専用ボディを備えたトヨタ初の本格BEV「トヨタbZ4X」【最新国産SUV 車種別解説 TOYOTA bZ4X】

トヨタの本格的な電気自動車の先陣を切って登場した「トヨタbZ4X」。スバル・ソルテラと共同開発され、ボディサイズ、動力性能は同様の仕様だが、フロントフェイスはよりシャープな印象。足回りもキビキビとスポーティな方向性を持ち、山道のドライブにも爽快な切れ味を見せる。デビュー当時はリースのみの提供だったが、現在は購入も可能となったのは注目だ。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:中野幸次 MODEL:佐々木萌香

敏な動きで加速力も十分 峠道を走りたくなる乗り心地

bZ4Xは、トヨタでは専用のボディを備えた最初の本格的な電気自動車だ。スバル・ソルテラと基本部分を共通化しており、ボディは全長が4690㎜、全幅は1860㎜のミドルサイズになる。

エクステリア

兄弟車であるスバル・ソルテラとのスタイリングの違いは、フロントではヘッドライト、グリル、バンパーなどと多岐にわたる。一方リヤスタイルはエンブレムが異なる程度で、違いは少ない。最小回転半径は5.6m。

インパネの形状は個性的で、デジタルメーターを高い奥まった位置に装着した。そのために運転姿勢によっては、メーターがステアリングホイールの陰に隠れるから注意したい。

インストルメントパネル

フードのない液晶パネルを高い位置にマウントしたメーターが特徴的。これは前方とメーターを見る際の視線移動と焦点移動を減らせるメリットがある。ロータリー式(回して操作)のシフトセレクターも新しい提案だ。

またbZ4Xでは駆動用リチウムイオン電池を床下に設置しているので、床と座面の間隔が不足気味だ。その代わり後席の足元空間は広い。身長170㎝の大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ3つ分の余裕がある。ここまで広ければ4名がリラックスして乗車できる。

居住性

運転感覚は、モーター駆動とあって、アクセル操作に対して機敏に反応する。駆動方式は前輪駆動のFWDと、後輪にもモーターを搭載するAWDを用意した。AWDは前後のモーターの相乗効果により、加速性能はFWDよりも力強い。飛び出すような唐突な加速感は抑えたが、速度を直線的に上昇させる。乗り心地は指定空気圧が26kPaと高い影響もあり、街なかでは硬めに感じる。

うれしい装備

充電方法は「普通充電」と「急速充電」の2通り。うれしいのは後者が“150kW ”という大容量の充電器にまで対応していること。
前席乗員のために輻射式ヒーターを採用。遠赤外線を放射し、空気ではなく対象物を直接暖める仕掛けは「電気ごたつ」と同じものだ。
月間販売台数                 66台 (23年9月~24年2月平均値)
現行型発表     22年5月(一部改良 23年10月)
一充電走行距離 ※WLTCモード 567 ㎞ ※「G」のFWD車  

ラゲッジルーム

その半面、ステアリング操作に対する反応は、全高が1650㎜のSUVとしては機敏だ。姉妹車のソルテラと比べると、後輪の接地性と安定性が若干下がる代わりによく曲がる。足まわりをスポーティなハッチバックのように設定したから、電気自動車で峠道などを楽しく走りたいユーザーにも適する。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.158「2024-2025 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。

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