(ナンバー登録は8月)してから半年以上が経過してもトラブルらしいトラブルもなく絶好調。今回は購入してからはじめてのエンジンオイル交換をDIYで行ったのでその模様をリポートする。

納車から半年……初めてのオイル交換にDIYで挑戦する

フィアット500PINK!の納車から早くも半年以上が経過。初のイベント参加となった「CIAO! FesTrico(チャオ・フェストリコ)」のエントリーの翌週となる2024年3月末のある日、忙しくて先延ばしにしていたエンジンオイルの交換を行うことにした。アルファロメオ1300GTジュニアやマツダ・ロードスター、所有するバイクと同じようにフィアット500のオイル交換もDIYで作業する。

エンジンオイルはジャガーで使っていたカストロールの残りがある。ブランドにはとくにこだわりはなく、たまたまペール缶で安く買えたので使っていただけのことだ。1.2L直列4気筒SOHC8バルブエンジンの指定粘度は5W40(前期型の場合。後期型の指定粘度は0W20)だが、交換するオイルの粘度は5W30と柔らかいオイルとなる。まあ、夏前には交換する予定なので問題はないだろう。

時短と作業の省力化のためジャッキを使わず、カースロープを使ってみた。フィアット500はローダウンしていないので車両と地面との間のクリアランスはこれで十分確保できる。

オイル交換の作業自体は過去何度もやっているので慣れたものだが、フィアットでの作業は初めてとなるため、作業前にネットで手順を予習しておくことにした。しかし、肝心のドレンボルトの規定トルクがわからない。ディーラーに電話して聞いても良かったのだが、この日はあいにく定休日だった。そこでロードスターなどと同じく30Nmで様子を見ることにした。

フィアット500のエンジンルーム。今回は専用の機材を使う上抜きではなく、オーソドックスな下抜きでのエンジンオイル交換だ。

これだけ揃えば作業ができる!フィアット500のオイル交換に必要な工具は?

オイル交換に必要な工具は、12mmのヘキサゴンソケットと対応したサイズのラチェットハンドルトルクレンチオイルジョッキ廃油オイルパン(廃油受け)、漏斗のみ。本来なら車体を持ち上げるのにジャッキが必要になるところだが、今回は時間短縮のためにカースロープを使用した。これなら重いフロアジャッキをわざわざ持ち出さずに済むし、ウマ(リジットラック)を使用する際の安全策としてタイヤを外して車体の下に置く必要もない。

作業の主役となる工具。差込角3/8インチのPROXXON製トルクレンチ(20~107Nmまで設定可能)と差込角1/2インチのHAZET製12mmヘキサゴンソケット。ソケットとレンチは差込角が違うので変換ソケットを間に挟んで使用する。

なお、今回はフィアット500の購入店が納車時にオイルフィルターも新品に交換したと話していたので、作業はオイルの交換だけとなった(実際にフィルターをチェックしたら最近交換したと思しき新しいものが着いていた)。

作業に使用したカースロープ。これを使うと車両のフロントを17cm持ち上げることができる。筆者はほかにローダウン車用のカースロープを所有している。

ドレンプラグにシールテープを巻くべきか巻かざるべきか?

作業自体はとても簡単だ。カースロープを使って車体の下に潜れるスペースを確保したら、12mmのヘキサゴンソケットを着けた1/2ラチェットハンドル でドレンプラグを外し、オイルの抜けを良くするためにフィラーキャップを開け、古いオイルが抜けきったらトルクレンチを使ってドレンプラグを規定トルクで締めて新しいオイルを注ぎ入れるだけだ。必要な道具さえあれば、メカに詳しくない人でも1時間程度でできる作業だ。

ARMSTRONG製の1/2ラチェットレンチにHAZET製ヘックスソケットを組み合わせてドレンプラグを緩める。ツインエアや1.4Lとは違い1.2Lエンジンを積むフィアット500にはアンダーパネルが備わらないので作業がラクだ。

作業をしていて少し悩んだのがドレンプラグに巻くシールテープの存在だ。ネットで調べたところフィアット500のドレンプラグにはシールテープを巻く人が多いようなのだが、筆者の車のドレンプラグには最初からテープが巻かれてはいなかった。

HAZET製ヘックスソケット(左)とフィアット500のドレンプラグ(右)。ドレンプラグを外してみるとシールテープや液体ガスケットの類はネジ山に使われていなかった。

だが、オイルの滲みや漏れの痕跡は見当たらず、シールテープを巻かなくてもオイルが漏れないのなら必要はないのだろうと判断して、ねじ山を掃除しただけでそのまま組み付けることにした。

ドレンプラグを抜くと勢いよく古いエンジンオイルが排出される。事前にエンジンを暖気し、フィラーキャップを緩めておくとオイルの抜けが良くなる。
約4000km走行し、相応に汚れたエンジンオイル 。

オイルパンのネジ山は潰すと高くつく……安物でもトルクレンチを使うべし

オイルが完全に抜けきったところでドレンボルトを締め付ける。最初は手で軽く回し入れ、ある程度回したところでトルクレンチを締め付ける。設定トルクは先ほども書いた通り30Nmにした。ネジ山を壊すとオイルパンを新品に交換する羽目となり、修理費用が高くつくのでこの作業にはトルクレンチが必須だ。筆者は3/8インチのPROXXON(プロクソン)製トルクレンチ(20~107N・mまで設定可能なMC100 3/8″ No.83351)に変換ソケットを噛まして、HAZET(ハゼット)の1/2インチの12mmソケットを使って締めつけた。

ドレンプラグを手で回し入れてから、トルクレンチの規定トルクを30Nmにセットして締め付ける。プリセット型トルクレンチはグリップ後端のダイヤルをくるくる回して、規定の数値に合わせればセット完了となる。

昔はトルクレンチは東日やSnap-on(スナップオン)などの高級品しかなかったが、現在では比較的リーズナブルな製品が販売されている。両者の違いは耐久性と校正などのアフターサービスの有無、そして、一流ブランドを使う安心感くらいで、精度にそれほど違いが出るわけではない。素人がDIY整備で使うくらいなら高級品でなくても問題はない。アストロプロダクツやストレートの製品なら4000~6000円くらいで購入できるので、DIYでメンンテナンスを考えている人は必ず1本は持っておくべき工具だろう。

ドレンプラグを締めて規定量のエンジンオイルを入れたら
ディップスティックを引き抜きオイル量のチェック

ドレンプラグを締め付けたら、フィラーキャップを開いて規定量のエンジンオイルを注ぎ入れる。フィアット500の場合、エンジンオイルのみの交換で2.5L、オイルフィルターも一緒に交換するなら2.8Lが規定量となる。今回はフィルターの交換はしないので必要なオイルの量は2.5Lだ。

清潔なオイルジョッキに注がれたエンジンオイル 。あとでオイルの量を調整しようと少し多めに注いだ。

埃やゴミなどがない中をキレイに掃除したオイルジョッキに規定量のエンジンオイルを入れてから、エンジンオイルをゆっくりと注ぎ入れる。今回はオイルをこぼさないように念のため漏斗を使うことにした。

フィラーキャプを外して新品のエンジンオイルを注ぎ入れる。オイルフィルターなしの場合、1.2Lエンジンを搭載するフィアット500の規定量は2.5Lとなる。

エンジンオイルの交換作業が終わったら、エンジンをかけて数分間放置してからキーをオフにしてエンジンを止める。それから5分ほど待ってからディップスティックを一度引き抜き、清潔なウェスでスティックについたオイルを拭い去り、スティックをエンジンに差し戻してから再度引き抜き計測する。オイルの量がゲージ部分の半分より上なら問題がないが、イタリア車はエンジンオイルの消費が比較的多い傾向にあるので、念のためゲージの上限ラインスレスレになるようにオイルをわずかに追加して調整することにした。

作業が終わったらディップスティックを抜き取り、エンジンオイルの量を確認する。ゲージの半分より上にオイルが付着しておけばOKだが、イタリア車はオイルの消費量が多い傾向にあるので、あとから少しオイルを継ぎ足し、ゲージの上限ラインスレスレになるように調整した。

あとはエンジンルームに工具やウェスなどを置き忘れていないか確認してからボンネットを閉めれば作業は終了だ。

所要時間30分!工具と場所さえあれば誰でもできる?

今回の作業に費やした時間はおよそ30分ほど。エンジンオイルは20L入りのペール缶で購入すれば割安だし、DIYで作業をすれば作業の待ち時間で貴重な休日を潰すこともなく、工賃を浮かすこともできる。DIYによる作業はすべてユーザー自身の責任となるが、プロの中にもいい加減な作業をするところもあるので、作業者のレベルがわからないガソリンスタンドやカー用品店に作業を依頼するよりも自分で作業をするのはむしろ安心かもしれない(とくに輸入車の場合は)。

エンジンオイルの交換はさほど難しい作業ではないので、これから愛車いじりをしてみようと考えている初心者におすすめのメンテナンスだ。ただし、まったく経験がない人の場合は、最初の作業は経験者に立ち会ってもらった方がいいだろう。とくに今回のようなカースロープを使わず、ジャッキアップをしての作業ならなおさらだ。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…